25. オートメーションとエンベロープの編集
Liveのミキサーとデバイスを操作する際、コントロールを動かして曲の一部分にしたいと思うこともあるでしょう。 曲のタイムラインやセッションクリップに沿ってコントロールが動くことを オートメーション と呼び、タイムライン内で値が変化するコントロールが 自動化 されています。 Liveでは、ソングテンポも含めミキサーやデバイスのコントロールのほとんどをオートメーションできます。
25.1 アレンジメントビューでオートメーションを記録する
オートメーションは、2つの方法でアレンジメントビューに記録できます。
- アレンジメントへ新しい素材を録音しながら、パラメーターを手動で変更する。
- セッションクリップにオートメーションが含まれている場合は、セッションビューの演奏を アレンジメントに 録音する。
セッションからアレンジメントへの録音中、セッションクリップのオートメーションは 必ず アレンジメントへ記録されます。セッションから録音しているトラックのパラメーターを手動で変更した場合も同様です。
アレンジメントに直接素材を録音する場合、[オートメーションアーム]ボタンで、手動で変更したパラメーターを記録するかどうか設定します。

オートメーションアームがオンの時に、コントロールバーの[アレンジメント録音ボタン]をオンにしてコントロールに加えた変更は、すべてアレンジメントのオートメーションになります。 ここで、ミキサーのボリュームスライダーなどのコントロールにオートメーションを記録してみましょう。 録音を終えて再生すると、いま記録したコントロールの動きによる効果を目と耳で確認できます。 スライダーノブのLEDが点灯して、コントロールにオートメーションを記録されたことがわかります。 トラックのパンニングや[トラックアクティベーター]スイッチのオートメーションも記録してみましょう。 オートメーションが作成されると、LED が左上に点灯します。

25.2 セッションビューでオートメーションを記録する
オートメーションはセッションビューのクリップ内にも記録できます。 こちらがその手順です:

- [オートメーションアーム]ボタンをオンにして、オートメーションを記録できるようにします。
- 録音したいトラックのアームボタンをオンにします。 録音するトラックの空のスロット内に[クリップ録音ボタン]が表示されます。
- セッション録音ボタンをクリックして、オートメーションの記録を開始します。
トラックがアームされているかどうかに関係なく、すべての 再生しているクリップにオートメーションを記録することもできます。 この設定は、環境設定[Record, Warp & Launch]内の[セッションオートメーションを記録]で行います。

これで、既存のMIDIクリップにノートを録音することなく、セッションオートメーションをオーバーダブできるようになります。
クリップをアレンジメントビューへ記録またはコピーすると、セッションビューのオートメーションはトラック単位のオートメーションになります。
25.2.1 セッションオートメーション記録モード
オートメーションを記録する動作は、記録中にパラメーターをどのように調整したかによって変わります。 マウスを使用する場合、マウスボタンから指を離すとすぐに記録が停止します。 この動作は、編集アプリケーションによっては「タッチ」と呼ばれます。 MIDIコントローラーのノブやフェーダーでパラメーターを調整する時、コントローラーを調整している間は記録が続行されます。 手を放すと、クリップのループエンドまで記録が続行され、自動で「パンチアウト」されます。 この動作は、アプリケーションによっては「ラッチ」と呼ばれます。
25.3 オートメーションを削除する
オートメーションデータをすべて削除するには、オートメーションしたコントロールを右クリックしてコンテキストメニューを開き、[オートメーションを削除]を選択するか、ショートカット CtrlBackspace (Win) / CmdDelete (Mac) を押します。 オートメーションのLEDが消え、コントロールの値が、アレンジメントのタイムライン全体とセッションビュークリップで一定に保たれます。 また、オートメーションの一部を選択して削除するには、 ブレークポイント エンベロープを編集 します。
25.4 オートメーションを無視する
アレンジメント内に作成したオートメーションデータを上書きしたくないけれど、新たにコントロールを動かしてみたいという場合もあるでしょう。 無限に取り消し することもできますが、既存のデータを上書きすることなく、一時的にコントロールのオートメーションを無効にすることも簡単です。録音していない時にオートメーションしたコントロールの値を変更すると、オートメーションのLEDが消灯し、そのコントロールのオートメーションが無効になったことを示します。 つまり、手動で設定を変えるとオートメーションを 無視します 。
Liveセット内で、1つ以上のオートメーション化されたコントロールがオフになると、コントロールバーの[オートメーションを再有効化]ボタンが点灯します。

