11. MIDIツール

MIDIツールは、MIDIコンテンツを扱う上でさらなる可能性を広げます。 このユーティリティはスケール認識に対応していて、クリップビューにある[MIDI変形ツール][MIDI生成ツール]のパネルからアクセスできます。 MIDI変形ツールは既存のMIDIノートの加工が目的である一方で、MIDI生成ツールはより探索的なツールであり、新しい素材を生み出すことにつながります。

MIDI変形ツール は、既存のMIDIノートやMPEデータのさまざまなノートのプロパティを加工します。 これらの加工を行うには、対象となるノートを選択しておく必要があります。

MPE MIDIツールは、変形ツールのいち機能で、ノート・エクスプレッションを追加したり、既存のエクスプレッションデータの加工に使用します。 このMIDツールを適用した結果は、MIDIノートエディターの MPEビューモード に表示されます。

MIDI生成ツール は、何も入力することなく、新規ノートをクリップループや選択タイム内へ追加します。 なお、クリップや選択タイム内に既存のノートがある場合、生成されたノートは既存のノートを置き換えます。

MIDI変形ツールと生成ツールは、さらにLive標準のMIDIツールとMax for Live MIDIツールに分けられます。 Live標準のMIDIツールはLiveに組み込まれていて、そのプロパティは編集できません。 一方、Max for Live MIDIツールは編集可能で、 MIDIツールを構築して追加 したり、サードパーティーのMIDIツールをインストール することで、ノートの加工や生成するツールをさらに拡張できます。 作成や保存したMax for Live MIDIツールを ブラウザー 内で簡単に見つけるには、MIDIツール用の フィルターグループ や、[Content]フィルターグループ内にあるMIDIツールの タグ を使用します。

11.1 MIDIツールを使用する

MIDIツールを使用してノートの変形や生成を行うには、MIDI変形ツールまたは生成ツールのパネルを開き、セレクターのドロップダウンメニューから使用するツールを選んだら、選択したMIDIツールのインターフェースで設定を調整します。 デフォルトでは、すべてのMIDIツールで[Auto](自動適用)ボタンがオンになっています。 つまり、MIDIツールの設定を調整すると、即座にMIDIノートの変形や生成が行われます。

自動適用ボタン

MIDIツールのパラメーターに加えられた変更は、同時にMIDIノートエディターへ反映されます。 変形ツールや生成ツールを即座に適用させたくない場合は、[Auto]ボタンをオフにします。 なお、このボタンをオフにするとノートが元の状態に戻ることにご注意ください。

[Auto]ボタンをオフにすると、MIDIツールのパラメーターを微調整できます。その設定が気に入ったら、[適用]ボタン([Transform]または[Generate])を押すとその設定が反映されます。

適用ボタン

MIDIノートエディターを開いたまま、現在選択中のMIDIツールを適用させるには CtrlEnter (Win) / CmdEnter (Mac) を押します。

変形ツールは、選択したタイムやノート、クリップループ(タイムやノートが選択されていない場合)に対して適用されます。 変形ツールを使用する際、既存のノートは変形されたノートに置き換えられます。

生成ツールは、選択したタイムやクリップループ(タイムを選択していない場合)に適用されます。 生成ツールを適用した際、すでにMIDIノートエディター内にノートが存在している場合、生成したノートを既存のノートと一緒に追加する(既存のノートと生成したノートが重なってない場合)か、既存のノートを置き換え(既存のノートと生成したノートが重なっている場合)ます。

MIDIツールはスケールを認識するため、クリップのスケールが有効になっていると、ピッチに関係するMIDIツールのパラメーターは、セミトーンではなくスケール度数を使用します。

ノートの変形と生成は、[編集]メニューの[取り消し]や[やり直し]コマンドで元に戻したり、やり直しができます。 なお、これらのコマンドはMIDIノートに加えられた変更のみに適用され、MIDIツールのパラメーターの変更には適用されません。 [リセット]ボタンを押すと、MIDIツールのパラメーターがデフォルトの状態に戻ります。 MIDIツールがデフォルトの状態にリセットされると、このボタンは灰色表示になります。

有効になったリセットボタン

リセットボタンは、選択したMIDIツールのパラメーターにのみ適用され、MIDIノートには影響しません。

11.2 MIDI変形ツール

以下は、Liveに搭載されたMIDI変形ツールの一覧です。

11.2.1 Arpeggiate

Arpeggiate変形ツールは、選択したパターン設定に基づいて、和音を単音のMIDIノートに分散させます。 これは MIDIエフェクトのArpeggiator の主要な機能を使用しています。

