27. ビデオを使用する

Liveの柔軟な構造は、映像に合わせた音楽製作にも最適なツールとなっています。 ビデオクリップをトリミングして、その一部を選択し、ワープマーカー を使うと、アレンジメントビュー内でビデオと音楽の位置を視覚的に合わせることができます。 その後、編集したビデオとオーディオを レンダリング することができます。

ビデオの使用を始める前に、 「オーディオクリップ、テンポ、ワープ」の章 で説明しているコンセプトに慣れておくとよいでしょう。

Liveと外部の映像機器の同期について詳しく知るには、 同期の章 もご参照ください。

27.1 ビデオをインポートする

Liveは、AppleのQuicktime形式(.mov)のムービーをインポートし、ビデオクリップとして使用できます。 ムービーファイルはLiveのブラウザー内に表示され、Liveセットにドラッグするとインポートできます。

なお、Liveが表示するビデオは、アレンジメントビューに置かれたビデオクリップのみです。 セッションビューに読み込まれたムービーファイルは、オーディオクリップとして扱われます。

27.2 Liveでのビデオの外観

27.2.1 アレンジメントビュー内のビデオクリップ

アレンジメントビュー内のビデオクリップは、タイトルバーに「フィルムの送り穴」が表示される以外、オーディオクリップと同じように表示されます。

アレンジメントビュー内のビデオクリップ

ほとんどの場合、アレンジメントビュー内のビデオクリップは、オーディオクリップと同様に扱うことができます。 例えば、クリップの左右の端をドラッグするとトリミングできます。 ただし 、編集コマンドの中には、ビデオクリップに適用するとそのクリップをオーディオクリップ(ビデオがないクリップ)に置き換えてしまうものもあります。 これはアプリケーション内部でのみ起こるもので、オリジナルのムービーファイルは変更されせん。 この置き換えを行うコマンドは、[クリップを結合][クリップを反転][クリップをクロップ] です。

27.2.2 ビデオウィンドウ

アレンジメントビュー内のビデオウインドウ

ビデオウィンドウは個別に開かれるウィンドウで、Liveのメインウィンドウ上に常時表示されます。 ウィンドウは任意の位置へドラッグすることができ、Liveの下に隠れてしまうことはありません。 [表示]メニューのコマンドを使って、表示と非表示を切り替えることができます。 ビデオウィンドウは、右下隅をドラッグするとサイズを変更できます。 ウィンドウのサイズと位置はセット固有のものではなく、ビデオを再度開くと元に戻ります。 ビデオウィンドウをダブルクリックすると、フルスクリーンで表示(セカンドモニターにも可能)できます。 Alt (Win) / Option (Mac) を押しながらビデオウインドウをダブルクリックすると、ビデオがオリジナルのサイズに戻ります。

27.2.2.1 部分的なトラックを含むムービー

Quicktime形式の場合、オーディオとビデオの構成がムービー全体の長さに達している必要がなく、ギャップがあっても再生できます。 ビデオのギャップがあるとLiveのビデオウィンドウが黒画面になります。 オーディオのギャップでは無音になります。

27.2.3 クリップビュー

Liveのクリップビューにあるテンポリーダーは、劇伴の作曲家にとって気になる機能です。 映像に合わせて音楽製作を行う場合、通常はビデオクリップがテンポリーダーとなり、オーディオクリップはテンポフォロワーとして設定されます。 そのため、これらのクリップがアレンジメントビューのクリップでデフォルトのワーププロパティになります。 この場合、ビデオクリップにワープマーカーを追加すると、音楽と同期する「ヒットポイント」が設定されます。 なお、ビデオクリップをテンポリーダーとして設定するには、そのクリップの[Warp]スイッチをオンにする必要があります。

ビデオクリップをテンポリーダーに設定

「オーディオクリップ、テンポ、ワープ」の章 の説明にもあるように、複数のワープしたアレンジメントのクリップがあってもテンポリーダーをオンにできますが、現在再生中のクリップの中で一番下のクリップのみが実際のテンポリーダーになります。

つまり、現在テンポリーダーでないビデオクリップをワープすると、その結果としてビデオウィンドウ内にワープされたビデオが出力されます。

27.2.3.1 ワープマーカー

ビデオクリップに打たれたワープマーカーをドラッグすると、ビデオウィンドウの表示がビデオフレームに合わせて更新されます。 そのため、楽曲の任意の位置を、ビデオクリップ内の任意の位置に合わせることが簡単にできます。

