30. Live インストゥルメント・リファレンス
Live には、物理モデリング、FM合成、ウェーブテーブル方式などを基にしたデバイスなど、独自に設計された内蔵インストゥルメントが付属します。
Liveでのインストゥルメントの使用方法の基本を知るには、 「インストゥルメントとエフェクトを使用する」 の章をご覧ください。
なお、Liveのエディションによって 使用できる機能 が異なるため、このリファレンスで扱っているインストゥルメントは、すべてのエディションで使用できるわけではないことにご注意ください。
30.1 Analog

Analogは、Applied Acoustics Systemsとのコラボレーションにより作成したバーチャル・アナログ・シンセサイザーです。 このインストゥルメントでは、特定のビンテージ・アナログシンセサイザーをエミュレートするのではなく、有名なビンテージ・シンセサイザーのさまざまな機能を組み合わせ、最新のインストゥルメントを構築しています。 Analogでは、シンセサイザーのさまざまなコンポーネントを、物理モデリングでシミュレートしてサウンドを生成します。 この技術では、物理学的法則を使用してオブジェクトやシステムによるサウンドの生成を再現します。 Analogの場合、アナログ回路がどのように動作するか記述した方程式をリアルタイムで解きます。 Analogでは、サンプリング音源や波形サンプルを使用しません。 サウンドは、各パラメーター値に従ってCPUがリアルタイムで計算しています。 このサウンド合成方式では、音質、リアリティ、温かみ、再生のダイナミクスを維持できます。
30.1.1 アーキテクチャーとインターフェース
Analogの信号経路を以下の図で示します。

このシンセサイザーの主な音源となるのは、2基のオシレーターとノイズ・ジェネレーターです。 これらの音源は、2基のマルチモード・フィルターへ個別にルーティングされ、このフィルターはそれぞれ増幅器(アンプ)へ接続しています。 また、この信号経路はフィルターを直列または並列に通すことができます。
Analogには2基の低周波オシレーター(LFO)が搭載されており、このLFOでオシレーター、フィルター、アンプをモジュレーションできます。 さらに、各フィルターとアンプには、専用のエンベロープジェネレーターが備えられています。
Analogのインターフェースは、 ディスプレイ とその周りを囲む シェル の2つの部分から構成されています。 このシェルには、選択したセクションの最も重要なコントロールがあります。シェル内でセクションを選択すると、ディスプレイが更新されて、パラメーターや追加コントロールを表示します。 この合成モジュールに加え、インストゥルメントのボリューム、ビブラート、ポリフォニーなど一般的なパフォーマンスパラメーターを含むグローバルセクションを備えています。また、MPEセクションでは、プレッシャー、スライド、ノートごとのピッチベンドの3つのMPEソースのコントロールを備え、MPE対応コントローラーでAnalogの音作りを可能にします。
30.1.2 オシレーター

Analogの2基のオシレーターは、ビンテージ機器のオシレーターの特性をキャプチャするのに物理モデリングを使用しています。 波形サンプルではなくモデリングを使用しているため、エイリアスノイズを防ぐことができます。
それぞれのオシレーターは、シェルの[Osc 1]や[Osc 2]と書かれたスイッチで、個別にオン/オフを切り替えられます。 オシレーターの出力レベルは、このスイッチの右のスライダーを使って調整します。
[F1/F2]スライダーでは、2基のフィルターへ出力する各オシレーターのバランスを調整します。 スライダーが中央の位置にある場合、同じ音量の信号が両方のフィルターへ送られます。 一番上や一番下に設定した場合、信号は[フィルター 1]か[フィルター 2]の片方のみへ送られます。
[Shape]セレクターではオシレーターの波形を選択します。 選べる波形は、サイン波、三角波、矩形波、ホワイトノイズです。 矩形波を選択すると、ディスプレイで[Pulse Width]パラメーターが使用可能になり、波形のパルス幅を変更できます。 [Width]の値が低いと波形の幅が非常に狭くなり、細くてちぢこまったサウンドになります。 100%にすると、波形は完全な矩形波となり、奇数倍音のみになります。 また、[Width]の隣のスライダーを使用すると、LFOでパルス幅にモジュレーションをかけられます。 なお、このパラメーターは、対応するLFOがオンの場合にのみ使用可能になります。
シェルの[Octave][Semi][Detune]コントロールは、粗調整と微調整用のチューナーとして機能します。 [Octave]は、オシレーターをオクターブ単位でトランスポーズし、[Semi]はセミトーン単位で上下にトランスポーズします。 [Detune]ノブは、セント単位で上下に最大3セミトーン( 300 セント)まで調整します。
オシレーターのピッチは、ディスプレイの[Pitch Mod]と[Pitch Env]パラメーターでモジュレートできます。 [LFO]スライダーは、LFOがピッチをモジュレートする量を設定します。 繰り返しますが、このパラメーターはLFOがオンの場合にのみ使用可能です。 [Key]スライダーは、MIDIノートのピッチによってオシレーターのチューニングがどの程度変化するかコントロールします。 デフォルト値の 100%では、オシレーターが平均律に一致します。 それより高い値や低い値では、鍵盤上のノート間の距離が変わります。 0%の場合、オシレーターはノートのピッチの影響を受けません。 この仕組みを理解するには、片方のオシレーターを 100% にしたまま、もう片方のオシレーターで[Key]をわずかに異なる値に設定してみましょう。 この状態で、中央のC付近でスケールを演奏します。C3 は[Key]の値に関係なく常に同じ周波数をトリガーしますが、C3 から遠くなるほど2つのオシレーターのチューニングが外れていきます。
[Pitch Env]では、時間の経過に沿ってオシレーターのピッチをモジュレーションする傾斜を設定します。 [Initial]はオシレーターの開始ピッチを設定して、 [Time]はピッチが最終値へ移行するまでにかかる時間を調整します。 両方のパラメーターを調整するには、スライダーを使用するか、エンベロープ・ディスプレイ内のブレークポイントを調整します。
ディスプレイの[Sub/Sync]パラメーターでは、サブオシレーターまたはハードシンクモードのいずれかを選択できます。 [Mode]セレクターを[Sub]に設定すると、メインオシレーターより1オクターブ低い追加オシレーターの出力レベルを[Level]スライダーで設定します。 メインオシレーターの[Shape]を三角波かノコギリ波に設定した場合は、サブオシレーターが矩形波を生成し、メインオシレーターをサイン波に設定した場合は、サイン波を生成します。 なお、メインオシレーターの[Shape]をホワイトノイズに設定した場合は、サブオシレーターを使用できません。
[Mode]セレクターを[Sync]に設定すると、 [Ratio]スライダーで設定した内部オシレーターの周波数でオシレーターの波形を再スタートさせます。 0% の場合、内部オシレーターと可聴オシレーターの周波数が一致するので、オシレーターシンクの効果はありません。 [Ratio]を上げていくと、内部オシレーターのレートが上がり、可聴オシレーターの倍音成分が変化します。 アナログの汚れた質感を最大にするには、[Sync]レシオにモジュレーションホイールやMIDIコントローラーをマッピングすると良いでしょう。
30.1.3 ノイズジェネレーター

Analogのノイズジェネレーターはホワイトノイズを生成し、 -6dB/oct のローパスフィルターを内蔵しています。 このジェネレーターは、シェルの[Noise]スイッチでオン/オフを切り替えます。 ノイズの出力レベルは、[Noise]スイッチの右側にあるスライダーで調整します。
[F1/F2]スライダーでは、2基のフィルターへ送るノイズジェネレーターの出力バランスを制御します。 スライダーが中央の位置にある場合、同じ音量の信号が両方のフィルターへ送られます。 一番上や一番下に設定した場合、信号はフィルター 1 またはフィルター 2 の片方のみへ送られます。
[Color]ノブでは、内部ローパスフィルターの周波数を設定します。 値を高くすると、より高い周波数を出力します。
[Noise]はシェルパラメーターしか備えていないため、パラメーターを調整しても、ディスプレイの表示は変更されません。
30.1.4 フィルター

Analogの2基のマルチモード・フィルターは、柔軟なルーティング構造、複数のサチュレーション・オプション、幅広いモジュレーションを備えています。 オシレーターと同様に、すべてのパラメーターはフィルターごとに別々の設定ができます。
シェルの[Fil 1]と[Fil 2]スイッチは、それぞれのフィルターのオン/オフを切り替えます。 フィルターのスイッチの隣にあるセレクターでは、フィルター・タイプを2ポールと4ポールのローパス、バンドパス、ノッチ、ハイパス、フォルマントフィルターの中から選択できます。
フィルターのレゾナンス周波数はシェルの[Freq]ノブで調整して、 レゾナンスの量は[Reso]コントロールで調整します。 セレクターでフォルマントフィルターを選択すると、[Reso]コントロールは母音を切り替えます。
各モードセレクターの下には、2基のフィルターでそれぞれ異なる追加コントロールを備えています。 フィルター 1 では、[To F2]スライダーを使用すると[フィルター 1] から[フィルター 2]へ出力する量を調整できます。 [フィルター 2 ]のモードセレクター下の[Follow]スイッチは、このフィルターのカットオフ周波数を[フィルター 1]のカットオフに追従させます。 これをオンにすると、[フィルター 2] の[Freq]ノブは、2基のカットオフの量でオフセットを制御します。 Analogのモジュレーションソースのいずれかで[フィルター 1]のカットオフをコントロールしている場合、[Follow]をオンにすると[フィルター 2]にも影響します。
エンベロープ コントロールに加え、フィルターのディスプレイ表示は、さまざまなモジュレーション・パラメーターや[Drive]セレクターを備えています。 カットオフ周波数とレゾナンスは、[Freq Mod]と[Res Mod]のセクションのスライダーを使用すると、LFO、ノートピッチ、フィルターエンベロープで別々にモジュレーションをかけられます。 モジュレーションが正の値ではカットオフやレゾナンスの量を増やし、負の値では減らします。
ディスプレイの[Drive]セレクターでは、フィルター出力にかけるサチュレーションの種類を選択します。 3つのSymオプションは対称のディストーションをかけます。 つまり、サチュレーションの動作は、正と負の両方に対して同じになります。 Asym モードでは、サチュレーションが非対称になります。 どちらのモードでも、数値を高くするとディストーションも増えます。 [Drive]をオフにするには、セレクターで[Off]を選択します。 さまざまなオプションを試して、入力信号にどのような影響を与えるか感覚をつかむと良いでしょう。
30.1.5 アンプ

フィルターを通過すると、信号はアンプへとルーティングされます。 アンプでは、アンプ・エンベロープとパンニングによってさらに音作りができます。 すべてのパラメーターはアンプごとに別々の設定ができます。
シェルの[Amp 1]と[Amp 2]スイッチは、それぞれのアンプのオン/オフを切り替え、 [Level]ノブで出力レベルを制御します。 [Pan]ノブは、ステレオフィールド内でアンプの出力の位置を設定します。
アンプのディスプレイは、エンベロープのコントロールに加え、さまざまなモジュレーションのパラメーターや[Drive]セレクターを備えています。 [Pan]と[Level]の量は、[Pan Mod]や[Level Mod]セクションのスライダーを使用すると、 LFO、ノートピッチ、アンプエンベロープで別々にモジュレーションをかけられます。 なお、[Level]のモジュレーションソースにノートピッチを使用している場合、モジュレーションの量に関係なく、中央のノートCは常に同じサウンドになります。 正の値では、高いノートになるほど音量が上がります。
30.1.6 エンベロープ

Analogには、オシレーターセクションのピッチエンベロープに加え、各フィルターとアンプにも専用のエンベロープが備えられています。 これら 4つのエンベロープはすべて同じコントロールを備えており、ディスプレイ内に収められています。 それぞれのエンベロープは、標準的な ADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)設計で、ベロシティによるモジュレーションやループ機能を搭載しています。
アタックタイムの設定は、[Attack]スライダーで行います。 このアタックタイムは、[Att > Vel]スライダーを使用してベロシティでもモジュレーションできます。 [Att > Vel]の値を上げると、高いベロシティ値の時にアタックタイムは徐々に短くなります。
アタック段を通過した後、エンベロープがサステインレベルに到達するまでの時間は、[Decay]スライダーで設定します。
[Sustain]スライダーでは、ディケイ段の終わりから鍵盤から手を離したリリース段まで、エンベロープを維持するレベルを設定します。 このスライダーを一番下まで下げると、サステイン段は生じません。 一番上まで上げると、ディケイ段は生じません。
エンベロープの全体的なレベルは、[Env > Vel]スライダーを使用すると、ベロシティでさらにモジュレーションをかけられます。
[S.Time]スライダーでは、鍵盤を押している間でもサステインレベルを下げるようにできます。 低い値では、サステインレベルがより速く下がります。
最後のリリースタイムの設定は[Release]スライダーで行います。 これは、鍵盤から手を離した後にエンベロープがゼロに到達するまでの時間です。
[Slope]スイッチは、エンベロープ部分の形状をリニアとエクスポネンシャルの間で切り替えます。 この変更は、エンベロープ表示にも反映されます。
通常では、新規ノートがエンベロープの動作をアタック段の最初からトリガーします。 [Legato]をオンにすると、すでに別のノートが押されている時に新たなノートを再生すると、最初のノートのエンベロープを現在の位置から使用します。
[Free]スイッチをオンにすると、エンベロープはサステイン段をバイパスして、ディケイ段からリリース段へ直接移行します。 この動作では、鍵盤を押している長さに関係なく同じ長さのノートを生成するため、「トリガー」モードと呼ばれることがあります。 フリーランモードは、パーカッシブなサウンドに最適です。
[Loop]セレクターでは、鍵盤を押している間にエンベロープの特定部分を繰り返すオプションを選択できます。 [Off]を選択すると、エンベロープはループせず全体を通して 1回再生します。
[AD-R]を選択すると、エンベロープは通常通りアタックとディケイから始まりますが、サステインレベルは維持せず、鍵盤から手を離すまでリリース段が始まる位置でアタックとディケイの動作を繰り返します。 [ADR-R]モードは似ていますが、鍵盤を押さえている間はリリース段がループします。
なお、[AD-R]と[ADR-R]のモードでは、[Free]をオンにすると鍵盤を常に押さえているように動作します。
[ADS-R]モードではエンベロープがループせず再生しますが、鍵盤から手を離すと、アタック段とリリース段がもう 1度再生されます。 アタックタイムとリリースタイムが短い場合、このモードでは、音が出るダンパーを備えた楽器をシミュレートできます。
30.1.7 LFO

Analogの2つのLFOは、オシレーター、フィルター、アンプのモジュレーション・ソースとして使用できます。 他のセクションと同様に、各LFOは専用のパラメーターを備えています。
シェルの[LFO 1]と[LFO 2]スイッチではそれぞれのLFOのオン/オフを切り替え、[Rate]ノブではLFOの速度を設定します。 このノブの隣にあるスイッチでは、[Rate]の速さをヘルツ単位の周波数とテンポ同期した拍分割で切り替えます。
ディスプレイの[Wave]セレクターでは、LFOの波形を選択します。 選べる波形は、サイン波、三角波、矩形波、2種類のノイズです。 1つ目のノイズ波形はランダム値の間で階段状に変化し、2つ目の波形は滑らかな傾斜状に変化します。 [Tri]または[Rect]を選択すると、[Width]スライダーで波形のパルス幅を調整できます。 [Tri]を選択した場合、[Width]の値が低いと波形が上向きのノコギリ波になり、値が高いと下向きのノコギリ波になります。 50% では、波形は完全な三角波になります。 この動作は、[Rect]設定の場合も同様です。 50% の場合、波形は完全な矩形波となり、値が低いとパルスネガティブで、高いとパルスポジティブになります。 なお、LFOの波形をサイン波やノイズモードに設定していると、[Width]は使用できません。
[Delay]スライダーは、ノートの開始からLFOの動作が始まるまでにかかる時間を設定して、 [Attack]は、LFOが最大振幅に到達するまでにかかる時間を設定します。
[Retrig]をオンにすると、ノートがトリガーされるたびに、LFOは同じ位相の位置から再スタートします。 [Offset]スライダーはLFO波形の位相を調整します。
30.1.8 Global パラメーター