MIDIツールのArpeggiate

[Style]のドロップダウンメニューでは、選択したノートに適用するアルペジオのシーケンスを選択できます。 変形ツールの[Arpeggiate]では、Arpeggiatorと同じ18種類のスタイルを使用できます。

[Distance]コントロールでは、パターン内でのステップの移調を設定します。クリップのスケール設定のオン/オフに応じて、スケール度数またはセミトーンを使用します。

[Steps]スライダーでは、パターン内で移調するステップ数を選択します。

[Rate]と[Gate]のコントロールでは、時間軸上でどのようにノートを分散させるか設定します。[Rate]はパターンの速度(ノートの長さにも影響します)を設定し、[Gate]はノートの持続時間に影響します。 [Gate]の値を100%未満に設定するとノートが短くなり、100%を越える値にするとノートが長くなります。

Arpeggiate変形ツールの適用前と適用後のノート

11.2.2 Chop

Chop変形ツールは、選択したMIDIノートを最大 64 のパートに分割します。 また、ノートの分割パターンをデザインすることもできます。たとえば、いくつかのノートを他のノートより相対的に長くしたパターンを作成したり、ノートの開始時間や終了時間にランダムな変化を加えたパターンを作成できます。

MIDIツールのChop

[Parts]コントロールでチョップするパーツ数を 2〜64 の間で設定すると、ノートのチョップパターンを作成できます。 [Gaps]コントロールはパターン内に隙間を追加します。ギャップの正確な最少数と最大数は、パターンに含まれたパーツ数によって異なります。 正の値に設定すると、このコントロールはギャップを追加した後のノート数を表します。 負の値に設定すると、このコントロールは各ノートの後ろに追加されたギャップの数を表します。 たとえば、 2 に設定すると、2つ連続したノートの後に続くノートがギャップに置き換えられます。 -2 に設定した場合、各ノートの後に2つのギャップが追加されます。 なお、パターンを構成できるのは最大 16 個のパーツまでです。 [Parts]コントロールをこれより高い値に設定した場合、パターンが繰り返されます。

[パターン]トグルは、[Parts]と[Gaps]コントロールで組んだしたパターンを視覚化して、パターン内のギャップを手動で追加や削除することができます。これはリズムのバリエーションを作るのに役立ちます。 [パターン]トグルで隙間の数を変更すると、[Gaps]コントロールに[ - ]が表示されます。 このコントロールを調整すると、パターン内に手動で追加したギャップは[Gaps]コントロールで設定したギャップに置き換えられます。

[強調]トグルでは、パターン内で強調するノートやギャップを選択できます。 強調したパターンの要素は[Stretch]の値に作用されて、ノートやギャップの長さを 2〜8 倍にストレッチします。 ノートやギャップを強調すると、対応する[パターン]トグルが灰色表示になります。

[Variation]スライダーを使用すると、ノートの開始時間と終了時間にランダムな変化を加えられます。

Chop変形ツールの適用前と適用後のノート

11.2.3 Connect

Connect変形ツールは、既存のノート同士の隙間を埋めるようにノートを生成します。 補間するノートの配置はランダマイズされますが、そのパターンの一部はConnectのパラメーターで調整できます。

MIDIツールのConnect

[Spread]コントロールでは、繋がったノートをランダムにピッチシフトさせる最大値を設定します。値は元のノートのピッチを基準に、スケール度数またはセミトーンで設定します。

[Density]では、元のノートとその隙間を埋めるノートのタイム間隔をパーセンテージで指定します。 100%にすると、既存のノートの隙間がすべて埋め尽くされます。

[Rate]コントロールでは補間するノートの長さを設定し、[Tie]コントロールでは、生成されたノートが、後続の元のノートまで延長される確率を設定します。

Connect変形ツールの適用前のノートと適用後のノート

11.2.4 Glissando

Glissando(グリッサンド)変形ツールはMPE MIDIツールです。あるノートのピッチを、ピッチベンド・カーブに沿って後続のノートのピッチへ繋ぎ、ノート同士をタイで繋げます。 グリッサンドを作成するには、2つ以上のノートを選択する必要があります。