Liveはムービーファイルに埋め込まれたQuicktimeマーカーを表示するので、ワープマーカーを設定する時に視覚的なキューとして使用できます。

27.3 サウンドをビデオに合わせる

Liveでは、ビデオを使った作業に簡単に取り掛かることができます。 それでは、ビデオの編集やヒットポイントに楽曲の位置を合わせる、一般的な例で見ていきましょう。

  1. Liveのアレンジメントビューが表示されていることを確認してください。 Liveを1台のモニターディスプレイで使用している場合、キーボードの Tab キーを押すとセッションビューとアレンジメントビューが切り替わります。
  2. LiveのブラウザーからQuicktimeムービーをドラッグし、アレンジメントビューのオーディオトラックにドロップします。 ビデオウィンドウが開き、ムービーファイルのビデオコンポーネントが表示されます。 このウインドウは画面内の使いやすい任意の位置へ移動できます。
  3. ビデオクリップが読み込まれたら、オーディオクリップをアレンジメントビューにドロップします。 クリップに対して新規トラックが自動的に作成されます。 トラック名の左側にある ボタンを押して、両方のトラックを展開します。
  4. ビデオクリップのタイトルバーをダブルクリックし、クリップをクリップビューに表示します。 オーディオタブ/パネルで[Warp]ボタンがオンになっていることを確認します。 アレンジメントビュー内のワープしたクリップは、テンポリーダーやテンポフォロワーに設定できます。 リーダー/フォロワースイッチを[Leader]に設定すると、Liveセット内の他のクリップがビデオクリップのテンポ(ビデオクリップの再生速度など)に追随します。
  5. ここでビデオクリップにワープマーカーを追加して、好みに合うように調整します。 ワープマーカーの位置により、音楽とビデオの同期ポイントが設定されます。 変更を加えると、アレンジメントビューに表示されたビデオクリップの波形が更新されます。
  6. 必要に応じて、 アレンジメントループ をオンにすると、楽曲の一部分にフォーカスします。
  7. 作業が終わったら、Liveの[ファイル]メニューから「オーディオ/ビデオをエクスポート」コマンドを選択します。 すべてのオーディオをミックスダウンして、ひとつのオーディオファイルに保存します。 このコマンドを使ってビデオファイルをエクスポートすることもできます。

27.4 ビデオのトリミングのテクニック

一般的に、作曲家は「本当の」演技が始まる前に数秒分の空白が挿入されたムービーファイルを受け取ります。 このプリロール(「2ビープ」)は、ミキシングエンジニアが同期の基準として使用し、作曲家のオーディオファイルにも同じプリロールを挿入すると想定されます。 しかし、音楽制作を行う場合、このプリロールは作曲家にとって厄介な問題となります。 作曲家が作業をする場合、ムービーの演技がソングタイムの 1.1.1 と SMPTE タイムの00:00:00:00からスタートする方が自然です。 このような場合、以下のような手順でビデオクリップをトリミングすると対応できます。

  1. まず、ムービーファイルをアレンジメントの開始部分(1.1.1)へドロップします。
アレンジメント開始部分のビデオクリップ
  1. 次に、ビデオクリップのタイトルバーをダブルクリックし、クリップの内容をクリップビューに表示します。 スタートマーカーを右へドラッグし、ビデオクリップが演技の開始部分から始まるようにします。
スタートマーカーをプリロールの後へドラッグ
  1. これで、演技と作曲した音楽が 1.1.1 / 00.00.00.00 からスタートするようになりました。 制作が完了し、ディスクに書き出す準備ができたら、プリロールを再び元に戻す必要があります。
  2. アレンジメントビューで、すべての素材を選択([編集]メニューから[すべてを選択])してから、数秒分右へドラッグします。
ビデオクリップと音楽の最終クリップ
  1. ここで、ビデオクリップのタイトルバーをクリック(その他すべての選択を解除)してから、ビデオクリップの左端を左へドラッグし、プリロールが再び表示されるようにします。
プリロールが復元されたビデオクリップ

[オーディオ/ビデオをエクスポート]コマンドは、アレンジメントの選択範囲の長さでサンプルファイルを生成します。 この場合、ビデオクリップは選択されたままになるので、エクスポートされたサンプルファイルは、プリロールを含むオリジナルのムービーファイルとまったく同じ長さになります。