シェルとディスプレイの[Global]パラメーターは、AnalogがMIDIデータに対する応答を調整したり、ビブラートやグライドなど演奏に関するパラメーターのコントロールを備えています。
シェルの[Volume]コントロールは、このインストゥルメントの全体的な出力を調整します。 これがインストゥルメントの最終的な出力レベルとなり、アンプセクションの出力を増減できます。
[Vib](ビブラート)スイッチはビブラート効果のオン/オフを切り替え、その横のパーセンテージスライダーでビブラートの振幅を調整します。 Analogのビブラートは、基本的には追加のLFOですが、両オシレーターのピッチに固有のものです。 [Rate]スライダーでビブラートの速度を設定します。
ビブラート効果をオンにすると、[Vibrato]の4つの追加パラメーターがディスプレイ上で使用可能になります。 [Delay]スライダーでノートの開始からビブラートが始まるまでにかかる時間を設定して、 [Attack]でビブラートが最大強度になるまでにかかる時間を設定します。 [Error]スライダーでは、各ポリフォニック・ボイスに適用するビブラートの[Rate][Amount][Delay][Attack]の各パラメーターに対して、ランダムな偏差を加えます。 [Amt > MW]スライダーでは、モジュレーションホイールがビブラートの強度に与える影響を調整します。 このコントロールは、パーセンテージで設定する[ビブラート量」のスライダー値に相対しています。
シェルの[Uni](ユニゾン)スイッチは、ユニゾン効果をオンにして、再生する各ノートに対して複数のボイスを重ねます。 このスイッチの隣にある[Detune]スライダーでは、重ねたそれぞれのボイスに対してチューニングを変える量を調整します。
ユニゾン効果をオンにすると、ユニゾンの2つの追加パラメーターがディスプレイ上で使用可能になります。 [Voice]セレクターでは、重ね合わせるボイスの数を 2または4 から選択して、[Delay]スライダーでは、重ね合わせる各ボイスがオンになるまでの時間を延ばします。
[Gli](グライド)スイッチでは、グライド効果のオン/オフを切り替えます。 これは、ノートからノートへ移行するときにピッチをすぐに変えるのではなく、スライドさせる場合に使用します。 [Legato]をオンにすると、スライドが発生するのは、1番目のノートがリリースされる前に2番目のノートを発音した場合のみになります。 [Time]スライダーでは、スライドの全体的な速さを設定します。
グライドをオンにすると、[Mode](グライドモード)セレクターの追加パラメーターがディスプレイで使用可能になります。 [Const]を選択すると、グライドタイムは音程に関係なく一定になります。 [Prop](プロポーショナル)を選択すると、グライドタイムはノート間の距離に比例します。 間隔が大きいと、小さいときよりグライドがゆっくりになります。
ディスプレイ左側の[Quick Routing]オプションでは、パラメーターのルーティングを簡単に設定することができます。 左上のオプションは、並列ルーティング構造に設定します。 各オシレーターは、専用のフィルターとアンプへ排他的に信号を流します。 右上のボタンは似ていますが、オシレーターの出力は2基のフィルターに対して均等に分割されます。 左下のオプションでは、両方のオシレーターが[フィルター 1]と[アンプ 1]へと流れ、[フィルター2]と[アンプ2 ]が完全にオフとなります。 最後に、右下のオプションでは、直列ルーティング構造に設定します。 両方のオシレーターから[フィルター 1]へと流れ、その後[フィルター 2]と[アンプ 2]へ排他的に流れていきます。
なお、[Quick Routing]オプションは、オシレーターレベル、チューニング、波形のパラメーターに加えた変更には影響しません。オシレーターのフィルターおよびそれに続くアンプへのルーティングを調整するのみです。
ディスプレイ内の[Keyboard]セクションでは、Analogのチューニングとポリフォニーのパラメーターを備えています。 [Octave][Semi][Detune]のコントロールは、粗調整と微調整用チューナーとして機能します。 [Octave]は、インストゥルメント全体をオクターブ単位でトランスポーズし、[Semi]はセミトーン単位で上下にトランスポーズします。 [Detune]スライダーは、チューニングをセント単位で(上下に最大 50 セントまで)調整します。
[PB Range](ピッチベンドレンジ)では、ピッチベンドによるモジュレーションの範囲をセミトーン単位で設定します。
[Stretch]では、ストレッチ・チューニングと呼ばれる技術をシミュレートします。これは、エレクトリックピアノとアコースティックピアノの両方でよく見られるチューニング方法です。 0% にすると、Analogは平均律で発音します。1オクターブ離れた2つのノートでは、上のノートの基音が下のノートのちょうど2倍になります。 [Stretch]値を上げると、上のノートのピッチが上がり、下のノートのピッチが下がります。 その結果、サウンドがより明瞭になります。 負の値にすると、「負の」ストレッチ・チューニングをシミュレートします。上のノートがフラットになり、下のノートがシャープになります。
[Error]スライダーでは、各ノートに適用するランダムなチューニング・エラーの量を増やします。
[Voices]セレクターでは、使用可能なポリフォニー数を設定します。 [Priority]では、最大ポリフォニーを超えた場合にどのノートの発音を止めるか設定します。 [Priority]を[High]に設定すると、現在持続しているノートよりも高い新規ノートが優先され、一番低いピッチのノートが止まります。 [Low]はその逆になります。 [Priority]設定を[Last]に設定すると、直前に再生したノートが優先され、必要に応じて古いノートから止まります。
30.1.9 MPEソース

ディスプレイの[Global]セクション内にある[MPE]スイッチを切り替えると、[Pressure][Slide][NotePB](ノートごとのピッチベンド)の3つのMPEソースが表示されます。これらを使用するとAnalogのサウンドをさらに加工できます。
2つの[Pressure Destination]セレクターを使用すると、MPEプレッシャーデータをルーティングするターゲットを最大2つまで指定できます。 右側の[MPE Pressure Amount]スライダーを使用すると、選択したターゲットに対してMPEデータがモジュレーションする量を設定できます。
また[Slide]は2つの[MPEスライド対象]セレクターを備え、それぞれ専用の[MPE Slide Amount]スライダーでは、MPEスライドのデータがこのターゲットにどの程度影響を与えるか制御できます。
AnalogがMPEプレッシャーやスライドのデータを受信すると、[Pressure]と[Slide Activity]のLEDが点灯します。
[Note PB]スライダーは、ノートごとのピッチベンド範囲をセミトーン単位で設定します。
30.2 Collision

Collisionは、マレットを使う打楽器の特性をシミュレートしたシンセサイザーです。 Applied Acoustics Systemsとのコラボレーションにより開発されたCollisionは、物理モデリング技術を使用し、実在する物体(または架空の)のサウンド生成と共鳴装置をモデリングしています。
30.2.1 アーキテクチャとインターフェース
Collisionのサウンドは、[Mallet]と[Noise]オシレーターによって生成されます。 これらのオシレーターは、独立した(またはリンクした)ステレオの 共鳴装置 に送られます。 オシレーターはサウンドの初期成分を生成するのに対し、共鳴装置のパラメーターはサウンドの特性に最も大きな影響を与えます。
なお、[Mallet]と[Noise]セクションの両方をオフにすると、Collisionは音を出しません。
Collisionのインターフェースはセクションとタブに分かれています。 [Mallet]と[Noise]のセクションには、それぞれ[Mallet]と[Noise]オシレーターのコントロールを備えています。 [Resonator 1]と[Resonator 2]のタブには、それぞれのレゾネーターのパラメーターが含まれています。
[LFO]タブには、2つの独立したLFOが含まれています。 LFOはそれぞれ複数のパラメーターをモジュレートできます。 同じように、[MIDI/MPE]タブでは、MIDIピッチベンド、モジュレーションホイール、アフタータッチのメッセージや、MPE(MIDI Polyphonic Expression)などを複数のターゲットにルーティングできます。
[MIDI/MPE]タブの右には、グローバルパラメーターのセクションがあり、ボイスのポリフォニー、ノートのリトリガー、共鳴装置構造、全体の出力ボリュームを備えています。
ヒント:未使用のセクションやタブをオフにすることでCPUリソースを節約できます。
30.2.2 Mallet セクション

[Mallet]セクションでは、マレットを表面に打ち付けた衝撃をシミュレートします。 パラメーターでは、マレット自体の物質的特性を調整します。
[Mallet]ボタンで、このセクションのオン/オフを切り替えます。
[Volume]では、マレットの全体的な出力レベルをコントロールします。 [MIDI]タブの[Key]と[Vel]のスライダーを調整すると、[Volume]パラメーターをピッチとベロシティでモジュレートできます。
[Stiffness]はマレットの硬度を調整します。 値が低いとマレットは柔らかくなり、高域の周波数が減り、衝撃が長く柔らかくなります。 硬度を上げると、衝撃時間が短くなり、高域の周波数成分が増えます。 このパラメーターは、[MIDI]タブの[Key]と[Vel]のスライダーでピッチとベロシティでモジュレートできます。
[Noise]は、マレットの打撃に含まれるインパクト・ノイズの量を設定します。 フェルトで覆われたマレットのサウンドをシミュレートするのに便利です。 [Noise]パラメーターは、[MIDI]タブの[Key]と[Vel]のスライダーを調整すると、ピッチとベロシティでモジュレートできます。
[Color]では、ノイズ成分の周波数を設定します。 高い値では、ノイズ内の低域の周波数成分が少なくなります。 [Noise]を 0 に設定した場合、このパラメーターは効果がありません。
30.2.3 Noise セクション

[Mallet]と同様に、[Noise]セクションもCollisionの初期打撃音を生成します。 このノイズオシレーターがホワイトノイズを生成して、マルチモードフィルターと専用のエンベロープジェネレーターへと送られます。 このセクションは、[Mallet]セクションの代わりとしても、また[Mallet]セクションに加えても使用できます。
[Noise]ボタンでこのセクションのオン/オフを切り替えます。
[Noise]ボタンの隣にあるドロップダウンメニューから、使用するノイズフィルター・タイプを選択します。 選択可能なフィルターは[LP][HP][BP][LP+HP]です。 フィルターのカットオフとレゾナンスは、[Freq]ノブと[Res]スライダーで調整します。
[BP]モードでは、[Res]スライダーでレゾナンスを調整します。 [LP+HP]モードでは、バンド幅を調整します。 フィルター周波数のモジュレーションは、ノートピッチ、ベロシティ、エンベロープジェネレーターを使用できます。 [MIDI]タブの[Key]や[Vel]のスライダーか、[Env Amt]ノブで調整します。
[Volume]では、[Noise]セクションの全体的な出力レベルをコントロールします。[MIDI]タブの[Key]と[Vel]のスライダーで、ピッチやベロシティでモジュレートできます。
[Env Amt]ノブでは、標準的なADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)オプションを備えたエンベロープジェネレーターを制御します。
アタックタイム([Noise]が最大音量に到達するまでの時間)は、[A](アタック)スライダーで設定します。 また、エンベロープがアタック段からサステインレベルに到達するまでの時間は、[D](ディケイ)スライダーで設定します。
[S](サステイン)スライダーでは、ディケイ段の終わりからリリースまでの間にエンベロープを維持するレベルを設定します。 このスライダーを[0]に設定すると、サステイン段はありません。 [100]に設定すると、ディケイ段はありません。
リリースタイムは、[R](リリース)スライダーで設定します。 これは、鍵盤から手を離した後にエンベロープがゼロに到達するまでの時間です。
[Freq]ノブでは、フィルターの中心周波数やカットオフ周波数を設定します。 [Res]スライダーでは、[LP][HP][BP]フィルターのレゾナンスと、[LP+HP]フィルターの幅を設定します。
30.2.4 Resonator タブ

Collisionの特徴の主要な部分は、2つの[Resonator]タブのパラメーターによって決まります。 共鳴装置は、それぞれのタブのスイッチでオン/オフを切り替えられます。 両方の共鳴装置をオフにすると、音が出なくなるのでご注意ください。
[Resonator]タブの上部には、オブジェクトの[共鳴体タイプ]ドロップダウンメニューがあります。
- [Beam]は、さまざまな素材やサイズの音板の共鳴特性をシミュレートします。
- [Marimba]は[Beam]の異形で、音板が深いアーチ状にカットされていることにより生じる、マリンバの特徴的なチューニングを再現します。
- [String]は、さまざまな素材やサイズの弦の共鳴特性をシミュレートします。
- [Membrane]は、(ドラムヘッドなどの)長方形の膜をモデルにしたもので、さまざまな素材や構造から選択できます。
- [Plate]は、さまざまな素材やサイズのプレート(平面)から出る音をシミュレートします。
- [Pipe]は円筒をシミュレートします。 この円筒は、片方の端が完全に開放され、もう片方の端は可変の開口部([Opening]パラメーターを使って調整)になっています。
- [Tube]は、両端が閉じている円筒をシミュレートします。
オブジェクトを選択すると、X-Yコントローラーディスプレイにビジュアル表示されます。
[共鳴体タイプ]ドロップダウンメニューの隣は、[クオリティ]メニューで[Eco]から[High]までのオプションがあります。 [クオリティ]では、演算する倍音を減らすことで、共鳴装置の音質とCPU性能のバランスをコントロールします。 [Eco]では使用するCPUリソースが最低限になり、[High]では音質が高くなります。 なお、[Pipe]と[Tube]の共鳴装置には[クオリティ]メニューがありません。
各共鳴装置にはコピーボタン(共鳴装置 1 では[1 → 2]、共鳴装置 2 では[ 2 → 1])を備え、これを使うと、一方の共鳴装置の設定をもう一方の共鳴装置にすべてコピーできます。
X-Yコントローラーを使用すると、マウスを水平方向にドラッグして共振オブジェクトの減衰時間を変更したり、垂直方向にドラッグして[Material]や[Radius]のパラメーターを変更できます。
ディケイタイムは、共鳴装置の内部で減衰する量を調整します。これは[Decay]スライダーで調整することもできます。
[Material]スライダーでは、さまざまな周波数におけるダンピングの変化を調整します。 値が低いと、低域の周波数成分が高域に比べてゆっくりと減衰します(木・ゴム・ナイロン製の物体をシミュレートします)。 値が高いと、高域の周波数成分は低域に比べてゆっくりと減衰します(ガラス・金属製の物体をシミュレートします)。
[Pipe]と[Tube]の共鳴装置では、[Material]パラメーターの代わりに[Radius]パラメーターを使用できます。 このスライダーでは、パイプやチューブの半径を調整します。 半径が大きくなるにつれて、減衰時間と高域の周波数成分の持続時間が長くなります。 サイズが非常に大きくなると、共鳴装置の基音も変化します。
[Decay][Material][Radius]のパラメーターは、[MIDI]タブの[Key]と[Vel]のスライダーでピッチとベロシティでモジュレートできます。
[Ratio]は、[Membrane]と[Plate]でのみ使用可能です。このパラメーターでは、物体のサイズ比をX軸とY軸に沿って調整します。
[Brightness]コントロールでは、さまざまな周波数成分の振幅を調整します。 値が高いと、高域の周波数成分が大きくなります。 このパラメーターは、[Pipe]や[Tube]では使用しません。
[Inharm]ノブでは、共鳴装置の倍音のピッチを調整します。 負の値では、周波数成分が押し込まれ、より低い周波数の成分が増えます。 正の値では、周波数成分が引き伸ばされ、より高い周波数の成分が増えます。 [Inharm]は、[MIDI]タブのスライダーを介してベロシティでもモジュレートできます。 なお、このパラメーターは[Pipe]や[Tube]では使用しません。
[Opening]は[Pipe]でのみ使用可能で、パイプの開口部を調節します。 0%では、パイプの一端は完全に閉じており、100%ではパイプの両端とも開いています。 このパラメーターは[MIDI]タブのベロシティでもモジュレートできます。
[Hit]スライダーでは、共鳴装置のどこが叩かれるか、または振動が加えられるかを調整します。 0%の場合、物体の中央で振動が加えられます。 値を高くすると、振動を加える位置が端へと移動します。 [Hit]位置は、ノブの下の[Rnd]スライダーの値を上げることで、ランダムな設定にもできます。 なお、このパラメーターは[Pipe]や[Tube]では使用しません。
[Note Off]は、MIDIノートオフメッセージが共鳴をミュートする範囲を決めます。 0%の場合、ノートオフは無視され、減衰時間は[Decay]パラメーターの値にのみ基づきます。 これは、マリンバやグロッケンシュピールなど、実際のマレット楽器が作用する仕組みに似ています。 100%にすると、共鳴は[Decay]の値に関係なくノートオフと同時にミュートします。
[Pos.L]と [Pos.R]のコントロールは、 左と右の共鳴装置の振動の測定位置を調整します。 0%の場合、物体の中央で共鳴音が測定されます。 値を高くすると、リスニングポイントが端へと移動します。 これらのパラメーターは、[Pipe]または[Tube]では使用しません。 この2つは常に開口している端の中央で測定されます。
30.2.4.1 チューニング・セクション