MIDIツールのGlissando

[Start]コントロールでは、ピッチベンド・カーブが始まる位置をノート長のパーセンテージで設定します。 [Curve]コントロールは、ピッチベンド・カーブの形状を変更します。 ピッチベンドの開始位置を調整するには、Glissandoのディスプレイ内で黄色のブレークポイントをクリックして左右にドラッグします。ピッチベンド・カーブの形状を調整するには、線をクリックして上下にドラッグします。

Glissando変形ツールの適用前のノートと適用後のノート

なお、ピッチベンド・カーブが表示されるのはMPEエディターのみです。 MIDIノートエディターを開いている場合、変形ツールのGlissandoは適用されますが、ピッチベンド・カーブは表示されません。

[ノートを折りたたんで表示] で作業する時、エクプレッションレーンの[Pitch Bend]を有効にすると、MIDIノートエディター下部にピッチベンド・カーブを表示できます。

専用のエクスプレッションレーンに表示されたピッチベンド・カーブ

11.2.5 LFO

LFOは、低周波オシレーターを使用したMPE変形ツールで、3つのMPEパラメーター[Pitch Bend][Slide][Pressure]のいずれかの値を設定します。 オシレーターの波形、レート、全体の振れ幅は、変形ツールのパネルからカスタマイズできます。

MIDIツールのLFO

[ターゲット]セレクターでは、LFOのモジュレーション対象を[Pitch Bend][Slide][Pressure]から選択できます。 LFOのカーブディスプレイには、モジュレーション・ソースに使用するLFOの波形が表示されます。

[A](エンベロープアタック)と[D](エンベロープディケイ)のスライダーでは、オシレーターが発振する全体の長さに対して、アンプ・エンベロープのアタックとディケイを設定します。 なお、エンベロープのアタックとディケイの値は互いに影響し合います。 つまり、[A]を 100% に設定すると、[D]は自動的に 0% にリセットされます。

[Shape]コントロールは、[シェイプタイプ]セレクターの選択に基づいてオシレーターの波形を調整します。 波形は、サイン波、矩形波、三角波、ランダム波の4種類から選択できます。 ランダム波を選択した場合、[再生成]ボタンを使用すると、新しいランダム波のLFOを生成します。

再生成ボタン

[Rate]コントロールは、オシレーターの周期を 1 から 1/128 までの符割で設定します。 レートを 1 に設定した場合は 4 拍に相当します。 [Rate]の下にある[タイムシフト]スライダーは、LFOのタイミングをずらします。 正の値ではLFOの開始位置を遅らせ、負の値では開始位相を調整します。

[Amount]コントロールは、オシレーターの振れ幅を設定します。 モジュレーション・ターゲットに[Pitch Bend]を選択した場合、[Amount]はクリップのピッチベンド・レンジの2倍以内で任意の値に設定できます。 たとえば、このレンジを ±60 セミトーンに設定した場合、[Amount]は -120 セミトーンから 120 セミトーンの範囲で設定できます。 [Slide]や[Pressure]を選択した場合、[Amount]は -127 から 127 の範囲で設定できます。 振れ幅の基準値を設定するには、[Amount]コントロールの下部にある[振幅基準値]スライダーを使用します。 モジュレーション・ターゲットに[Pitch Bend]を選択した場合、[振幅基準値]はクリップのピッチベンド・レンジの範囲内で任意の値に設定できます。 たとえば、このレンジを ±60 セミトーンに設定した場合、[Amount]は -60 セミトーンから 60 セミトーンの範囲で設定できます。 [Slide]や[Pressure]を選択した場合、[振幅基準値]は -127 から 127 の範囲で設定できます。

LFO変形ツールの適用前と適用後のノート

モジュレーション・ターゲットが[Pitch Bend]のMPEカーブは、MIDIノートエディター内に表示されます。 また、[Pitch Bend]のエクスプレッションレーンを有効にすると、MIDIノートエディターの下に表示できます。これは、 ノートを折りたたんで表示 して操作する際に役立ちます。 [Slide]と[Pressure]のモジュレーション・カーブは、それぞれのエクスプレッション・レーン内に表示されます。

なお、LFO変形ツールを適用したモジュレーションは、クリップコンテンツ・エディターのMPEビュー・モードでのみ表示されます。 MIDIノートエディターを開いている場合、変形ツールは適用されますが、エクスプレッション・カーブは表示されません。

11.2.6 Ornament

変形ツールの[Ornament]には、[Flam]と[Grace Notes]のオプションがあり、選択したノートの先頭に装飾音を加えることができます。 同じ選択範囲にこの変形ツールをもう一度適用すると、さらにフラムや装飾音が追加されます。