このボタンには2つの役割があります。 これは、現在のコントロールの状態が、セッションクリップやアレンジメントでキャプチャした時と異なっていることを知らせています。そして、このボタンをクリックするとすべてのオートメーションが再び有効になり、オートメーションをアレンジメントに記録された状態に戻すことができます。
あるパラメーターだけオートメーションを再有効化させるには、そのパラメーターのコンテキストメニューから[オートメーションを再有効化]を選択します。 また、セッションビューでは、オートメーションを含むクリップを再度ローンチするだけで、無視されたオートメーションが再び有効になります。
25.5 オートメーションを描画/編集する
アレンジメントビューとセッションビューのクリップでは、ブレークポイント エンベロープとしてオートメーションの表示や編集ができます。
アレンジメントではオートメーションの編集を次のように行います。

- オートメーションエンベロープを表示するには、トラックヘッダー上部にある
スイッチをクリックして[オートメーションモード]を有効にするか、[表示]メニューの項目のショートカット A を押します。 なお、オートメーションモードを無効にするには、もう一度
ボタンを押すか、ショートカット A を押します。 - トラックのミキサーまたはデバイスコントロールをクリックすると、クリップトラックにそのコントロールのエンベロープが表示されます。
- エンベロープは、トラックのメインオートメーションレーン内でオーディオ波形やMIDIディスプレイの「最前列」に表示されます。 これは、トラックのオーディオやMIDIの内容にあわせてブレークポイントを配列する場合に便利です。 エンベロープの縦軸はコントロール値を、横軸は時間を示しています。 スイッチやラジオボタンでは値の軸が「段階的」になります。 つまり、連続しない値(オン/オフなど)で動作します。
- デバイスセレクターでは、トラックミキサーやトラックのデバイスを選択したり、[None]を選択すると、エンベロープが非表示になります。 また、このラベルの横にあるLED表示により、どのデバイスがオートメーションされているか、ひと目で分かるようになっています。 セレクターの一番下で[自動化されたパラメーターのみ表示]を選択すると、さらに分かりやすく表示できます。
- オートメーションコントロール・セレクターでは、デバイス・セレクターで選択したデバイスのコントロールを選択します。 オートメーション化されたコントロールのラベルにはLEDが点灯します。
ボタンは、エンベロープをクリップ下部にあるオートメーションレーンへ移動します。 その後、セレクターで他のオートメーションパラメーターを選択すると、オートメーションを同時に表示できます。 Alt (Win) / Cmd (Mac) を押しながら
ボタンを押すと、選択したエンベロープやオートメーションしたエンベロープが、クリップの下部に移動します。 デバイス・セレクターを[None]に設定していると、このボタンは表示されません。
ボタンは、対応するオートメーションレーンを非表示にします。 なお、レーンを非表示にしても、エンベロープは無効にはなりません。 Alt (Win) / Cmd (Mac) を押しながら
ボタンをクリックすると、選択したトラック内のオートメーションレーンすべてが取り除かれます。- エンベロープをオートメーションレーンに移動させると、
スイッチが表示されます。 このスイッチは、追加したオートメーションレーンすべてを表示/非表示できます。
オートメーションレーンのヘッダーを右クリックすると、エンベロープ表示の詳細設定を含むコンテキストメニューが開きます。 このコンテキストメニューには、トラックやデバイスのオートメーションエンベロープを簡単に消去できるコマンドも含まれています。
左矢印キーを使用すると、オートメーションレーンからメインレーンに移動して、オートメーションレーンは格納されます。 メインレーン上で左右矢印キーを使用すると、オートメーションレーンの格納や展開ができます。
セッションビューのクリップのオートメーションを編集する方法は、「クリップエンベロープ」の章 で詳しく解説しています。
25.5.1 エンベロープを描画する
ドローモードを有効にすると、クリックとドラッグでエンベロープのカーブを「描画」できます。

ドローモードを有効にするには、[オプション]メニューから[ドローモード]を選択するか、コントロールバーのドローモードスイッチをクリックするか、 B を押します。 マウスで編集中にB を押したままにすると、一時的にドローモードに切り替わります。