[Tune]ノブと[Fine]スライダーでは、チューニングの粗調整と微調整を行います。 [Tune]ではセミトーン単位で上下に移動し、[Fine]ではセント単位(最大 ±50 セントまで)で調整できます。
[Tune]ノブは、[MIDI]タブの[Key]スライダーでもモジュレートできます。 [Key]スライダーでは、MIDIノートのピッチを変えるとどの程度共鳴装置のチューニングが変わるか設定します。 デフォルト値が100%の場合、共鳴装置は平均律に一致します。 200%にすると、鍵盤上の半音ごとにチューニングが全音分ずれます。 負の値では、鍵盤の高い方を演奏すると、共鳴装置のピッチが下がります。
[Pitch Envelope]パラメーター([Pitch Env]と[Time])は、時間の経過に沿って共鳴装置のピッチをモジュレートする傾斜を設定します。 [Pitch Env]で開始ピッチを設定して、 [Time]ではピッチが最終値へ到達するまでにかかる時間を調整します。 開始ピッチは、[MIDI]タブの[Vel]スライダーを使用すると、ベロシティでモジュレートすることができます。
30.2.4.2 ミキサー・セクション

共鳴装置には、それぞれ専用の[Gain]と[Pan]のコントロールがあります。 [MIDI]タブの[Key]スライダーを使用すると、ノートのピッチでも[Pan]をモジュレートできます。
[Bleed]コントロールでは、オリジナルのオシレーター信号の一部を共鳴信号にミックスします。 値が高いと、オリジナルの信号がより多く加えられます。 チューニングやクオリティを低い値に設定すると、高域の周波数成分が減衰されることがあります。このパラメーターは、そのような周波数成分を元に戻すのに便利です。
[Gain]では選択されている共鳴装置の出力レベルを調整します。
30.2.5 LFOタブ

Collisionの2つの独立したLFOは、さまざまなマレット、ノイズ、共鳴装置のパラメーターに対するモジュレーション・ソースとして使用できます。 パラメーターは、[Destination]セレクターで選択できます。 また、互いをモジュレートすることもできます。
[LFO 1]と[LFO 2]のスイッチでそれぞれのLFOのオン/オフを切り替え、[LFO波形]セレクターで波形を選択します。 波形は、サイン波、三角波、矩形波、2種類のランダム波形から選択できます。 1つ目のランダム波形はランダム値の間で階段状に変化し、2つ目は比較的スムーズな傾斜状に変化します。
[Offs.]スライダーでは LFOのフェーズオフセットを調整します。 [Retrig.]がオンの場合、ノートをトリガーすると、LFOが[Offset]パラメーターで設定した波形の位置から再びスタートします。
それぞれのLFOは、[Destination]セレクターで設定した2つのターゲットをモジュレートできます。 モジュレーションの強さは、[LFO対象 適用量]のスライダーで調整します。 ここで設定するモジュレーションの量は、LFOの[Amount]の値に相対します。
[Rate]では、LFOの速度を調整します。ヘルツまたはテンポに同期した拍分割単位で設定できます。 [Amount]ノブでは、LFOの全体的な強さを決定します。 [Rate]はノートのピッチで、[Amount]は[MIDI]タブのベロシティで、それぞれモジュレーションできます。
30.2.6 MIDI/MPEタブ

[MIDI/MPE]タブでは、標準的なMIDIコントローラーとMPE対応のコントローラーの両方に対して、内部のMIDIマッピングを幅広く設定できます。 MIDIコントローラーのピッチベンド(ノートごとのピッチベンドを含む)、モジュレーションホイール、プレッシャーとスライドの信号は、それぞれ2つのターゲットへマッピングできます。各モジュレーションの強度は、[Amount]スライダーで個別に設定できます。
その他のマレット、ノイズ、レゾネーター、LFOのパラメーターは、[Key]と[Vel]のスライダーを使用してピッチやベロシティでモジュレートできます。
30.2.6.1 グローバル・セクション

グローバル・セクションは、Collision の全体的な動作やパフォーマンスに関連するパラメーターを備えています。
[Voices]ドロップダウンメニューでは、同時に鳴らすことのできる最大ノート数を設定できます。
[Retrig.]がオンの場合、 すでに再生中のノートはリトリガーされ、追加ボイスを生成しません。 これによりCPUリソースを節約できます。
[Structure]では、共鳴装置を通る信号の流れを設定します。
直列モード[1 > 2]の場合、両方の共鳴装置が[Resonator 1]から出力されます。 [Resonator 1]の出力は、その後モノラルにミックスダウンされ、[Resonator 2]とその専用のミキサーへ(ステレオで)ルーティングされます。

並列モード[1 + 2]では、[Mallet]と[Noise]の出力は、ミックスされた後両方の共鳴装置へ直接送られます。

[Volume]は、全体の出力音量を設定します。
30.2.7 サウンドデザインのヒント
Collisionは、現実に存在する物体の性質をモデリングするようデザインされていますが、これらのモデルを利用し、さらに柔軟なサウンド生成を行うことができます。 Collisionでは、マリンバ/ヴィブラフォン/グロッケンシュピールなどのマレット楽器を極めてリアルにシミュレートすることができますが、このインストゥルメントのパラメーターを活用すれば、アコースティック楽器では絶対に出ないようなサウンドを簡単に生成できます。
生楽器のシミュレーションをプログラムするには、マレット楽器(マリンバなど)の発音動作の順序を理解し、Collision内のセクションでこの動作を視覚化すると分かりやすくなります。
- ばち([Mallet])で、音板([Resonator 1])を叩く。
- 音板の共鳴が、共鳴管([Resonator 2])によって増幅される。
このように標準的なモデルでは、[Mallet]と2つの共鳴装置を直列の構成([1 > 2])で組み合わせて構成されます。
もちろん、現実には存在しない サウンドをプログラムするのにルールはありません。
- [Noise]を試してみましょう。特に、エンベロープタイムを長くすると、ざらついたグラニュラーのようなテクスチャーを作れます。 これらのパラメーターは、ヴィブラフォンやクリスタルグラスを弦で弾く場合などの特殊な音響効果のシミュレートにも使用できます。
- 共鳴装置を並列の構成([1 + 2])で使ってみましょう。
- LFOとMIDIコントローラー(MPE対応のものを含む)を使って、Collisionのパラメーターをモジュレートしてみましょう。
アドバイス :多くの点で、Collisionは現実世界の物体を理想的な形でモデリングしています。 そのため、実機の共鳴装置よりも、入力に対して非常に感度が高い共鳴装置をプログラムすることがとても簡単です。 パラメーターの組み合わせによっては、音量が急激に変化することがあります。 新しいサウンド生成にチャレンジする際は、出力レベルを低く保つようにしましょう。
30.3 Drift

Driftは直感的なコントロールとシンプルなインターフェースで、MPEにも完全対応した万能なシンセサイザーです。 減算合成に基づいたDriftは、使用するCPUリソースを最小限に抑えながら、音作りをすばやく簡単にできるよう入念に作られています。
Driftのインターフェースは、6つの主要なセクションに分かれています:オシレーター・セクション、ダイナミックフィルター・セクション、エンベロープ・セクション、2つのモジュレーション([LFO]と[Mod])セクション、グローバルコントロール・セクションの6つです。
30.3.1 減算合成
減算合成とは、一般的に波形からスタートし、次にフィルターを使って元の音色から新しい音を形づくる手法です。 このプロセスに加えて、Driftはサウンドの調整やカスタマイズなどを行える多数のモジュレーションを備えており、幅広いサウンドを簡単に作れます。 このシンセサイザーの特徴である[Drift]コントロールを使用すると、各ボイスのピッチや周波数に揺らぎを加え、サウンド全体でわずかにデチューンされたアナログ的なうねりを生み出します。
30.3.2 Oscillator セクション

Driftのオシレーター・セクションは、2基のオシレーター、ピッチモジュレーションのコントロール、波形ディスプレイ、オシレーターミキサー、ノイズジェネレーターを備えています。
30.3.2.1 オシレーター 1
[Osc 1]ドロップダウンメニューを使用して、数種類の波形から選択できます。選べる波形は、サイン波、三角波、サメ歯波、飽和波、のこぎり波、パルス波、矩形波です。 サメ歯波と飽和波の波形は、Drift独自のものです。サメ歯波は、同名の伝統的なMoogのアナログ形状を元にしたもので、飽和波はベースの音に向いています。
[Oct]ノブでは、オシレーター 1 をオクターブ単位でトランスポーズします。 [Shape]ノブを使用すると、波形の倍音成分を少し異なるものへ変化させて、パルス幅のモジュレーションに近い効果が得られます。 音色は波形ごとに違うため、[Shape]コントロールに対する変化も波形ごとに異なります。 このコントロールを調整すると、オシレーター・セクション下部にある波形ディスプレイにその出力結果が表示されます。 [Shape]値を調整すると、波形がどのように変化するかわかるでしょう。
[Shape]ノブの右側には、[Osc 1 シェイプ モジュレーションソース]ドロップダウンメニューがあります。ここで[Shape]に作用するモジュレーションソースを選択すると、波形をさらに変形できます。
- [Env 1]
- [Env 2/Cyc]: モジュレーションには[Envelope 2]か[Cycling Envelope]のオンになっている方を使用できます。
- [LFO]
- [Key]: [シェイプモジュレーション適用量]を正の値に設定すると、高いピッチのノートにはより多くのモジュレーションがかかり、低いピッチでは少なくなります。この適用量が負の値の場合は、逆の動作になります。
- [Velocity]: 入力したベロシティのデータをモジュレーションに使用します。ノートのベロシティが高い場合はより多くのモジュレーションがかかり、ベロシティが低い場合では少なくなります。
- [Modwheel]
- [Pressure]
- [Slide]
モジュレーションの量は、[オシレーター 1 シェイプモジュレーション適用量]のスライダーを使用して、 -100% から 100% の間の任意の値に設定できます。 なお、この値を 1% 〜 100% に設定にすると、[Shape]の値が 0% であっても、シェイプモジュレーションが波形をモジュレートする場合があります。
30.3.2.2 オシレーター 2
[Osc 2]のドロップダウンメニューを使用して、2基目のオシレーターの波形をサイン波、三角波、飽和波、ノコギリ波、矩形波から選択します。
[Oct]ノブではオシレーター 2 をオクターブ単位でトランスポーズして、[Detune]コントロールではセミトーン単位でトランスポーズします。
30.3.2.3 ピッチモジュレーション
[Pitch Mod]セクションでは2つのモジュレーションソースを選択でき、両方のオシレーターのピッチに作用します。 [オシレーターピッチモジュレーションソース]のドロップダウンメニューを使用すると、モジュレーションソースを[Env 1][Env 2/Cyc][LFO][Key][Velocity][Modwheel][Pressure][Slide]から選択できます。 [オシレーターモジュレーション適用量]のスライダーは、各ソースがピッチをモジュレーションする度合いを -100% 〜 100% の範囲で設定します。
ピッチモジュレーションをかける時に、LFOのタイムモードを[Ratio]にすると、FMの音色を生成できます。
30.3.2.4 波形ディスプレイ

波形ディスプレイには、[Osc 1][Osc 2][Noise](オンの場合)の出力を組み合わせた結果が表示されます。 オシレーターを調整すると、波形がどのように変化するのかディスプレイで確認できます。
30.3.2.5 オシレーターミキサー

Driftのオシレーターミキサーでは、それぞれのスイッチを使用して、オシレーター 1 と 2 をオンにできるほか、出力波形にホワイトノイズを加えるノイズジェネレーターもオンにできます。
[Osc 1][Osc 2][Noise]の各コントロールを使用すると、各オシレーターとノイズジェネレーターのゲインも設定できます。 フィルター処理をオンにすると、オシレーターのゲイン値が高い場合にフィルターのヘッドルームの上限に達することがあります。そうなるとフィルターは線形に動作しなくなり、アナログ機器に見られるような複雑な歪みが生まれます。
フィルター回路は、歪みを発生させる飽和点が2つあります。ひとつはフィルターの前段で、もうひとつはフィルターの後段です。 オシレーターのゲイン値をデフォルトの -6.0 dBより上げると、1番目の飽和点に達します。ゲイン値を 0.0 dBより上げると、2番目の飽和点に達します。
ゲインコントロールの右にある矢印トグルを有効にすると、オシレーターとノイズジェネレーターのフィルター処理がオンになります。 フィルター処理がオフの場合、オシレーターとノイズジェネレーターの出力はフィルターを完全にバイパスします。
[R]スイッチは、オシレーターのリトリガーのオン/オフを切り替えます。 リトリガーがオンの場合、両方のオシレーターの位相は、ノートが再生されるたびに同じ位置にリセットされます。オフの場合、オシレーターは自由走行になります。
30.3.3 Filterセクション