Ornament MIDIツール

[Flam]か[Grace Notes]をオンにして、追加する装飾音の種類を選択します。

フラムと装飾音の切り替え

[Flam]を使用する場合、選択した各ノートの先頭にノートが1つ追加されます。

[Flam]の[Position]パラメーターでは、フラムで配置するノートを制御します。正の値では、フラムのノートが元のノートの先頭を置き換え、負の値では、フラムのノートが選択したノートより前に追加されます。 このパラメーターの値は現在のグリッド設定のパーセンテージを表しているため、[Flam]のノートの長さは、元のノートの長さではなく、グリッドサイズによって決まります。 つまり、100%や-100%の値にすると、フラムのノートの長さはグリッド1つ分に等しくなり、元のノートの先頭かその前に配置されます。フラムの[Position]の値がゼロに近づくにつれ、ノートも短くなります。

[Flam]の[Vel.]パラメーターでは、フラムのノートのベロシティを設定します。この値は元のノートのベロシティに比例します。

フラムの追加前と追加後のノート

[Grace Notes]を使用すると、それぞれの元のノートの先頭に、同じ長さのノートを複数追加します。

[Grace Note]の[Pitch]ボタンでは、元のノートに追加する装飾音のピッチを設定します。 [High]を選択すると、各装飾音は元のノートに対して1セミトーン(スケールが有効の場合は1度)高くなります。[Low]を選択した場合、各装飾音は元のノートに対して1セミトーンまたはスケールの1度低いピッチになります。 [Same]を選択すると、元のノートと同じピッチで装飾音を追加します。

[Grace Notes]の[Position]パラメーターは、(正の値に設定した場合では)追加した装飾音が選択したノートの開始地点を置き換えます。また、(負の値では)元のノートの前に追加します。 この値は、現在のグリッドサイズをパーセンテージで表しています。100%/-100%では、挿入された装飾音がグリッド1つ分の長さになり、元のノートの先頭またはその前に配置されます。

[Grace Notes]の[Velocity]パラメーターは、装飾音のベロシティを設定します。この値は元のノートのベロシティに比例します。

[Grace Notes]の[Chance]コントロールでは、各装飾音が発音する確率を設定します。この値は元のノートの[Chance]値に比例します。

[Grace Notes]の[Amount]パラメーターでは、選択したそれぞれのノートに適用される装飾音の数を指定します。 それぞれの装飾音の長さは常に等しくなります。

装飾音の追加前と追加後のノート

11.2.7 Quantize

MIDIツールの[Quantize]は、指定したクオンタイズ設定に基づいて、選択したノートを移動したり伸縮させてタイミングを調整します。 なお、オーディオクリップ にも同等のクオンタイズツールがあります。

Quantize変形ツール

現在のグリッド設定に応じてノートを加工したり、指定したグリッド単位(3連符を含む)でもクオンタイズを設定できます。 ノートの開始位置または終了位置、あるいはその両方を同時にクオンタイズできます。 ノート終了位置をクオンタイズするとノートが延長され、選択したグリッド単位で終了するようになります。 [Amount]コントロールを使用してノートをクオンタイズすると、設定したクオンタイズ値のパーセンテージでノートを動かせるので、「ガチガチにクオンタイズされた」サウンドにならないようにできます。

クオンタイズの適用前と適用後のノート

クオンタイズMIDIツールを開いてパラメーターを変更するには、クリップビューのタブ/パネルから移動するほかに、[編集]メニューから[クオンタイズ設定…]コマンドを使用することができます。 または、ショートカット CtrlShiftU (Win) / CmdShiftU (Mac) を使用すると、変形ツールのタブ/パネルを開くことなく、選択したノートをクオンタイズできます。

11.2.8 Recombine

MIDIツールの[Recombine]は、選択したノートの位置、ピッチ、長さ、ベロシティを並び替え、選択範囲内の1つのノートに設定したパラメーターを別のノートへ適用します。

Recombine変形ツール

[ディメンション]セレクターを使用すると、Recombineで並び替えるノートのパラメーターを[Position][Pitch][Duration][Velocity]の4つからいずれかを選択できます。

ディメンションセレクター

Recombineでは、ノートのパラメーターを3つの方法で並び替えます。

  1. [Shuffle]:ノートのパラメーターをランダムに並び替えます。
  2. [Mirror]:選択したノートを左右反転させて、ノートのパラメーターを並び替えます。
  3. [Rotate]:ノートのパラメーターを循環するように並び替えます。