ドローモードでは、表示されたグリッドと同じ幅のステップを作成して、多くの便利なショートカットを使った修正 ができます。 Shift を押しながら上下にドラッグすると、より細かい分解能でステップのオートメーション値を調整できるようになります。
フリーハンドで描画するには、[オプション]メニューの[グリッドに吸着]をオフにするか、ショートカット Ctrl4 (Win) / Cmd4 (Mac) で、グリッドを非表示にします。 グリッドが表示されているときでも、 Alt (Win) / Cmd (Mac) を押しながら描画すると、一時的にフリーハンドで描画できるようになります。
25.5.2 ブレークポイントを編集する
ドローモードをオフにすると、エンベロープの表示と働きが変化します。 ラインとそれに繋がるブレークポイントは、ドラッグ可能なオブジェクトになります。 エンベロープの背景をドラッグすると、範囲を指定して選択できます。 ブレークポイントの編集方法は次のとおりです。
- ライン上で任意の位置をクリックすると、そこに新規ブレークポイントを作成します。
- ラインの上ではない位置でエンベロープディスプレイをダブルクリックすると、そこに新規ブレークポイントを作成します。
- ブレークポイントを消去するには、ブレークポイントをクリックします。
- ブレークポイントの作成、マウスオーバー、ドラッグする際にはオートメーション値が表示されるので、ブレークポイントがより早く編集できるようになります。 選択したラインにマウスオーバーしたりドラッグすると、カーソルに最も近いブレークポイントのオートメーション値が表示されます。

- ブレークポイントを移動するには、クリック&ドラッグします。 ドラッグするブレークポイントが現在の選択範囲内にある場合、選択範囲内にある他のブレークポイントも一緒に移動します。 ブレークポイントをドラッグすると、細い黒の縦線が表示され、グリッドとの位置関係がわかりやすくなります。
- ブレークポイントを右クリックしてコンテキストメニューから[値を編集]が選択できます。 これで、コンピューターキーボードを使用して編集フィールドに正確な値を入力できます。 ブレークポイントを複数選択している場合、すべてが相対的に移動します。 同様に、ブレークポイントのプレビューを右クリックして[値を追加]を選択すると、正確な値で新規ブレークポイントを作成することもできます。
- ラインを選択するには、ラインの近く(ライン上ではなく)をクリックするか、 Shift を押しながらライン上をクリックします。 ラインを任意の位置まで移動するには、マウスの左ボタンを押しながらラインをドラッグします。 ドラッグ中のラインが現在選択中のタイム範囲内にある場合、Liveが選択範囲の端にブレークポイントを作成して、ライン全体が一緒に移動します。

- グリッド線近くにブレークポイントを作成すると、自動的にその線へ吸着します。 Alt (Win) / Cmd (Mac) を押しながら左右にドラッグすると、グリッド吸着が一時的に無効になります。
- ブレークポイントとラインは、周囲のブレークポイントがあるタイミングへ吸着します。 ブレークポイントまたはラインを、隣のブレークポイントに「かぶせる」よう水平にドラッグすると、隣接するブレークポイントを消去します。
- ラインやブレークポイントを移動する時、 Shift を押しながらドラッグすると、移動が縦軸や横軸のどちらかに制限されます。
- Shift を押しながら縦方向にドラッグすると、ブレークポイントやラインの値を細かく調整できます。
- Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらラインをドラッグすると、そのラインがカーブします。 カーブしたラインを直線に戻すには、 Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらダブルクリックします。

25.5.3 エンベロープをストレッチ/傾斜させる

選択したタイム範囲の上にマウスを置くと、選択範囲の両端の外側にハンドルが表示されます。 このハンドルをクリック&ドラッグすると、選択したオートメーションを以下の方法で加工できます。
- 一番上と一番下の中央にあるハンドルをドラッグすると、オートメーションを縦軸に沿ってストレッチできます。 ドラッグ中は、ストレッチの量を長方形で表示します。 この長方形は、上下の境界線とその角が交差する位置に吸着します。 Shift を押しながら操作するとストレッチの量を微調整できます。 境界線を越えてドラッグするとエンベロープの一部が切り取られます。