フィルターは、オシレーターが生成した音色を形づくる上で重要な役割を果たします。
Driftの[Filter]セクションは、2つのタイプから選択できるローパスフィルターを備えていて、フィルターキートラッキング、レゾナンスコントロール、ハイパスフィルター、2つの周波数変調コントロールを備えています。
[Freq]ノブでは、ローパスフィルターのカットオフ周波数を設定します。 [Type]スイッチを使用すると、2種類のローパスフィルターを[タイプ I](12 dB/oct)と[タイプ II](24 dB/oct)で切り替えます。
タイプ I はDFM-1フィルターを使用しており、より多くの歪みを内部でフィードバックして、微細なフィルタースイープから温かみのあるドライブまで幅広い音色を生み出します。
タイプ II は、サレンキー型の設計がなされたCytomic MS2 フィルターで、レゾナンスを抑えるためにソフトクリッピングを使用しています。
[Key]スライダーでは、入力したMIDIノートのピッチがどの程度ローパスフィルターの周波数に影響を与えるか設定します。 0.00に設定すると、MIDIノートはフィルター周波数に影響を与えません。 1.00 に設定すると、低いノートではフィルター周波数が低くなり、高いノートでは高くなります。
[Res]ノブではローパスフィルターのレゾナンスを調整し、[HP]ノブではハイパスフィルターのカットオフ周波数を設定します。
また、[Filter]セクション内の任意の位置をクリックすると、[Envelopes]セクションのディスプレイ内にあるX-Yコントロールでフィルターを調整できます。 フィルターの左の点を水平方向にドラッグすると、ハイパスの周波数を設定します。 フィルターの右の点を水平方向にドラッグするか、レゾナンスアマウントを垂直方向にドラッグすると、ローパス周波数を調整できます。
ローパスフィルターのカットオフ周波数のモジュレーションソースは、[Freq Mod]セクションの[ローパスモジュレーションソース]のドロップダウンメニューから、最大2つまで選択できます。 [ローパスモジュレーション適用量]のスライダーでは、各ソースが周波数をモジュレートする程度を -100% 〜 100% の範囲で設定します。
30.3.4 Envelopesセクション

[Envelopes]では、ノートを再生した瞬間からノートオフになるまで、サウンドの振幅がどのように変化するか設定します。
Driftの[Envelopes]セクションは2つの独立したエンベロープを備えています。ひとつは音量の変化を制御して、もうひとつは指定したモジュレーションに使用できます。
30.3.4.1 エンベロープ 1
エンベロープ 1 では、ノートを発音してからノートオフになるまでの間、オシレーターセクションの出力(両方のオシレーターと、オンにしている場合はノイズジェネレーターも含む)の音量が、どのように開始して変化していくのか設定します。
設定に使用するコントロールは[Attack][Decay][Sustain][Release]で、それぞれのノブを使用するか、ディスプレイ内のエンベロープを使用して調整します。
[Attack] は、初期値からピーク値までの移行に必要な時間を設定します。
[Decay] は、ピーク値からサステインレベルまでの移行に必要な時間を設定します。
[Sustain] は、[Decay]段の最後で到達するレベルを設定します。エンベロープはノートの終わりまでこのレベルを維持します。
[Release] は、ノートをリリースしてからゼロまで戻るまでにかかる時間を設定します。
エンベロープ 1 とエンベロープ 2 を切り替えるには、ユーザーインターフェース内のそれぞれのセクションをクリックします。また、ディスプレイ内の[1]と[2]のスイッチを使用しても切り替えられます。 選択したエンベロープがディスプレイ内に表示され、編集できるようになります。
30.3.4.2 エンベロープ 2
エンベロープ 2 も[Attack][Decay][Sustain][Release]のコントロールを備えています。ただし、エンベロープ 1 と違い、エンベロープ 2 はデフォルトでは振幅にマッピングしてないので、Drift内の全モジュレーションソースとして使用できます。
エンベロープ 2 は、[Attack]コントロール左側のスイッチで切り替えると、ADSRエンベロープからサイクリングエンベロープへと変更できます。

サイクリングエンベロープの動作は、LFOモジュレーションと同様にMIDIノートが入力されるたびにリスタートします。
[Tilt]ノブは、エンベロープの中間点を移動します。極端に低い値または高い値にすると、エンベロープの傾斜にも影響します。 [Hold]コントロールでは、エンベロープが最大レベルを保持する時間を指定します。
デフォルトでは、サイクリングエンベロープには[Rate]コントロールが表示されます。これは4種類あるタイムモードのひとつで、他には[Ratio][Time][Sync]が含まれます。 コントロール右側のスイッチをクリックすると、別のモードを選択できます。 タイムモードに応じて、反復する周期をヘルツ、比率、ミリ秒、テンポに同期した拍単位に設定できます。
30.3.5 LFOセクション

サイクリングエンベロープと同様に、DriftのLFOは 4種類のタイムモード[Rate][Ratio][Time][Sync]のいずれかに設定できます。 タイムモードでは、LFOの反復レートをヘルツ、比率、ミリ秒、テンポ同期した拍単位に指定できます。
LFOのディスプレイでは、ドロップダウンメニューを使用して 9 種類の波形から選択できます。
- サイン波
- 三角波
- ノコギリ波(上昇)
- ノコギリ波(下降)
- 矩形波
- サンプル&ホールド
- [Wander] S字型のサンプル&ホールドで、LFOレートで2つの値の間を補完します。
- [Linear Env] リニアに減衰するワンショットのディケイエンベロープです。
- [Exponential Env] 指数関数的に減衰するワンショットのディケイエンベロープです。
[R]スイッチを使用すると、リトリガーのオン/オフを切り替えます。 オンにすると、LFOはノートが発音のたびに同じ位相位置にリセットされます。 オフにすると、LFOは自由走行になります。
[Amount](LFO適用量):LFOの全体的な強度を設定します。 [Mod](LFOモジュレーションソース)のドロップダウンメニューでは、LFOのモジュレーションソースを選択して、[LFOモジュレーション適用量]のスライダーでは、そのモジュレーションをどの程度LFOに適用するか設定します。
30.3.6 Modセクション

Driftのパラメーターの多くはモジュレーション可能です。[Mod]セクションでは、モジュレーションのソースとターゲットを最大3つまで選択できます。
モジュレーションソースは、[モジュレーションソース]セレクターを使用して、次のソースから選択します:[Env 1][Env 2/Cyc][LFO][Key][Velocity][Modwheel][Pressure][Slide]
[モジュレーション対象]セレクターでは、次のターゲットから選択できます:[Osc 1 Gain][Osc 1 Shape][Osc 2 Gain][Osc 2 Detune][Noise Gain][LP Frequency][LP Resonance][HP Frequency][LFO Rate][Cyc Env Rate][Main Volume]
[モジュレーション適用量]スライダーを使用すると、モジュレーションソースがモジュレーション対象に影響する度合いを -100% 〜 100% の範囲で設定できます。
30.3.7 グローバル・セクション

Driftのグローバルコントロールは、インストゥルメントの全体的な動作とパフォーマンスに影響します。
[Mode]セレクターでは、Driftのボイスモードを4種類から選択できます。
[Poly] は、1つのノートにつき 1つのボイスを使用し、最大 32 ボイスのポリフォニーが可能です。
[Mono] は、一度に1つのノートを発音しますが、[モノラル厚み]の値によっては、ユニゾン効果を生み出すために 4つのボイス使用してノートをレンダリングします。 [モノラル厚み]スライダーでは、それぞれのノートで使用する 4つのモノボイスの相対的な音量を調整します。 この値を 0 に設定すると、1つのノートを 1つのボイスで発音します。 [モノラル厚み]を高い値に設定すると、他の 3つのボイスの音量が上がり、それぞれのノートの音が聞こえるようになります。 前に発音したノートがまだ続いている時に、新しいノートを発音すると、前の音が止まります。
[Stereo] は、1つのノートに 2つのボイスを使用し、パンを左右に振ります。 [ステレオスプレッド]スライダーでは、それぞれのボイスのパンニングをどれくらい広げるか設定します。 高い値では、各ボイスの間隔が広がり、音が広がる効果を得られます。
[Unison] は、各ノートごとに、4つのボイスをわずかにデチューンさせます。 [ユニゾン強度]スライダーでは、それぞれのボイスごとに、ピッチをどの程度変化させるか設定します。 高い値に設定すると、それぞれのボイスに、より多くの変化が加わります。
[Voices]のドロップダウンメニューでは、同時に発音できる最大ボイス数を選択できます。 ボイスモードの中には、発音するノート数よりも多くのボイス数を使用するものがあります。どのボイスモードを選択するかによって、ポリフォニーも変わります。 次は[Voices]の値を 32 ボイスに設定した場合の例です。
- [Poly]モードでは、1つのノートにつき 1 ボイス使用して、最大 32 音のポリフォニーになります。
- [Stereo]モードでは、1つのノートにつき 2 ボイス使用して、最大 16 音のポリフォニーになります。
- [Unison]モードでは、1つのノートにつき 4 ボイス使用して、最大 8 音のポリフォニーになります。
[Drift]スライダーは、それぞれのボイスにわずかな変化を加え、ピッチやフィルターのカットオフなど、各ボイスのサウンドにさまざまな要素の影響を与えます。 Driftの各ボイスには、オシレーターやフィルターの周波数などさまざまなランダマイズがなされています。[Drift]コントロールを調整すると、この独自のランダマイズを増減させます。 高い値では、オシレーターとフィルターのずれが大きくなり、チューニングが外れたサウンドになります。
ボイスモードを[Mono]に設定すると、[Legato]スイッチを有効にできます。有効にすると、新たにボイスを発音した時に、エンベロープをリセットすることなく、ボイスのピッチが変化します。 [Glide]スライダーは、ノートをレガートで再生する際、重なっているノートのピッチが次に入力したピッチへとスライドするのにかかる時間を調整します。
[Volume]ノブではインストゥルメントの全体的なボリュームを設定し、[Vel > Vol]スライダーでは入力したMIDIノートのベロシティで音量が変わる度合いを設定します。
[Transpose]スライダーでは、グローバルピッチを -48 〜 48 セミトーンの範囲で調整します。 [Note PB]スイッチは、ノートごとのピッチベンドを有効します。 [Note PB]を無効にすると、指の位置によってピッチが変わることなく、MPEコントローラーを使用できます。 [PB Range]スライダーでは、グローバルピッチ範囲をセミトーン単位で設定します。
30.4 Drum Sampler

Drum Samplerは、Drum Rack内でワンショットサンプルを再生するために設計されたインストゥルメントです。 再生の開始位置や長さのコントロール、AHD方式のアンプエンベロープ、ピッチのコントロールなど、サンプラーの主要な機能を備えています。 また、Drum Samplerには、フィルター・セクション、モジュレーションのオプション、サンプルをさまざまな方法で加工する専用の再生エフェクトも備えています。
30.4.1 サンプルコントロール・セクション

サンプルコントロールのセクションでは、サンプルのエンベロープ、ピッチ、音量を変更したり、読み込んだサンプルを差し替えることもできます。
Drum Samplerにサンプルを読み込むには、ブラウザー上でファイルをダブルクリックするか、波形ディスプレイにファイルをドラッグ&ドロップします。
[Start](サンプル開始位置)スライダーで、サンプルの再生が開始する位置を設定します。このスライダーは、サンプルの長さに対してパーセントの割合で表示されます。 Shift を押しながらこのスライダーをドラッグすると、開始位置を細かく調整できます。 また、ディスプレイが波形を拡大表示します。
[Length](サンプル長)スライダーでは、サンプルの再生範囲の長さを設定します。サンプル全体の長さに対するパーセンテージで表示されます。
[Gain](サンプルゲイン)スライダーでは、サンプルの音量を -70 〜 24 dBの範囲で調整できます。
サンプル開始位置、サンプル長、サンプルゲインのコントロールを調整すると、ディスプレイ内の波形も更新されます。
サンプルのエンベロープを調整するには、[Attack][Hold][Decay ]のコントロールを使用します。
[Attack](アタックタイム)では、エンベロープの初期レベルから最大レベルまで移行するのにかかる時間を設定します。
[Hold](ホールドタイム)では、Triggerモードでアタックタイムに達した後、エンベロープの振幅が最大レベルを保つ時間を設定します。 この[Hold]を[Inf](infinite=無限)に設定すると、サンプルの長さ全体にわたって再生できます。 なお、デバイスの[Mode](エンベロープモード)が「Gate」の時は、このパラメーターが無効になります。
[Decay](ディケイタイム)では、[Trigger]モードで[Hold]タイムを経過した後や、[Gate]モードでノートから指を離した後に、最大レベルから無音に戻るのにかかる時間を設定します。
[Transp](トランスポーズ)スライダーでは、全体的な移調の量を -48 〜 48 セミトーンの範囲で設定し、[Detune]スライダーでは、全体のデチューン量を -50 〜 50 セントの範囲で設定します。
Drum Samplerは、[Trigger]と[Gate]の 2 つのエンベロープモードを備えています。 [Trigger]モードでは、ノートオフした後も、設定した[Hold]タイムの長さだけサンプルが再生を続けます。 [Gate]モードでは、ノートオフすると、設定した[Decay]タイムに応じてサンプルがフェードアウトします。
波形ディスプレイの上にマウスを置くと、読み込んだサンプルを管理するための追加コントロールが表示されます。

[次の類似サンプルにスワップ]ボタンを使用すると、元のファイルと 似た音色の サンプルに切り替えます。 このオプションをさかのぼるには、[前の類似サンプルにスワップ]ボタンをクリックしてください。 ディスプレイを右クリックして[類似ファイルを表示]を選択すると、ブラウザー上に類似するサンプルの一覧が表示されます。
サンプルを切り替えている時、最初に読み込んだファイルへ戻るには波形ディスプレイを右クリックして [リファレンスに戻す] を選択してください。 現在読み込まれているファイルをスワップの新しいリファレンスに設定するには、 [類似性のリファレンスとして保存] オプションを選択します。
ホットスワップボタンを押すと、ホットスワップブラウザーが開き、読み込んだサンプルを別のサンプルに置き換えることができます。 Drum Samplerを他のインストゥルメントに置き換えるには、デバイスタイトルバーのホットスワップボタンを押してください。
30.4.2 再生エフェクト・セクション