[Shuffle]と[Mirror]の並び替えはそれぞれのスイッチで行いますが、[Rotate]の効果を有効にするには、[ステップの転回]の値を 0 以外に設定する必要があります。

[ステップの転回 ]を設定するには、Recombineのディスプレイ内にある縦軸をマウスでクリック&ドラッグするか、ディスプレイの下にある[ステップの転回を進める/戻す]ボタンを使用します。 使用可能なステップ数は、選択したノートの数より常に1ステップ少なくなります。 正の値ではパラメーターの値が時計回りに転回して、負の値ではパラメーターの値が反時計回りに転回します。

[ディメンション]セレクターで[Posision]を選択すると、[Grid]スイッチの切り替えが可能になります。 オンにすると、Recombineは利用可能な[ステップの転回]の数を、選択したノートの数ではなく、選択したグリッドのセル数を基準として使用します。 [ステップの転回]で使用できる値は、現在のグリッド設定によって異なります。

それぞれの並び替えのタイプは、単独で使用したり、他のタイプと組み合わせることもできます。 並び替えのタイプは、[Shuffle]→[Mirror]→[Rotate]の順番で適用されます。 なお、[Shuffle]をオンにすると、[Apply]ボタンを押すたびにパラメーターが並び替わります。

変形モードでシャッフルを適用する前と後のノートベロシティ

11.2.9 Span

MIDIツールの[Span]は、選択したノートの長さを、3 つの奏法タイプ(レガート、テヌート、スタッカート)を用いて加工します。

Span変形ツール

追加のパラメータを使用すると、ノートの加工にバリエーションを加えられます。

  • [Offset]は、ノートの終了位置を最大でグリッドの1ステップ分まで調整します。 正の値ではノートの長さが長くなり、負の値では短くなります。
  • [Variation]は、ノートの長さにランダムな変化を加えます。 正の値ではノートの長さを短くして、負の値では伸ばします。 この値を 0%以外に設定した場合、変形ツールが適用されるたびに、ノートの長さが変化します。

[Legato]は、選択したノートの長さを、シーケンス内で後続のノートの先頭まで伸ばします。 選択したノートの終端は、選択したタイム範囲の最後まで延長されます。また、タイムを選択していない場合は、ループ終了位置まで延長されます。

レガートを適用する前と後のノート

[Tenuto]は、[Offset]や[Variation]のパラメーターが調整されないかぎり、元のノート長を保持します

[Staccato]の奏法タイプを使用すると、選択したノート間の開始位置の距離に基づいてノートの長さが決まります。 ノート間の開始時間の最も短い距離を半分にした長さが、加工後のノートの長さになります。 ノートの長さは、[Offset]と[Variation]のパラメーターでさらに変更を加えられます。

11.2.10 Strum

[Strum]MIDIツールでは、コード内のノートが開始するタイミングを、[Strum Low][Strum High]や[Tension]のパラメーターで設定した形状にあわせて調整します。

Strum変形ツール

[Strum Low]パラメーターでは、連続するノートのオフセットを設定します。最も低いノートから順にオフセットされます。 正の値ではノートの開始タイミングが前方に移動して、負の値では後方に移動します。 最も低いピッチのノートの開始時間は、グリッド 1ステップ分の 100% / -100%までオフセットされます。 他のノートは、[ストラム位置]ディスプレイの形状と一致するように比例して動きます。 [Tension]パラメーターを 0.0% に設定すると、ノートは互いに等間隔になるよう配置されます。

[Strum High]のパラメーターは、元のコードを最も高いノートから順にオフセットさせます。 正の値に設定するとノートの開始時間が前方に移動して、負の値では後方に移動します。 最もピッチが高いノートは、グリッド 1ステップ分の 100% / -100% までオフセットされます。 他のノートは、ディスプレイ内の形状と一致するように比例して分布されます。 [Tension]パラメーターを 0.0% に設定すると、ノートは互いに等間隔になるよう配置されます。

変形ツールの効果が出るようにするには、[Strum Low]や[Strum High]のパラメーターを 0.0%以外の値に設定する必要があります。 この2つのパラメーターを変更するには、ストラム位置のディスプレイ内にあるそれぞれのブレークポイントを調整するか、値をコンピューターのキーボードで入力します。