- 左右の中央にあるハンドルをドラッグすると、オートメーションを横軸に沿ってストレッチします。 選択範囲の外側へドラッグすると、外側にある既存のブレークポイントを削除します。 Shift を押しながらドラッグすると、ハンドルの動きに合わせて外側のブレークポイントが移動します。 Alt (Win) / Cmd (Mac) を押しながら左右にドラッグすると、グリッド吸着がオフになります。
- 四隅にあるハンドルのいずれかをドラッグすると、オートメーションを傾斜させられます。 ドラッグ中は、長方形が傾斜の量を示します。 この長方形は、上下の境界線とその隅が交差する位置に吸着します。 Shift を押しながら操作すると傾斜の量を微調整できます。
- Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらハンドルをドラッグすると、その動きが反対側のハンドルにもミラーリングされ、両方のハンドルを同時に反対方向へ動かしたようになります。
25.5.4 エンベロープを簡略化する
オートメーションの記録後など、オートメーションエンベロープにブレークポイントが多く含まれている場合、[エンベロープを簡略化]コマンドが役立ちます。 [エンベロープを簡略化]は、選択したオートメーションエンベロープを描くのに最適なブレークポイントの数を計算し、不要なブレークポイントを削除して、必要に応じて直線や曲線に置き換えます。

簡略化させたいオートメーションの範囲を選択したら、コンテキストメニューから[エンベロープを簡略化]を選択します。
25.5.5 オートメーションシェイプを挿入する

オートメーションシェイプを使用すると、複雑なリズムのオートメーションパターンや、より繊細でゆっくりした動きや、スウェル、ビルド、ドロップなども簡単に作成できます。
オートメーションシェイプは、あらかじめ定義されたものがいくつか用意されていて、選択したタイム範囲に適用できます。 オートメーションシェイプを挿入するには、選択タイム範囲を右クリックして、コンテキストメニューからシェイプを選択します。

オートメーションシェイプには2種類あります。 上の列で選択できるシェイプには、一般的な波形(正弦波、三角波、ノコギリ波、逆ノコギリ波、矩形波)が含まれています。 挿入すると、これらのシェイプは選択タイム範囲に合わせて横方向に伸縮され、オートメーションしたパラメーター範囲に合わせて縦方向に伸縮されます。 タイム範囲が選択されていない場合、これらのシェイプは現在のグリッドサイズに合わせて横方向に伸縮します。
下の列で選択できるシェイプは、2組の傾斜とADSRシェイプを備えています。 これらのシェイプは上の列のものとは若干異なる動作をします。 挿入すると、点線で示されたように、選択範囲の前後にあるオートメーション値とリンクします。
25.5.6 エンベロープを固定する
通常では、アレンジメントビューでクリップを移動すると、クリップと一緒にすべてのオートメーションが移動します。 エンベロープをクリップに固定するのではなく、ソングポジションに固定したい場合には[エンベロープを固定]スイッチを使用します。
また、[オプション]メニューから[エンベロープを固定]を選択することもできます。

25.5.7 編集メニューのコマンド
アレンジメントビューでオートメーションデータを操作する際、[編集]メニューにある一部のコマンドの動作は、選択範囲がクリップトラック内かオートメーションレーン内かによって変化します。
単一のレーン内にあるエンベロープに対するカット、コピー、複製、削除の各コマンドは、このエンベロープにのみ適用します。 クリップそのものや、選択タイム範囲内にある他のオートメーションには影響しません。 また、複数のレーンにあるエンベロープを同時に操作することもできます。
編集内容をクリップとそれに関連するエンベロープすべてに適用する場合、[エンベロープを固定]を無効にすると、編集コマンドをクリップトラック内の選択範囲に適用します。
Liveでは、エンベロープの動きを時間軸に沿ってコピー&ペーストできるだけではなく、パラメーター間でもコピー&ペーストもできます。 これらのパラメーターはまったく無関係のものになる場合もあり、この操作は予想外の(だけど面白い)結果になることもあります。
25.5.8 テンポのオートメーションを編集する
Liveの大きな特徴のひとつとして、テンポに同期しながら、オーディオをダイナミックにストレッチと圧縮できることが挙げられます。 Liveでは、ソングテンポも単なるオートメーションのコントロールの1つです。
ソングテンポのエンベロープを編集するには、アレンジメントビューでメイントラックを展開し、上部のエンベロープセレクターから[Mixer]を選択して、下部のセレクターから[Song Tempo]を選択します。

テンポエンベロープを調整する時、テンポ数値の表示範囲を拡大縮小したい場合もあるでしょう。これにはエンベロープセレクター下部にある2つの数値ボックスの機能を使用します。左のボックスには表示するテンポの最小値をBPMで設定して、右のボックスではテンポの最大値を設定します。
なお、この2つのコントロールは、テンポに割り当てた MIDIコントローラーの数値範囲 も設定します。