サンプルのサウンドをさらに加工するには、9 種類ある再生エフェクト[Stretch][Loop][Pitch Env][Punch][8-Bit,][FM][Ring Mod][Sub Osc][Noise]から、いずれかひとつを選択します。
各再生エフェクトは 2 つのパラメーターを備えていて、専用のノブやX/Yパッドで調整できます。 1 番目のパラメーターを調整するにはX/Yパッドを上下にドラッグし、2 番目を調整するには左右にドラッグします。
[再生エフェクト・オン]スイッチを使用すると、このセクションのオン/オフが切り替わります。 オンにすると、[再生エフェクトのタイプ]ドロップダウンメニューから再生エフェクトを選択できます。
[Stretch] は、サンプルのピッチは変えずに長さを変更します。 これによりグラニュラー特有のざらつきが生じ、ローファイな質感をサウンドに加えます。 [Factor](ストレッチ倍数)コントロールは、タイムストレッチの量を元の再生速度の何倍にするか設定します。 [Grain](グレインサイズ)コントロールは、サンプルのタイムストレッチに使用するグレインのサイズをミリ秒単位で設定します。
[Loop] は、サンプルの一部分を繰り返します。 [Offset](ループオフセット)コントロールは、サンプルの開始位置を基準として、ループの開始位置を設定します。 [Length](ループ長)コントロールは、ループの継続時間をミリ秒単位で設定します。
[Pitch Env] は、エンベロープを使用して、サンプルのピッチを時間の経過とともにモジュレーションします。 [Amount](ピッチエンベロープ適用量)コントロールは、ピッチモジュレーションが適用される量を -100% 〜 100% の範囲で設定します。 正の値では高いピッチになり、負の値では低いピッチになります。 [Decay](ピッチエンベロープ・ディケイ)コントロールでは、ピッチが、デバイスのグローバルピッチコントロールで指定した基本値に戻るまでの時間を設定します。
[Punch] は、固定のアタックと、サンプルのトランジェントを強調するように整形したエンベロープを使用して、ダッキング効果をもたらします。 [Amount](パンチ適用量)コントロールは、ダッキングをかける量を設定します。 [Release](パンチリリース)コントロールは、ゲインリダクションが最初のトリガーからゼロに戻るまでの時間を設定します。
[8-Bit] は、フィルターとビットクラッシャーを組み合わせて、8 ビットマイコン のサウンドを再現します。 [Rate](8-bitサンプルレート)のコントロールは、サンプルを再生するサンプルレートを設定します。 [Decay](8-bitディケイタイム)のコントロールは、このエフェクトに内蔵されたローパスフィルターのディケイタイムを設定します。
[FM] は、サイン波を使用してサンプルのピッチをモジュレーションします。 [Amount](FM適用量)コントロールは周波数変調の強さを調整し、[Freq](FM周波数)コントロールはサンプルのピッチをモジュレーションする周波数を設定します。
[Ring Mod] は、サンプルにリングモジュレーションをかけます。 [Amount](リングモジュレーション適用量)コントロールは、どの程度モジュレーションをかけるか設定します。 [Freq](リングモジュレーション周波数)コントロールは、サンプルの音量をモジュレーションする周波数を設定します。 低い値ではトレモロ効果が得られ、高い値にするとリンクモジュレーション特有のざらつきが生じます。
[Sub Osc] は、サンプルにサブオシレーターを重ねます。 [Amount](サブオシレーター量)コントロールは、オシレーターの音量を調整します。 オシレーターのエンベロープは、このデバイスの[Attack]と[Decay]の設定を使用します。 [Freq](サブオシレーター周波数)は、オシレーターの周波数を 30 〜 120 Hzの範囲で設定します。
[Noise] は、サンプルにノイズオシレーターをレイヤーします。 [Amount](ノイズ量)コントロールは、オシレーターをの音量を調整します。 オシレーターのエンベロープは、このデバイスの[Attack]と[Decay]の設定を使用します。 [Color](ノイズカラー)コントロールは、オシレーターにかけるフィルターの周波数を設定します。
なお、[Stretch][Loop][FM][Ring Mod][Sub Osc][Noise]エフェクトの時間ベース/周波数関連の各コントロールは、デバイスのグローバルピッチコントロールや再生したMIDIノートの影響を受けます。 これにより、違うノートを再生したりサンプルを移調した場合でも、各エフェクトのピッチはサンプルのピッチに追従するようになります。
さらに、[FM]と[Ring Mod]エフェクトでのモジュレーションのディケイは、デバイス全体のディケイタイムの影響を受けます。 短いディケイタイムの場合、サンプルのトランジェントのみにモジュレーションがかかります。
30.4.3 Filterセクション

[Filter](フィルター・オン)スイッチで、フィルターのオン/オフを切り替えます。
選択できるフィルターは、ローパスフィルター(12 dB)、ローパスフィルター(24 dB)、ハイパスフィルター(24 dB)、ピークフィルターの4種類あります。
ローパスフィルターとハイパスフィルターは、それぞれ独立した[Res](レゾナンス)と[Freq](フィルター周波数)のコントロールを備えています。 ピークフィルターを選択すると、[Gain](ピークフィルター・ゲイン)と[Freq]コントロールを使用して、特定の周波数帯域のブーストやカットができます。
30.4.4 グローバル・セクション

グローバル・セクションでは、出力音量、パン、ベロシティによる音量変化の量、モジュレーションパラメーターを調整できます。
[Volume]コントロールはデバイス全体の出力レベルを -36 〜 36 dBの範囲で設定し、[パン]スライダーではステレオ位置を調整します。
[Vel > Vol](ベロシティ→ボリューム)スライダーでは、入力したMIDIノートのベロシティによって、デバイスの音量がどの程度変化するか設定します。
[Mod](モジュレーションソース)スイッチでは、[Velocity]と[Slide](MPE)の2つのモジュレーションソースを切り替えます。 次に、[モジュレーション対象]ドロップダウンメニューからモジュレーションの対象を選択します。
[Filter]にすると、フィルターのカットオフ周波数をモジュレーションします。
[Attack][Hold][Decay]の各ターゲットでは、各エンベロープ段を個別にモジュレーションできます。
[FX1]と[FX2]を使用すると、現在使用している再生エフェクトの2つのパラメーターをモジュレーションします。
[モジュレーション適用量]スライダーは、モジュレーション対象に適用するモジュレーション量を設定します。
30.4.5 Drum Samplerのコンテキストメニュー・オプション
通常のデバイスの コンテキストメニュー に加えて、Drum Sampler固有のオプションも用意されています。
[ノートごとのピッチベンドを有効化] :このオプションを有効にすると、Drum Samplerがノートごとのピッチベンド・メッセージを受信できるようになります。デフォルトでは有効になっています。
[エンベロープをピッチに追従] :サンプルのピッチに応じて、アンプエンベロープの長さを伸縮します。 有効にすると、ピッチを移調した場合でも、エンベロープは毎回サンプルの同じ部分に作用します。
[Drum Sampler > Simpler] :サンプルの開始位置と長さを保持したまま、Drum SamplerをSImplerに置き換えます。
Drum Rack を使用している場合、パッドのコンテキストメニューで [デフォルトパッドとして保存] を選択すると、新しいサンプルに対してDrum Samplerをデフォルトとして使用できます。

つまり、空のドラムパッドにサンプルを追加するごとに、Drum Samplerが自動的にロードされるようになります。
30.5 Electric

ElectricはApplied Acoustics Systemsとのコラボレーションにより開発されたソフトウェアエレクトリックピアノです。 このインストゥルメントは、1970 年代のクラシックな楽器をベースにしており、各コンポーネントは最先端の物理モデリング技術を用いてモデリングされています。これにより、リアルで生き生きとしたサウンドが得られます。
物理モデリングでは、物理学的法則を使用して物体の動作を再現します。 言い換えれば、Electricでは、楽器の各部分がどのように動作するか記述した方程式をリアルタイムで解いています。 Electricでは、サンプリング音源やサンプル波形を使用しません。 サウンドは、各パラメーター値に従ってCPUがリアルタイムで計算しています。 Electricは、単にビンテージ楽器を作り直したものにとどまりません。 本当の楽器では実現不可能な値へパラメーターを調整することができるため、アコースティックサウンドの温かみを持ちながらも、驚くべき新しいサウンドを作成できます。
30.5.1 アーキテクチャとインターフェース
エレクトリックピアノの構造は、実は非常にシンプルです。 鍵盤でノートを演奏すると、ハンマーが駆動してフォークを叩きます。 フォークの音は、その後磁気コイルのピックアップで増幅して出力へと送られます。 エレクトリックギターと同じ原理です。 このフォークは2つの部分からなり、それぞれタインバーとトーンバーと呼ばれます。 タインバーはハンマーがフォークを叩く位置にあり、トーンバーは金属製の共振器で、正しいピッチになるようサイズを調整しています。 フォークは一度始動すると、長い間共鳴し続けます。 しかし、鍵盤から指を離すとフォークにダンパーがかかり、すぐにミュートされます。
Electricのインターフェースは、4つの主要セクションに分かれています: [Hammer][Fork][Damper/Pickup]セクションではインストゥルメントの音色やサウンドに関連するパラメーターを備えていて、[Global]にはピッチベンドやポリフォニーなど、全体の動作や性能に影響するパラメーターを備えています。
各セクションをクリックすると関連するパラメーターが表示されます。[Hammer][Fork][Damper/Pickup]の各アイコンをクリックすると、それぞれのセクションに切り替わります。

30.5.2 Hammerセクション

[Hammer]セクションは、ハンマー自体の物理特性と、演奏がハンマーに与える影響に関するパラメーターを備えています。
[Stiffness]ノブでは、ハンマーの打撃部分の硬さを調整します。 値が高いと表面硬度が高くなり、より明るいサウンドになります。 値が低いと表面硬度が低くなり、サウンドがメロウになります。 [Stiffness]は、ディスプレイ下半分の[Vel]と[Key]のスライダーを使用すると、ベロシティとノートピッチでも調整できます。
[Noise]ノブは、ハンマーがフォークを打ったときに発生する衝撃音の大きさを調整します。 ディスプレイ下半分の[Noise]セクションでは、[Pitch]スライダーでノイズピッチの中央周波数を設定し、[Decay]スライダーでノイズが無音になるまでの時間を調整します。 [Key]スライダーでは、ノートのピッチがノイズの音量にどの程度影響を与えるかコントロールします。
[Force]セクションでは、ハンマーがフォークを叩く衝撃の強度を調整します。 [Amount]の値が低いと衝撃がソフトになり、値が高いと衝撃がハードになります。 [Force]は、[Vel]と[Key]のスライダーを使用すると、ベロシティとノートのピッチでも調整できます。
30.5.3 Forkセクション

[Fork]セクションには、Electricのサウンド生成機構の心臓部である[Tine]と[Tone]の両パラメーターのノブがあります。
[Tine]は、ハンマーがフォークを直接叩く位置をコントロールします。
[Color]スライダーでは、フォークの歯の周波数帯域の高域と低域の相対的な振幅をコントロールします。 値が低いと低い倍音が増え、値が高いと髙い倍音が増えます。
[Decay]ノブでは、ノートを押さえている間、フォークの歯のサウンドがフェードアウトするまでにかかる時間を調整します。 [Tine]の音量は、[Key]スライダーを使用すると、ノートのピッチで調整できます。
[Tone]では、フォークの2次共鳴をコントロールします。
[Release]スライダーは[Tine]と[Tone]の両方に適用され、鍵盤から指を離した後にフォークの音が減衰する時間を制御します。 [Decay]パラメーターは、[Tine]サブセクションと同じように動作します。
30.5.4 Damper/Pickupセクション

30.5.4.1 Pickupパラメーター
Electricでは、磁気コイルのピックアップがフォークの共鳴音を増幅する挙動を、[Pickup]でシミュレートしています。
[Symmetry]ノブと[Distance]スライダーでは、フォークの歯に対するピックアップの物理的な位置を調整します。 [Symmetry]では、ピックアップの垂直方向の位置をシミュレートします。 50%では、ピックアップがフォークの真正面に位置し、明るいサウンドになります。 値を小さくするとピックアップがタインの下に移動し、値を大きくするとタインの上に移動します。 [Distance]では、フォークの歯からピックアップまでの距離を制御します。 値を大きくすると距離が遠くなり、小さくするとピックアップが近くなります。 なお、ピックアップをフォークに近づけるにつれ、サウンドはオーバードライブ気味になります。
ピックアップタイプの[R]と[W]ボタンでは、2種類のピックアップから切り替えます。 [R]の位置では、Electricが動電型のピックアップをシミュレートして、[W]の位置では静電型のピックアップをシミュレートします。
[Input]スライダーは、フォークの信号のピックアップへ送る量を調整します。これは、信号全体に加えられるディストーションの量に影響します。 [Output]スライダーでは、ピックアップセクションが出力する信号の量を制御します。 この2つのパラメーターをさまざまに組み合わせることで、まったく異なる効果が得られます。 たとえば、入力量を小さくして出力量を高くすると、入力量が大きくて出力量が小さい場合と比べ、クリーンなサウンドが得られます。 出力レベルは、[Key]スライダーを使用すると、ノートのピッチでさらに調整できます。
30.5.4.2 Damperパラメーター
エレクトリックピアノのメタルフォークは、キーを押さえている間、サウンドが長く続くように設計されています。 このサステインを調整するのが、Damperと呼ばれる装置です。 鍵盤が押されると、そのノートのダンパーはフォークから離れます。 鍵盤から指を離すと、ダンパーがフォークに再びくっつき、フォークの振動を止めます。 しかし、ダンパーのくっつく動作と離れる動作の両方で、ダンパー自体が小さな音を出します。 [Damper]パラメーターはこの特性ノイズをシミュレートします。
[Tone]スライダーでは、ダンパーの剛性を調整します。 値を低くするとダンパーがソフトになり、サウンドがメロウになります。 値を高くするとダンパーの硬度が上がり、明るいサウンドになります。 ダンパーによるノイズの全体的な量は、[Level]スライダーで調整します。
[Att/Rel]スライダーでは、ダンパーがフォークにくっつく時や離れる時に、ダンパーノイズが生じるかどうかを調整します。 -100 の場合、ダンパーノイズはノートのアタック段でのみ聞こえます。 100 の場合、ノイズはリリース段でのみ生じます。 中央では、アタックとリリースの両方で同量のノイズを生じます。
30.5.5 グローバル・セクション

[Global]セクションには、Electric の全体的な動作やパフォーマンスに関連するパラメーターを備えています。
[Volume]ノブでは、Electricの最終的な出力レベルを設定します。
[Voices]セレクターでは、ポリフォニーを設定します。 ボイスの使用にはCPUを必要とするため、この設定をさまざまに試して演奏のしやすさとPCの性能の最適なバランスを見つける必要があります。
[Semi]と[Detune]スライダーは、粗調整と微調整用チューナーとして機能します。 [Semi]ではインストゥルメント全体をセミトーン単位で上下にトランスポーズして、[Detune]スライダーでセント単位(最大 ±50 セント)で調整します。
[Stretch]は、ストレッチチューニングと呼ばれる技法をシミュレートします。 この技術は、エレクトリックピアノとアコースティックピアノの両方では一般的な手法で、その特徴的なサウンドの本質となる部分です。 0% にすると、Electricは平均律で発音します。1オクターブ離れた2つのノートでは、上のノートの基音が下のノートのちょうど2倍になります。 しかし、振動するフォークや弦が実際に共鳴する挙動は、理論モデルとは異なるため、平均律はピアノでは「不正確に」聞こえます。 [Stretch]チューニングでは、上のノートのピッチをシャープにして、下のノートをフラットにすることで、これを修正します。 これにより、サウンドがより明瞭になります。 [Stretch]を負の値にすると、「負の」ストレッチ・チューニングになります。上のノートのピッチはフラットになり、下のノートのピッチはシャープになります。
[PB Range]ではMIDIピッチベンドの範囲をセミトーン単位で設定し、[Note PB]ではMPEのノートごとのピッチベンド範囲をセミトーン単位で設定します。
30.6 External Instrument