[Tension]パラメーターは、ノート開始時間のオフセットを変更して、各ノートを均等な間隔で配置するのではなく、設定したカーブにあわせてノート間の間隔を広げたり狭めて配置します。 [Tension]が正の値では、ノート間の距離がシーケンスの先頭で長くなり、指数関数的に短くなっていきます。 負の値では、ノート間の距離はシーケンスの先頭で短くなり、指数関数的に長くなっていきます。

Strum変形ツールを適用する前と後のノート

11.2.11 Time Warp

Time Warpはタイムストレッチを行うMIDIツールで、選択したノートをスピードカーブに沿って変形します。 これにより、アッチェレランドやリタルダンドのようなテンポの変化を作成できます。

Time Warp変形ツール

ブレークポイントのディスプレイ内でスピードカーブを作成できます。 カーブの範囲は、選択したタイムにマッピングされます。 スピードカーブ内では下部にあるスイッチを使用して、1〜3個のブレークポイントを有効にできます。 ブレークポイントの位置と速度を設定するには、ブレークポイントをドラッグしたり、ブレークポイントを選択して[Time]や[Speed]スライダーを使用します。 スライダーの値は、選択したブレークポイントの値を常時反映しています。

ブレークポイントディスプレイの下にあるスイッチでは、適用したタイムワープをさらに調整できます。 [Quantize]をオンにすると、ワープしたノートをグリッド設定にあわせてクオンタイズします。 [Range]スイッチをオンにすると、変形ツールを適用した時に、元のノート選択範囲と同じ範囲内に収まるようになります。 [Note End]スイッチをオンにすると、スピードカーブを適用する時に、元のノートの終了位置がその適用範囲に含まれるようにノートの長さを変化させます。

Time Warpを適用する前と後のノート

11.2.12 Velocity Shaper

Velocity Shaperは、Max for Liveの変形ツールです。

MIDIツールのVelocity Shaper

Velocity Shaperは調整可能なエンベロープを使用して、選択したノートのベロシティを加工します。

ディスプレイに表示されたエンベロープの形状は、選択したノートのベロシティを加工する度合いに影響します。 ディスプレイ内をクリックすると、エンベロープにブレークポイントが追加され、ドラッグするとエンベロープの形状を調整します。

また、ディスプレイの右側にあるベロシティの最大値と最小値パラメーターを使用すると、加工されるノートのベロシティ範囲を指定できます。

ディスプレイの下にある[Loop]パラメーターでは、選択したノートにエンベロープの形状を適用する回数を設定します。

[Rotate]コントロールは、エンベロープの形状をオフセットするステップ数を設定します。選択したノートの開始地点が基準となります。 ステップの長さは[Division]パラメーターで設定します。 たとえば、[Rotate]を1に設定して、[Division]を[Grid]に設定した場合、エンベロープの形状は1つ分のグリッドだけ右に移動します。

Velocity Shaperの適用前と適用後のノート

11.3 MIDI生成ツール

以下は、Liveに搭載されたMIDI生成ツールの一覧です。

11.3.1 Rhythm

MIDIツールのRhythmは、設定したパラメーターに基づいて、指定したタイムを埋めるようにノートのパターンを繰り返し生成します。

Rhythm生成ツール

Drum Rackの使用時は、指定したピッチまたは個々のドラムパッドに対してノートを生成します。 ピッチまたはドラムパッドを選択するには、[Pitch]コントロールを使用するか、 Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらピアノルーラーをクリックします。

[Steps]コントロールを使用すると、パターン内のステップ数を最大16まで設定できます。

生成するノートの配置(パターンの形状)を設定するには、[Pattern]ノブを使用します。 使用可能なパターンの数は、[Steps]と[Density]のパラメーターで設定した値によって変わります。

[Density]ノブではパターン内のノート数を調整します。 なお、この最大値は[Steps]コントロールで設定した値によって変わります。

[Step Duration]スライダーで、選択範囲の中でパターンが繰り返される回数を調整します。 選択範囲が 1 小節の場合、[Step Duration]を 1/8、[Steps]を 8 に設定していると、パターンを繰り返しません。 この状態で[Step Duration]を 1/16 に変更すると、このパターンを2回繰り返します。 なお、[Step Duration]は、[Steps]で設定した最大ステップ数に影響を与えます。