External Instrumentデバイスは、それ自体はインストゥルメントではなく、ルーティングのユーティリティのように機能します。 これを使用すると、外部(ハードウェア)シンセサイザー、マルチティンバー対応のプラグインをご使用のプロジェクトに簡単に統合することができます。 このデバイスはMIDIを送信し、オーディオを返します。
2つの[MIDI To]セレクターでは、どのデバイスがMIDIデータが送信するか、出力先を選択します。 1番上のセレクターでは物理的な MIDIポート や、マルチティンバー対応のプラグインのいずれかを選択します。 MIDIポート(外部シンセサイザーに使用)を選択した場合、2番目のセレクターのオプションはMIDIチャンネルナンバーになります。
ご使用のセット内で、他のトラックにマルチティンバー対応のプラグインがある場合、このトラックを上のセレクターで選択できます。 この場合、2番目のセレクターでプラグイン内のMIDIチャンネルを指定することができます。
[Audio From]セレクターでは、ハードウェアシンセサイザーやプラグインからオーディオを戻す際のオプションを選択します。 ハードウェアシンセサイザーにルーティングしている場合、このセレクターを使って、お使いのシンセの出力に接続しているオーディオインターフェースのポートを選択します。 この選択肢は、環境設定[Audio]の設定内容により異なります。
ご使用のLiveセット内で、他のトラック上のマルチティンバー対応プラグインにルーティングしている場合、[Audio From]セレクターには、プラグイン内のAUX出力が一覧表示されます。 なお、インストゥルメントが含まれているトラックのメイン出力が聞こえますのでご注意ください。
[Gain]ノブでは、音源から戻ってくるオーディオの音量を調整します。 クリッピングを防ぐため、この音量は慎重に設定する必要があります。
外部機器はレイテンシーを生じることがあり、Liveはこれを自動検知できません。この場合、 [Hardware Latency]スライダーを調整すると、レイテンシーを手動で補正できます。 このスライダーの隣にあるボタンで、レイテンシー補正値をミリ秒単位かサンプル単位で設定します。 外部機器がLiveにデジタルで接続している場合、レイテンシー設定をサンプル単位で調整すると、サンプルレートを変更しても指定したサンプル数を保持します。 外部機器がLiveにアナログで接続している場合、レイテンシー設定をミリ秒単位で調整すると、サンプルレートを変更しても指定した時間を保持します。 なお、サンプル単位にした方が微調整できるので、アナログ機器を使用する場合でも、レイテンシーを可能な限り小さくするためにサンプル単位で「微調整」することもできます。 この場合、サンプルレートを変更する前に、ミリ秒単位に切り替えているか確認してください。 Live内のデバイスが生じるレイテンシーは自動補正されるため、External Instrumentデバイスを内部ルーティングに使用すると、このスライダーは無効になります。
注:[オプション]メニューで[ディレイ補正] オプションのチェックが解除されている場合、[Hardware Latency]スライダーは使用できません。
External Instrumentデバイスのルーティングの概要は、「ルーティングとI/O」 の章をご参照ください。
30.7 Impulse

Impulseは、複雑なモジュレーションが可能なドラムサンプラーです。 Impulseのサンプルスロットにロードされた8つのドラムサンプルは、タイムストレッチやフィルターをかけたり、エンベロープでの加工ができ、サチュレーション/パン/ボリュームといったコンポーネントを備えています。ほぼすべてのコンポーネントは、ランダムやベロシティを基にしたモジュレーションが可能です。
30.7.1 サンプルスロット
ブラウザー、セッションビュー、アレンジメントビューから、Impulseのいずれか1つのサンプルスロットにサンプルをドラッグ&ドロップします。 もしくは、各サンプルスロットのホットスワップボタンを使って、サンプルをホットスワップ することもできます。 ロードしたサンプルは、 Backspace (Win) / Delete (Mac) キーで削除できます。
MIDI鍵盤を接続してLiveから認識されると、インポートしたサンプルは自動的に鍵盤上へマッピングされます。 鍵盤の C3 は一番左のサンプルをトリガーし、C3からC4までのオクターブで他のサンプルが続きます。 [Fold]ボタンをオンにすると、指定したキートラックにMIDIノートがなくても、Impulseの8つのスロットが MIDIエディターのキートラック 上にラベル表示されます。 マッピングは、 Pitch デバイスでトランスポーズしたり、Scale デバイスで再配置できます。
8つのサンプルには、それぞれパラメーターセットがついています。 パラメーターはサンプルスロット下にあり、サンプルをクリックすると表示されます。 サンプル設定を調整しても、新しいノートを押した時にはじめて適用されます。現在再生中のノートには適用されません。 なお、この挙動は、クリップ・エンベロープやオートメーションでパラメーターを変更した場合のImpulseの反応でも同様です。これらの変更は、新しいノートの開始時に適用されます。 再生中のノートに連続した変更を加えたい場合は、Simpler を使用すると良いでしょう。
スロット8のパラメーターには、[Link](リンク)ボタンがついています。 [Link]ボタンは左下隅にあり、スロット8をスロット7とリンクしています。 この2つのスロットをリンクさせると、スロット7がオンになるとスロット8の再生が停止したり、スロット8がオンになるとスロット7の再生が停止するようになります。 これは、ある特定の状況を想定して設計されています(もちろん、他の目的にも使用できます):クローズドのハイハットでオープンのハイハットをミュートする動作の再現です。
コントロールをマウスオーバーして表示し、各スロットを再生、ソロ、ミュート、ホットスワップすることができます。
30.7.2 StartとTransposeとStretch
[Start]コントロールでは、Impluseがサンプル再生を開始する位置を、 100 ms後ろまでの範囲内で設定できます。 [Transp](トランスポーズ)コントロールでは、サンプルの移調を +/-48 セミトーンで調整したり、対応するフィールド内で設定した、入力ノートのベロシティやランダムな値で調整できます。
[Stretch]コントロールでは、-100 から 100 パーセントまでの値を設定できます。 数値がマイナスだとサンプルが短くなり、数値がプラスだとサンプルがストレッチされます。 2つの異なるストレッチングアルゴリズムを選択できます。[Mode A]はタムやバスなど低めのサウンドに効果的で、[Mode B]はシンバルなどの高めのサウンドに適しています。 [Stretch]値は、MIDIノートベロシティを使って調整することも可能です。
30.7.3 Filter
フィルターセクションは様々な種類のフィルターを備えており、各フィルターを使って特定の周波数帯域を取り除くことで、サンプルにさまざまなサウンド特性を与えることができます。 [Freq](周波数)コントロールでは、倍音スペクトル内のどこにフィルターを適用するか設定します。[Res](レゾナンス)コントロールは、その付近の周波数を増幅します。 フィルターの周波数は、ランダム値またはMIDIノートベロシティでモジュレーションできます。
30.7.4 サチュレーターとエンベロープ
サチュレーターは、サンプルをファットで丸みのあるアナログっぽいサウンドにし、[Sat]スイッチを使ってそのエフェクトのオン/オフを切り替えられます。 [Drive]コントロールは、信号をブーストしてディストーションを加えます。 この動作を行うと、ほとんどの場合で信号の音量が上がるので、サンプルのボリュームコントロールを下げて調節してください。 ピッチを低くしたサウンドに極端な[Drive]を設定すると、オーバードライブのかかったアナログシンセドラムサウンドが生まれます。
エンベロープは、[Decay]コントロールを使って、最大 10.0 秒まで設定できます。 Impulseは、2つのディケイモードを備えています。[Trigger]モードでは、サンプルがノートと共に減衰します。[Gate]モードでは、エンベロープはノートオフメッセージを受けてから減衰を開始します。 このモードは、ハイハットのサウンドを使う場合などで、余韻の長さを変えたい場合の便利です。
30.7.5 PanとVolume
各サンプルは[Volume]と[Pan]のコントロールを備え、それぞれ振幅とステレオ位置を調整できます。 コントロールはどちらもモジュレート可能で、[Pan]はベロシティとランダム値で、[Volume]はベロシティのみでモジュレーションできます。
30.7.6 グローバル・コントロール
サンプルスロットの右側にあるパラメーターはグローバル・コントロールで、Impulseの表示エリア内にあるすべてのサンプルに適用されます。 [Volume]でインストゥルメント全体の音量を調整し、[Transp]で全サンプルの移調を調整します。 [Time]コントロールは、全サンプルのタイムストレッチとディケイを制御し、ドラムサウンドを短くしたりストレッチしたりして、サウンドを変形できます。
30.7.7 個別出力
新たにImpulseをトラックにドラッグすると、そのトラックの信号は他のインストゥルメントや、そのトラックのオーディオ経路上にあるエフェクトとミックスされます。 時には、インストゥルメントやそのドラムサンプルだけを別のトラックへ送った方がいい時もあります。 Impulseの信号全体または個々のサンプルスロットに対して上記の操作を行う方法は、「ルーティングとI/O」の章 をご覧ください。
30.8 Meld

Meldは、2基のマクロオシレーター・エンジンを1つのデバイスに組み合わせた多機能シンセサイザーです。 伝統的なアナログ式のパッチングがすぐにできる一方で、Meldの特徴は、音をレイヤーして音作りを実験するシンセシスとフィルタリングの技術にあります。 このデバイスの各エンジンには、専用のフィルター、エンベロープ、LFO、MIDIとMPEに対応したモジュレーションマトリックス、オシレーターごとに異なる2つのマクロノブを備えています。シンプルな倍音のモジュレーションから、ノイズループの断片、チップチューンのパルス幅、雨粒を生成する密度まで、幅広いパラメーターを制御します。 Meldは、表現力豊かで聞いたことのないようなサウンドを生み出すために、技術的なディテールではなく、音楽的な意図に基づいて設計されています。
30.8.1 はじめに
Meldは2層にレイヤーする構造を持ち、最大2基のポリフォニックシンセのエンジンを同時に使用できます。 このインターフェースは、エンジン、モジュレーション・セクション、フィルター、グローバルミックス・コントロールの4つの主要なセクションに分かれています。 このモジュラーにインスパイアされた構成により、サウンドに質感と動きを加えるだけでなく、音楽的なサプライズを生み出し、それをキャプチャすることもできます。 Meldの持つ可能性を理解するには、さまざまな種類の波形を組み合わせたり、各エンジンのモジュレーション・マクロを試してみましょう。 より細かいコントロールをするには、エンジンのパラメーターをモジュレーションマトリックスにマッピングしたり、LFOデバイスを使用してこのデバイスのマクロノブをオートメーションさせます。 Meldの持つ2つのレイヤー間の相互作用を試すにつれ、このデバイスが自分のものになるでしょう。
Meldの表示を拡げるには、デバイスタイトルバーにある[拡張ビューを切り替える]ボタンを使用します。 拡張ビューでは、使用可能なモジュレーションのソースとターゲットがすべて表示されます。 [A]と[B]のスイッチは各エンジンを切り替えます。 [Copy to A]と[Copy to B]のボタンを使用すると、モジュレーションの値をエンジンからもう一つのエンジンにコピーできます。 [X]ボタンをクリックすると、有効なモジュレーションの値がすべて消去されます。

30.8.2 オシレーター

Meldの2つのエンジンは、[Engines]セクションのスイッチで個別にオン/オフできます。 Meldのエンジンの1つをオフにすると、このデバイスの[Filters]セクション内で関連するフィルターもオフになります。 フィルターは、リンクしているエンジンの動作に影響を与えずにオン/オフできます。
Meldの各エンジンは、3つのピッチコントロール(オクターブ、セミトーン、セント)を備えています。 [現在のスケールを使用]スイッチをオンにすると、セミトーンの表示[st]はスケール度数の表示[sd]に切り替わります。 この3つのピッチコントロールを使用して、1オクターブ上や5度上にトランスポーズしたり、セント単位でわずかにデチューンさせると、サウンドに倍音の深みを加えられます。
エンジンAとBはそれぞれ24種類のオシレーターから選択可能で、その中には♭や♯が表記された、6つの スケール認識するオシレーター も備えています。 このオシレーターは、シンプルなサイン波の生成から、レイヤーされた波の群れ、複雑な周波数変調、ノイズのループ、アンビエントサウンドの生成アルゴリズムまで多岐にわたります。 オシレータータイプを選択するには、エンジンのドロップダウンメニューまたはオシレータータイプのディスプレイ内にある矢印で切り替えます。
30.8.3 オシレーターマクロ

エンジンAとBには、専用のマクロコントロールが2つずつ備えられ、選択したオシレーターの種類によって変化します。 全部で4つのオシレーターマクロのノブは、ライブパフォーマンス用にMIDIコントローラーに割り当てたり、LFOデバイスで自動モジュレーションをかけられます。 また、モジュレーションマトリックスを使用して、デバイス内部でモジュレーションをかけることもできます。
[Basic Shapes]オシレーターは、[Shape]と[Tone]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Shape]はオシレーターの波形を、サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波の間でモーフィングさせます。 [Tone]は波形のパルス幅を変更します。
[Dual Basic Shapes]オシレーターは、[Shape]と[Detune]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Shape]はオシレーターの波形を、サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波の間でモーフィングさせます。 [Detune]はこの波形を複製してデチューンさせたものを加えます。
[Noisy Shapes]オシレーターは、[Shape]と[Rough]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Shape]はオシレーターの波形を、サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波の間でモーフィングさせます。 [Rough]はこの波形にノイズディストーションを加えます。
[Square Sync]オシレーターは、[Freq 1]と[Freq 2]の2つのマクロコントロールを備えています。 この2つのコントロールは、オシレーターシンクした2つの矩形波の周波数を変更します。
[Square 5th]オシレーターは、[5th Amt]と[P Width]の2つのマクロコントロールを備えています。 [5th Amt]はオシレーターの波形を完全5度上の矩形波に変化させます。 [P Width]は生成される矩形波のパルス幅を変更します。
[Sub]オシレーターは、[Tone]と[Aux]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Tone]はオシレーターのサイン波を矩形波に変化させます。 [Aux]は、生成されたサイン波に対して、より低い下方倍音のサイン波を加えます。
[Swarm Sine][Swarm Triangle][Swarm Saw][Swarm Square]のオシレーターは、[Motion]と[Spacing]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Motion]は生成された波形の一群にモジュレーションを加えます。 [Spacing]の適用量を増やすにつれ、コードの複雑さも増していきます。
[Harmonic Fm]オシレーターは、[Amount]と[Ratio]の2つのマクロコントロールを備えていて、 モジュレーションの適用量を増やしたり、周波数変調アルゴリズムの倍率を変更できます。
[Fold Fm]オシレーターは、[Amount]と[Shape]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Amount]は周波数変調のアルゴリズムによるモジュレーションの適用量を変更し、[Shape]はキャリア波形の形状を変更します。
[Squelch]オシレーターは、[Index]と[Feedback]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Amount]は周波数変調のアルゴリズムによるモジュレーションの深さを変更して、[Feedback]はデバイスの入力段にフィードバックさせる信号の量を変更します。
[Simple Fm]オシレーターは、[Amount]と[Ratio]の2つのマクロコントロールを備え、 モジュレーションの適用量や、周波数変調アルゴリズムの深度を変更できます。
[Chip]オシレーターは、[Tone]と[Rate]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Tone]はオシレーターのピッチとパルス幅を変更します。 [Rate]は使用しているチップの間隔の速度を変更します。
[Shepard’s Pi]オシレーターは、[Rate]と[Width]の2つのマクロコントロールを備えてます。 [Rate]はオシレーターのピッチが変化する速度と方向を変更します。 0.0 から 49.9 までの値では下降する動きになり、 50.1 から 100.0 の値では上昇する動きになります。 50.0 ではピッチの動きが生成されません。 [Width]はオシレーターが使用するオクターブ数を変更します。
[Tarp]オシレーターは、[Decay]と[Tone]の2つのマクロコントロールを備え、アルゴリズムによるディケイの量と調性を変更できます。
[Extratone]オシレーターは、[Pitch]と[Env Amount]の2つのマクロコントロールを備え、オシレーターのピッチとエンベロープの動作を変更できます。
[Noise Loop]オシレーターは、[Rate]と[Fade]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Rate]は、さまざまなノイズのループの断片が発生する周期を設定します。 高い値ではオシレーターがノイズを生成します。 [Fade]はこのノイズの粒度や荒さを調整します。
[Filtered Noise]オシレーターは、[Freq]と[Width]の2つのマクロコントロールを備え、このオシレーターの内蔵フィルターの周波数と帯域幅を変更できます。
[Bitgrunge]オシレーターは、[Freq]と[Mult]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Freq]は生成する矩形波の周波数を調整します。 [Mult]は初期の矩形波に対して生成するサブオクターブの数を調整します。 最大値ではサブオクターブは生成されません。 最小値では多数のサブオクターブが生成されます。
[Crackle]オシレーターは、[Density]と[Intensity]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Density]は生成されるクラックル音の平均速度を設定します。 [Intensity]は発生するクラックル音の音量と明るさを調整します。
[Rain]オシレーターは、[Tone]と[Rate]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Tone]は、生成される雨滴と風の音による共鳴を設定します。 これにより、オシレーターは調性を持ち、演奏したノートに応じて変化します。 [Rate]は、生成される雨滴の音の密度を設定します。
[Bubble]オシレーターは、[Density]と[Spread]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Density]はバブルの生成速度をせっていし、[Spread]は生成されるバブルの大きさのランダム性を設定します。
[Chord]オシレーターは、4つのノコギリ波オシレーターをレイヤーさせることで、さまざまなコードを生み出します。 [Shape]と[Inversion]の2つのマクロコントロールを備えています。 [Shape]はコード内でのノートの間隔を設定し、[Inversion]はノートの順番を並び替えます。 デバイスタイトルバーで[現在のスケールを使用]スイッチがオンになっていると、指定したスケール内のノートを使用してコードを生成します。 スケールが指定されていない場合、入力したMIDIノートをルート音とするメジャースケールが使用されます。
30.8.4 Envelopesタブ

Meldの各エンベロープは[Attack][Decay][Sustain][Release]のコントロールを備えています。 これらの調整を行うには、[Enevelope]セクションの下部にある数値を上下にスライドさせたり、コンピューターのキーボードで数値を入力するか、エンベロープをグラフィック表示しているディスプレイでブレークポイントをドラッグします。
[Attack Slope][Decay Slope][Release Slope]のコントロールは赤で表示されています。これらの調整を行うには、[Enevelope]セクションの下部にある数値を上下にスライドするか、コンピューターのキーボードで数値を入力したり、エンベロープをグラフィック表示しているディスプレイで菱形のブレークポイントをドラッグします。
[Amp]エンベロープと[Modulation]エンベロープには、3つのエンベロープ・ループのモードがあります。 [Trigger]モードでは、ノートを受信するとエンベロープの全セグメントを再生しますが、選択したサステインレベルは無視されます。 [Loop]モードではエンベロープ全体をループしますが、選択したサステインレベルは保持しません。 [AD Loop]モードでは、エンベロープの[Attack]と[Decay]の部分のみをループします。
[Modulation]エンベロープには、追加パラメーター([Initial][Peak][Final]の各レベル)を備えています。 これらのパラメーターで、トリガーとリリースした時のエンベロープの位置を設定して、より柔軟なモジュレーションを可能にします。

[エンベロープをリンク]ボタンをオンにすると、各エンジンの[Amplitude]と[Modulation]のエンベロープがリンクされます。 これはMeldの持つ2つのエンジンを、単体のインストゥルメントとして機能させる時に便利です。
30.8.5 LFOsタブ

Meldの各エンジンにはLFOが2基ずつ搭載されています。 [LFO 1]と[LFO 2]のレートは、ヘルツ単位またはテンポ同期で設定可能で、各LFOの位相を補正する[位相オフセット]スライダーを備えています。 リトリガーがオンの時は、LFOの動作は[位相オフセット]スライダーで設定した位置から再開します。
[LFO 1]の波形は、[LFO 1 タイプ]ドロップダウンメニューから波形を選択できます。波形は[Basic Shapes][Ramp][Wander][Alternate][Euclid][Pulsate]の6種類です。 これらの波形は、LFOの[Rate]ノブと、その隣にあり、選択した波形の種類によって変わる2つのマクロノブを使ってさらに形作ることができます。
また、[LFO 1]は[LFO 1 FX]パネルからもモジュレートできます。 [FX1]と[FX2]のドロップダウンメニューは、それぞれ18種類のエフェクトを備えていて、このエフェクトをLFO 1に直列でかけることができます。 エフェクトが適用される度合いは、そのエフェクトに対応したマクロノブで変更できます。 [LFO 1]と[LFO 1 FX]は、Meldのモジュレーションマトリックス内で、別個のモジュレーションソースとして使用できます。
[LFO 2]は、6種類の伝統的な波形を備えていて、[Sine][Tri][Saw Up][Saw Down][Rectangle]「Random S&H」から選択できます。 LFO 2は3番目の独立したモジュレーションソースとして、Meldのモジュレーションマトリックスで使用することができます。
30.8.6 Matrixタブ

Meldのモジュレーションマトリックスでは、このデバイス内部でモジュレーションソースをターゲットに割り当てることができます。 たとえば、エンジン AのLFO 1を使用して音量にモジュレーションをかけたり、エンジン Bのモジュレーションエンベロープを使用してフィルター周波数をモジュレーションさせることができます。
モジュレーションソースは横に並んでいて、モジュレーションターゲットは縦に並んでいます。 セルをクリックして上下にドラッグすると、パラメーター間にモジュレーションが適用されます。 負の値ではエンベロープとLFOの動作が速くなり、正の値では遅くなります。 なお、一部のパラメーターでは加算モジュレーションが適用されたり、他のパラメーターでは乗算モジュレーションが適用されるものもあります。
パラメーターをクリックすると、そのパラメーターをモジュレーションマトリックスに追加します。 パラメーターは、[ディスプレイ選択タブ]で選択しているエンジンのモジュレーションマトリックスに追加されます。 パラメーターをモジュレーションしない場合は、他のパラメーターをクリックした時にモジュレーションマトリックスから表示が消えます。
30.8.7 MIDIとMPEタブ

Meldの[MIDI]と[MPE]タブでは、MIDIやMPEをモジュレーションソースとして使用できるようになり、Meldが躍動感あふれるパフォーマンス・ツールに変わります。
[Velocity]をモジュレーションソースとして設定した場合、Meldは入力したMIDIノートのベロシティ値で、そのノートの長さにわたってターゲットをモジュレーションします。
[Pitch]をモジュレーションソースとして設定した場合、Meldは入力したノートのピッチの値で、そのノートの長さにわたってターゲットをモジュレーションします。
[Random]をモジュレーションソースとして設定した場合、Meldはノートがトリガーされるたびにランダム値を計算して、その値でターゲットをモジュレーションします。
[PB](ピッチベンド)、[Press](アフタータッチ)、[Mod W](モジュレーションホイール)は、多くのMIDIコントローラーに搭載されているハードウェアの操作子です。 [Note PB](ノートごとのピッチベンド)、[Slide](スライド)、[Press](プレッシャー)は、多くのMPEコントローラーに搭載されているハードウェアの操作子です。 MIDIやMPEのコントローラーをお持ちでない場合でも、クリップエンベロープ を使ってこれらのパラメーターをモジュレーションできます。
30.8.8 Settingタブ

Meldの[Setting]タブは、エンジンごとに適用する3つのグローバル設定([Oscillators](オシレーター)、[Scale Awareness](スケール認識)、[Glide](グライド))を備えています。
[Key Tracking]のスイッチは、オシレーターがピッチに追従するか切り替えます。 オンにすると、オシレーターは入力したMIDIノートのピッチで発音します。 オフにすると、オシレーターはすべてのMIDIノートに対して C3 の一定したピッチで発音します。また、[Scale Mode]がオンの場合は、C3 のオクターブ内にあるスケールのルート音を発音します。 これはドローンやパーカッシブなサウンドを演奏する場合などに便利です。
[Phase Reset ] スイッチをオンにすると、新しいノートごとにオシレーターの位相が一定の値へリセットされます。 また、[Phase Reset]をオンにすると、[Phase Spread]にアクセスできるようになります。 [Phase Spread]をオンにすると、モジュレーション・マトリックスの中の[Spread]モジュレーションソースに基づいて、オシレーター位相の開始位置が分散されます。 [Phase Spread]をオフにすると、この開始位相をゼロに設定します。
[Scale Awareness](スケール認識)セクションでは、2つのスイッチで[Oscillator]と[Filter]のスケール認識を使用できます。
[Oscillator]のスケール認識をオンにすると、スケール認識に対応したオシレーターのピッチを制御して、スケール内に収まるようになります。 スケール認識に対応したオシレーターは、次の(♭♯)で表記されたオシレータータイプです:[Dual Basic Shapes][Swarm Sine][Swarm Triangle][Swarm Saw][Swarm Square][Chip]
[Filter]のスケール認識をオンにすると、スケール認識に対応したフィルタータイプでは、レゾナンスで発振した周波数もスケール内に収まるようになります。 スケール認識に対応したフィルターは、次の(♭♯)で表記されたフィルタータイプです:[Plate Resonator][Membrane Resonator]
[Glide]セクションには、[Porta](ポルタメント)と[Gliss](グリッサンド)の2つのグライドモードがあり、[Time](グライドタイム)のコントロールも備えています。
[Time](グライドタイム)のコントロールでは、ノートが重なり合った時、ピッチが後から入力されたピッチへスライドするのにかかる時間を設定します。 グライドは[Mono]と[Poly]の両方のモードで有効になります。
[Porta]をオンにして、あるノートを押さえたまま別のノートを弾くと、最初のノートのピッチが2番目のノートのピッチへと徐々にスライドしていきます。 [Gliss]をオンにして、あるノートを押さえたまま別のノートを弾くと、最初のノートのピッチは2番目のノートのピッチまで、階段状に上昇/下降していきます。 スケール認識をオンにすると、階段状になったスケール度数でグリッサンドがかかります。 なお、ポルタメントとグリッサンドの効果は、[Glide Time]をゼロより大きい値にしないと聞くことができません。
30.8.9 Filters

Meldの2基のエンジンにはそれぞれ専用のフィルター[A]と[B]を備え、[Filters]セクションのスイッチで個別にオン/オフを切り替えられます。
[フィルター周波数]のノブで、フィルターのカットオフ周波数の中心値を設定します。
フィルタータイプのドロップダウンメニューでは、17種類のフィルタータイプから選択できます。 各フィルターは2つのマクロを備えていて、選択したフィルターによって変化します。
Meldでもっとも一般的なフィルターのマクロは[Q]と[Drive]です。 [Q]では、フィルターのカットオフ周波数付近を強調する度合いを調整します。 [Drive]はフィルターを通る前段で入力信号をサチュレーションさせて、ディストーションを作るのに役立ちます。
[SVF 12dB]と[SVF 24dB]のフィルターは、ステートバリアブル型フィルターです。 [L-B-H-N]マクロコントロールで、このフィルタータイプを4つの設定(ローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ)の間をモーフィングします。
[MS2]フィルターは、有名な日本製のセミモジュラー・モノシンセに搭載されたサレンキー型の設計をモデリングしていて、レゾナンスを制御するためにソフトクリッピングを加えています。 Meldではローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[OSR]フィルターは、レアなイギリス製モノシンセに搭載されたステートバリアブル型フィルターをモデリングしたもので、独自のハードクリッピング・ダイオードでレゾナンスを制御しています Meldではバンドパスフィルターで使用できます。
[LP Crunch 12dB]はデュアルモードのローパスフィルターで、信号をフィルターにフィードバックさせることでディストーションを加えます。
[LP Switched Res]は、抵抗器を高速スイッチに置き換えたローパスフィルターをモデリングしていて、ダウンサンプリングによるノイズを生成します。 [Lofi]マクロノブで、このフィルターの抵抗器の周波数を変更します。 高い値に設定すると、より潰れたサウンドのフィルターになります。 低い値に設定すると、滑らかなサウンドになります。
[Filther]は、信号の入力段と出力段にディストーションを加えるローパスフィルターをモデリングしています。 入力信号にはハードダイオードクリッパーを使用し、出力信号にはソフトサチュレーションを使用します。
[Eq Peak]と[Eq Notch]のフィルターは、ピークフィルターとノッチフィルターで、入力信号にゲインと帯域幅を適用します。 [Eq Peak]フィルターの[Boost]マクロノブでは、フィルターのカットオフ位置付近の周波数をブーストします。 [Eq Notch]フィルターの[Cut]マクロノブでは、フィルターのカットオフ位置付近の周波数をカットします。
[Phaser]フィルターは、ディレイをかけずにフィードバックを反転させた6ステージのフェイザーで、フィードバックとノッチ間隔が可変式です。 [Phaser]フィルターの[Feedb](フィードバック)マクロノブでは、フィルターの入力にフィードバックする量を設定します。 [Spread]マクロノブは、周波数スペクトラム内でフィルターのノッチ間隔を調整します。
[Redux]フィルターは、サンプルレートと量子化クオンタイズが可変式のリサンプラー/ビットクラッシャーで、リサンプリングで発生した歪みをコントロールできます。 [Crush]マクロコノブでは、フィルター出力段のビットデプスを設定します。 [Lofi]マクロコントロールは、フィルターをかけてサンプルレートを落とした信号と、フィルターをかけずにReduxがサンプルレートを落とした歪みの信号間で、ミックスバランスを調整します。
[Vowel]フィルターは、母音の発音の特性を模したフォルマントフィルターで、フィルターの[Morph]マクロノブを使用すると、さまざまな設定をモーフィングすることができます。
[Comb +]と[Comb -]フィルターは、フィードフォワード型コムフィルターとフィードバック型コムフィルターです。 [Feedb]マクロコントロールでは、フィルターの出力を遅延させて入力段に戻すフィードフォワードかフィードバックの量を調整します。 [Damp]マクロノブでは、フィルターの出力にローパスフィルターをかけ、高域の周波数を減衰させます。
[Plate Resonator]フィルターは、長方形プレートの最初の 32 モード(振動)を共鳴装置の音階に調整し、入力信号に適用します。 マクロノブを使用すると、プレートのサイズ、共鳴、寸法比を変更できます。 フィルターのスケール認識をオンにすると、フィルターの発振する周波数はスケールに合わせられます。
[Membrane Resonator]フィルターは、円形プレートの最初の 32 モード(振動)を、共鳴装置の音階に合わせて調整し、入力信号に適用します。 マクロノブを使用すると、この膜のサイズ、共鳴、高域周波数の減衰を変更できます。 フィルターのスケール認識をオンにすると、フィルターの発振する周波数はスケールに合わせられます。
30.8.10 Mixセクション

Meldの各エンジンは、ボリュームとパンのコントロールや、専用の[Tone](トーンフィルター)を備えています。これらはMeldの[Mix]セクションにあります。 [ボリューム]は、エンジンから出力される音量を調整し、[パン]はステレオフィールド内の位置を調整します。
Meldの[Tone]フィルターは、ハイパスフィルターとローパスフィルターを組み合わせたような機能です。 正の値に設定すると、エンジンの低域の周波数がカットされます。 負の値に設定すると、エンジンの高域の周波数がカットされます。
Meldは内蔵リミッターを備え、[Limit]ボタンをクリックするとオンになります。 オンにすると、両方のエンジンをミックスしてグローバルの[Drive]設定を通った後に、ボイスごとにリミッターがかかります。 この機能は、Meldの両方のエンジンを使用する際、全体的な出力レベルを制御したい場合に役立ちます。
30.8.11 グローバルコントロール