[Split]コントロールでは、パターン内のステップを半分に分割する確率を設定します。

[Shift]では、生成したノートを指定のステップ数だけ移動します。正の値では右に移動して、負の値では左に移動します。

生成したノートにベロシティを設定することもでき、[ベロシティ]と[アクセント]のスライダーを使うと、アクセントを付けたノートに対して異なる値のベロシティを設定できます。 パターン内でアクセント付きノートを発生させる数は、[Freq]パラメーターで設定します。これは、アクセント付きノートの間にいくつノートを発生させるのか、その頻度を設定します。 この値の範囲は、ゼロから[Density]パラメーターで指定したノートの数までです。 なお、アクセント付きノートもノートの数としてカウントされます。[Freq]を 1 に設定した場合は、すべてのノートにアクセントがつくのでご注意ください。 [アクセントオフセット]の矢印ボタンを使用すると、パターン内にあるアクセント付きノートの配置をシフトします。

既存のリズムパターンにノートを追加するには、以前に生成したノートを選択解除し、別のピッチやドラムパッドでRhythmのパラメーターを再度調整します。

ドラムのトラックに生成したリズムパターン

11.3.2 Seed

[Seed]MIDIツールは、指定したピッチ、長さ、ベロシティ範囲の中でランダムにノートを生成します。 追加パラメーターでは、生成するノートの同時発音数や、ノートの総数を指定できます。

Seed生成ツール

新たに生成しるノートのピッチ範囲を選択するには、[ピッチまたはキー列の最低値/最高値]スライダーをドラッグするか、[ピッチ範囲]スライダーの三角形のハンドをドラッグします。 ハンドルのいずれか一つを他のハンドルと重ねると、これらのハンドルを結合します。この場合、ノートはひとつのピッチのみで生成します。 2つのハンドルに戻すには、[ピッチ範囲]スライダーの任意の場所をクリックするか、ピッチやキー列のスライダーで、最小値と最大値を他の値に設定します。 ノートの中でどれかひとつのピッチを選択するには、 Alt (Win) / Option (Mac) キーを押しながらクリックするか、ピアノルーラーをクリックします。ピッチの範囲を選択するにはクリック&ドラッグします。 クリップのスケールが有効の場合、スライダーは紫色で表示されます。それ以外の場合は、他の2つのスライダーと同じ青色で表示されます。

[Duration]と[Verocity](ベロシティの範囲)スライダーは、[ピッチ範囲]スライダーと同じように動作し、生成するノートの長さとベロシティ範囲を設定します。 選択できる最短のノート長は 1/128 で、最も長いものは全音符です。 ベロシティの範囲は 1 から 127 までです。

また、[Voices]と[Density]を使用すると、追加するノートの数を制御できます。これにより、生成するノートの最大同時発音数を設定したり、生成するノートの総数を、生成するピッチ範囲のパーセンテージで設定することもできます。

Seedを使用してノートを追加

11.3.3 Shape

Shapeは、ピッチの範囲内に収まるようノートのシーケンスを生成するMIDIツールです。 ノートは、MIDIツールのディスプレイ内で設定したシェイプに沿って配置されます。

生成ツールのShape

ノートの生成に使用するシェイプを選択するには、ジェイプのプリセットのドロップダウンメニューを使用するか、ディスプレイ内でシェイプを描画します。 最低ピッチと最高ピッチのスライダーを使用すると、追加されるノートのピッチ範囲を設定します。 また、 Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらドラッグすると範囲を選択できます。 なお、クリップのスケールを有効にすると、ディスプレイ内のシェイプは紫色で表示されます。

生成するノートの最小の長さを設定するには、[Rate]コントロールを使用します。 また、ノートの長さは[Tie]パラメーターにも影響されます。このパラメーターは、生成したノートを次のノートまで延長する確率を設定します。

[Density]ノブでは、追加するノートの数を設定できます。これは、配置したシェイプのパーセンテージを表しています。

生成するノートのピッチをランダマイズしたい場合は、[Jitter]パラメーターを使用しましょう。 0%の場合、生成するノートは、シェイプレベルのディスプレイに表示されたシェイプに正確に従います。[Jitter]の値を増やしていくと、元のシェイプから徐々に変化していきます。 なお、ランダマイズしたピッチは、[最低ピッチ]と[最高ピッチ]スライダーで指定したピッチ範囲内に収まることにご注意ください。

Shapeで生成されたノート

11.3.4 Stacks

Stacksは、選択したスケール内で、個別にコードを追加したりコード進行を作成するMIDIツールです。 コードの生成は、選択範囲またはループの長さ(タイムを選択していない場合)を埋めるように行われます。

Stacks生成ツール

コードのパターンを選択するには、コードセレクター・パッドをクリック&ドラッグするか、 Ctrl (Win) / Cmd (Mac) と上下の矢印キーを使用します。 コードパターンの図はコードの構成音の間隔をシンプルに表したもので、Tonnetz(トネッツ)システムに基づいています。 コードセレクター・パッドの上にマウスを移動すると、ステータスバーにそのコードの詳細情報が表示されます。

Stacksでは、自分でカスタム・コードバンクを作成することで、カスタマイズしたコードを使用できます。 これは、指定したコードの規則をJSON形式で定義したテキストファイルで、.stacksの拡張子で保存されます。 コードバンクの作成方法の詳細は、こちらのナレッジベースの記事 をご参照ください。

生成ツールのStacksにカスタム・コードバンクを読み込むには、 .stacks ファイルを ブラウザーの[場所]セクション に追加したフォルダー内に保存します。 次に、ブラウザー内でファイル名をダブルクリックすると、Stacksのデフォルトのバンクを置き換えます。

コードファイルを簡単に見つけられるようにするには、ブラウザーのフィルターグループ[MIDI Tool]内にあるStacks専用のタグを使用するか、フィルターグループ[Content]にある[MIDI Tool]タグを使用します。

コード進行を作るには、コードセレクター・パッドの右側にある、[+](コードを追加)ボタンを使うか、追加するコードのパターンを選択します。 コードの数を減らすには、[ - ](コードを削除)ボタンを使用します。

コードのルート音を設定するには、[Root]コントロールを使用します。 ルート音を選択するには、 Alt (Win) / Option (Mac) を押しながら、ピアノルーラーをクリックするか、上下矢印キーを使用します。 クリップにスケールを設定している場合、[Root]は自動的にそのスケールのルート音に調整されます。 コードに他のルート音を選択することもできますが、クリップのスケールを有効にすると、コードのルート音のオプションはクリップスケールの構成音に制限されます。

[Inversion](コードの転回)ノブでは、転回形のいずれかを使用して、コードを並び替えることができます。 正の値では選択したコードで可能な転回形が切り替わり、負の値では同じ転回形を1オクターブ低くして切り替わります。 コードの[Duration]と[Offset]は、コードの長さと位置を設定できます。 どちらも元のコードの1/8単位の長さで調整できます。

なお、Stacks生成ツールのディスプレイに表示されているパラメーターは、その時点で選択しているコードのみのパラメーターであることにご注意ください。 他のコードを選択すると、ディスプレイの表示がそのコードのパラメーターを表示するように更新されます。

Stacksで生成したコード進行

11.3.5 Euclidean

EuclideanはMax for Liveの生成ツールです。

MIDIツールのEuclidean

Euclideanは、ユークリッドリズムに基づいて、同時に最大4ボイスまでのノートを生成します。新規ノートは選択したタイム範囲内に生成されますが、タイム範囲を選択していない場合はループ範囲内に生成されます。

[Pattern]タブには、生成したノートがクリップにどのように追加されるのか視覚化されます。 グラフィック表示の右側には、各ボイスを個別にオン/オフするスイッチがあり、また、選択したタイム範囲の開始地点を基準として、ボイスごとに生成したノートをオフセットする[Rotation]スライダーもあります。 パターン表示の中央にはランダマイズボタンがあり、各ボイスごとに[Rotation]スライダーの値をランダムに設定します。

[Voices]タブを選択するには[Voices]をクリックします。 [Pattern]タブと同様に、ノートを個別にオン/オフするスイッチがあり、各ボイスを指定したピッチ(インストゥルメントを使用している場合)やドラムパッド(Drum Rackを使用している場合)に設定するオプションを備えています。 ボイスのオン/オフスイッチの左側にある上下の矢印を使用すると、生成するノートのピッチやドラムパッドを一斉に変更します。 右側の[Velocity]スライダーを使用すると、生成するノートのベロシティ値を各ボイスに対して個別に設定できます。

[Pattern]と[Voices]タブの下には、生成するリズムパターンを細かく設定できる追加パラメーターがあります。

[Steps] : 生成するパターンの長さを設定します。 パターンの長さが選択したタイム範囲より短い場合、そのパターンがその範囲内で折り返すように繰り返す場合があります。 [Density]:選択したタイム範囲の中でパターンを繰り返す回数を設定します。 パターンが選択したタイム範囲内に収まらない場合は、そのタイム範囲に沿ってノートを折り返します。 [Division] :パターン内のステップの長さを設定します。

Euclidean MIDIツールで生成されたノート