Meldのグローバルコントロールは、インストゥルメント全体のサウンドや動作に影響します。
Meldの[Mono/Poly]スイッチでは、出力するサウンドをモノフォニックとポリフォニックで切り替えます。
[Mono]を選択すると、[Legato]スイッチのオン/オフが切り替えられるようになります。 [Legato]をオンにすると、別のノートを押さえている間に新しいノートを発音すると、元のノートのエンベロープは現在の位置から引き継いで動作します。 [Legato]をオフにすると、新しいノートを発音するたびにエンベロープは最初の位置から動作を開始します。
[Poly]をオンにすると、ドロップダウンメニューでMeldが使用するボイス数を 2 から 12 の間で設定できるようになります。
[Spread]コントロールは、Meldのモジュレーションマトリックス内で、Spreadの範囲をモジュレーションソースとして調整します。 [Stack]のコントロールで積み重ねるボイスの数を設定している場合、[Spread]は各ボイス同士をオフセットします。 [Stack]のボイスを[Off]に設定すると、[Spread]は押さえたコード内の各ノートに対して、ある一定の範囲内で異なる値を生成します。 モジュレーションマトリックス内で[Spread]にモジュレーションターゲットを割り当てていない場合、[Spread]は何の効果もないのでご注意ください。
[Stack]のドロップダウンメニューでは、単一のノートに対して積み重ねるボイスの数を調整します。 積み重ねられたボイスは、各ノートごとに両方のエンジンに対して複製される(フィルター、モジュレーション、ミキサー設定を含む)ため、CPUに大きな負荷がかる場合があります。
[Drive](ミキサードライブ)コントロールでは、Meldの出力に加えるサチュレーションの量を設定します。 [Drive]はボイスごとに適用され、ミキサーからの出力がリミッターに入力される前の段階でかかります。
[ボリューム]コントロールは、Meldの出力レベルを調整します。
[現在のスケールを使用]ボタンを使用すると、MeldがLiveのスケールモードに従うようになります。 オンにすると、MeldのオシレーターがLiveの現在のスケールに従うようになり、すべてのトランスポーズ(モジュレーションマトリックス内の[Pitch Quant]モジュレーションターゲットも含む)が、セミトーン単位ではなくスケール度数になります。
30.9 Operator

Operatorは、「周波数変調」(FM)と、伝統的な減算合成と加算合成のコンセプトを組み合わせた柔軟で高性能なシンセサイザーです。 4つのマルチ波形オシレーターを使用して互いの周波数を変調させ、複雑な音色を作り出すことができます。 Operatorは、フィルターセクション、LFOとグローバルのコントロールのほか、オシレーター、フィルター、LFO、ピッチに対してそれぞれ個別のエンベロープを備えています。
30.9.1 はじめに
Operatorのインターフェースは、「ディスプレイ」とその周りを囲む「シェル」の 2 つの部分から構成されています。 シェルは、主要なパラメーターを一括表示しており、8つのセクションに分かれています。 左側にはオシレーターセクション、右側には、上からLFO、フィルターセクション、ピッチセクション、グローバルパラメーターが並んでいます。 シェルパラメーターのうち、どれか1つを変更すると、中央のディスプレイにその詳細が表示されます。 たとえば、音作りの時に、オシレーターのレベルと周波数へシェルを介して一度にアクセスできます。 各オシレーターのエンベロープ、波形、その他のパラメーターの調節は、中央のディスプレイから行います。
Operatorのディスプレイは、左上の三角ボタンで折りたためます。 ディスプレイの詳細にアクセスする必要がない場合に便利です。

Operatorの各オシレーターは、その信号を直接出力するか、他のオシレーターの変調に使用できます。 Operatorには、定義済みのアルゴリズムが11つ用意されています。 アルゴリズムを選択するには、右下の(グローバル)セクションを選択すると表示されるグローバルディスプレイから、アルゴリズムの構造を示すアイコンのいずれかをクリックします。 信号は、アルゴリズムのアイコンに表示されたオシレーター間を上から下に向かって流れます。 他のパラメーターと同様に、アルゴリズムのセレクターはMIDIコントローラーにマップしたり、オートメーションを設定したり、リアルタイムで調整できます。

一般的なFM合成では、純粋なサイン波で変調させることで、さらに複雑な波形を作り出しています。 しかし、Operatorではサウンドデザインを簡単にして幅広い音作りを可能にするため、2種類のノイズを含むさまざまな波形を生成できるように設計されています。 また、パーシャルエディターで独自の波形を描くこともできます。 このインストゥルメントは、LFO、ピッチエンベロープ、フィルターのセクションで構成されています。 なお、「伝統的な」FM合成シンセサイザーの多くは、フィルターがなくても素晴らしいサウンドを作り出せるので、まずはフィルターなしでFMを試し、必要があればフィルターを加えましょう。
音作りを深く追求したければOperatorが最適です! サウンドの解体と再構築に挑戦したい場合は、Operatorのコントロールを クリップエンベロープ や トラックのオートメーション でモジュレーションさせるのもいいでしょう。
30.9.2 オシレーター・セクション

30.9.2.1 内蔵波形
オシレーターには、サイン波、ノコギリ波、矩形波、三角波、ノイズの5種類の基本波形が内蔵されています。波形は、各オシレーターディスプレイの[Wave]セレクターから選択します。 このセレクターの先頭にあるのは数学的に純粋なサイン波で、FM音色を作る上で最初に選択することの多い波形です。 これに加え、コモドール64ファンに絶大な人気を誇るレトロなサウンドの[Sine 4 Bit]と[Sine 8 Bit]や、デジタルなベースサウンドに効果的なデジタル波形の[Saw D]と[Square D]も追加されました。 矩形波、三角波、ノコギリ波は、それぞれの理想形の近似値を再合成したものです。 表示名に含まれる数字([Square 6]など)は、再合成に使用される倍音の数を示しています。 数字が小さくなるとメロウなサウンドになり、高いピッチで使用してもエイリアスノイズが発生しにくくなります。 さらに、2つのノイズ波形も内蔵されています。 1つは ”Noise Looped” で、ノイズのループ・サンプルです。 ランダムなノイズが必要な場合は、 ”Noise White” を選択します。
30.9.2.2 ユーザー波形
[Wave]セレクターの[User]エントリでは、オシレーターの倍音の振幅を描画して、独自の波形を作成できます。 また、内蔵波形のいずれかを選択して同じように編集することもできます。 [Wave]セレクターの隣の小さなディスプレイには、作成する波形の全体像がリアルタイムで表示されます。
マウスを[Oscillator]ディスプレイの上に置くと、カーソルがペンシルに変化します。 ディスプレイ内に描画して、倍音の振幅を上下に動かします。 振幅を調整すると、調整中の倍音の番号とその振幅がステータスバーに表示されます。 Shift を押ながらドラッグすると、水平方向のマウスの動きを制限して、1つの倍音の振幅のみを調整できます。
ディスプレイ右のスイッチで、編集する倍音の数を 16、32、64 次倍音で切り替えられます。 [Repeat]セレクターの設定に従って、描画した部分を徐々にフェードアウトしながら繰り返すことで、高倍音を生成できます。 [Repeat]の値が低いとサウンドが明るくなり、値を高くすると高域がよりロールオフして、基音が目立つようになります。 [Repeat]をオフにすると、16次、32次、64次 倍音を超える部分音は切り捨てられます。
倍音ディスプレイのコンテキストメニューでは、偶数か奇数の倍音のみを編集するオプションを選択できます。 このオプションは、デフォルトでは[All]に設定されています。 また、このコンテキストメニューでは、[Normalize]のオン/オフを切り替えられます。 オンにすると、倍音を追加して描画する時にオシレーターの全体的な出力レベルが保持されます。 オフにすると、倍音を追加するとその分音量が上がります。 なお、[Normalize]をオフにすると、音量が極端に大きくなる場合があります。
コンテキストメニューのメニューでは、作成した波形を .ams 形式でユーザーライブラリ内のSamples/Waveformsフォルダーへエクスポートできます。 .amsファイルをブラウザーからオシレーターのディスプレイへドラッグすると、Operatorへ再びインポートできます。 .amsファイルは、SimplerまたはSamplerにロードすることもできます。
[オシレーター プレビュー]のコンテキストメニューを使用すると、内蔵波形とユーザー波形のどちらも、オシレーターから別のオシレーターへコピー&ペーストできます。
30.9.2.3 その他のオシレーターのパラメーター
オシレーターの周波数は、各オシレーターシェルの[Coarse](コース)と[Fine](ファイン)コントロールを使って調整します。 通常、オシレーターの周波数は再生したノートの周波数に従いますが、サウンドによっては、いくつかのオシレーターを固定周波数に合わせた方が便利になります。 これを行うには、各オシレーターの[Fixed]ボタンをオンにします。 こうすると、異なるノートを再生しても、音色は変化するけれどチューニングはそのまま、といったサウンドが作れます。 [Fixed]モードは、生っぽいドラムサウンドの作成などに便利です。 さらに[Fixed]モードでは、0.1Hzまでの低周波を作成することができます。 なお、[Fixed]モードをオンにすると、オシレーターの周波数は各オシレーターシェルの[Freq](周波数)と[Multi](逓倍)コントロールで制御できます。
Operatorでは、各オシレーターには特別な[Osc < Vel]コントロールがあり、ベロシティで周波数を変更する機能を備えています。 この機能は、各ノートのベロシティを細かく調整しているシーケンスを扱うする際、とても便利です。 この機能の1つに、隣接する[Q](クオンタイズ)ボタンがあります。 このコントロールが有効の場合、周波数は、[Coarse]コントロールを手動で調整したかのように整数値のみで変化します。 クオンタイズが有効でない場合、周波数はクオンタイズなしの状態になり、結果としてデチューンや不協和音のサウンドになります(もちろん、わざとそうしてもかまいません)。
オシレーターの振幅は、シェルの[Level]設定とそのエンベロープにより異なります。[Envelope]ディスプレイの表示中は、エンベロープが表示され編集できます。 エンベロープは、各オシレーターディスプレイの[Envelope]セクションの[Vel]と[Key]パラメーターを使って、ノートベロシティとノートピッチで変更することもできます。
各オシレーターの位相は、ディスプレイの[Phase]コントロールで調整できます。 [R](リトリガー)ボタンがオンの場合、波形はノートがトリガーされるたびに波形位相の同じ位置から再びスタートします。 [R]をオフにすると、オシレーターは自由走行になります。
前述の通り、グローバルディスプレイでアルゴリズムを設定すると、オシレーターが互いに変調しあうことができます。 あるオシレーターが別のオシレーターを変調している時には、2つの主要な性質がサウンドを左右します。この2つは、変調しているオシレーターの振幅と、両オシレーター間の周波数比率です。 他のオシレーターから変調されていないオシレーターは、ディスプレイの[Feedback]パラメーターでそのオシレーター自身を変調させられます。
30.9.2.4 エイリアシング
エイリアスノイズとは、デジタル合成で生じるごく一般的な副作用で、サンプルレートの上限と、デジタルシステムの精度によって起こります。 ほとんどの場合、高い周波数に発生します。 FM合成では、高倍音を多用したサウンド作成が可能なため、この種の効果を生じることが特に多くなります。 つまり、 ”Saw 32” のような特に複雑なオシレーター波形では、純粋なサイン波に比べて、エイリアスノイズが出やすくなります。 エイリアシングには、二重の相反する要素があります。少量のエイリアスノイズはクールなサウンドを作るのに必要ですが、少しでも多すぎると、高音から急速にピッチを下げた時にピッチ感がなくなり、演奏できない音色になってしまいます。 Operatorでは、高品質な[Antialias]モードで操作を行うとエイリアスノイズを最小限にできます。 これは、新規パッチに対してデフォルトでオンになっていますが、グローバルセクションでオフに切り替えられます。 グローバルセクションの[Tone]パラメーターを使用すると、エイリアスノイズを制御できます。 このパラメーターの効果はローパスフィルターに近い場合もありますが、サウンド自体の性質による部分があり、一様に予測することはできません。 エイリアスノイズの音に慣れるには、[Tone]パラメーターを最大まで上げ、かなり高めのノートを再生してみましょう。 一部の音が、他の音と全く違って聞こえるのが分かるはずです。 [Tone]を下げるとこの効果を減らせますが、サウンドの明瞭度は低下します。
30.9.3 LFOセクション

OperatorのLFOは、実質的に5つ目のオシレーターと考えることができます。 オーディオレートで動作し、他のオシレーターの周波数を変調します。 それぞれのオシレーター(とフィルター)に対するLFOモジュレーションのオン/オフは、LFOディスプレイの [Dest. A]ボタンを使って切り換えます。 これらのターゲットに対するLFOのモジュレーションの強度は、 [Dest. A]スライダーで調整できます。 LFOを使用しない場合は、完全にオフにできます。
[Dest. B]セレクターでは、 LFOが追加のパラメーターをモジュレートするよう選択できます。 モジュレーションの強度は、[Dest. B] スライダーの値で決まります。
LFOでは、一般的なLFO波形、サンプル&ホールド(S&H)、ノイズが選択できます。 サンプル&ホールドは、LFOのレートで選ばれたランダムな数字を使用し、ランダムステップを作成します。 レトロフューチャリスティックなSFサウンドに使うと効果的です。 ノイズ波形は、バンドパスでフィルターしたノイズです。
ヒント:FM合成を使用すると、素晴らしいパーカッションサウンドを作れます。また、ノイズ波形を使ったLFOは、良いハイハットやスネアのサウンドを作る上でキーとなります。
LFOの周波数は、シェル内のLFO[Rate]コントロールと、その隣のLFO[Range]セレクターの低/高/同期の設定により決まります。 LFOの周波数は、ノートピッチに従うようにするか、固定にするか、その中間に設定することができます。 設定はLFOディスプレイ内の[Rate < Key]パラメーターで行います。 [R](リトリガー)ボタンをオンにすると、LFOはノートがトリガーされるたびに位相の同じ位置から動作を再開します。 [R]をオフにすると、LFOは自由走行になります。
LFOの全体的な強度は、シェル内の[LFO Amount]コントロールで設定します。 このパラメーターは[Dest. A]と[Dest. B]の 両方の量を調整し、ディスプレイの[Amt /< Vel]コントロールを介してノートのベロシティでモジュレーションをかけることができます。 LFOの強度は、そのエンベロープによっても影響されます。
30.9.4 エンベロープ

Operatorは7つのエンベロープを備えています。各オシレーターに1つずつ、フィルターエンベロープ/ピッチエンベロープ/LFOに対してエンベロープが1つずつあります。 すべてのエンベロープは特別なループモードを備えています。 さらに、フィルターエンベロープとピッチエンベロープには、調整可能なスロープを付けられます。
各オシレーターのボリューム・エンベロープは、3つのレートと3つのレベルからなる、6つのパラメーターで決まります。 レートとは、あるレベルから次のレベルへ到達するまでにかかる時間です。 よくあるパッドサウンドを例に取ると、まず初期レベルの ”-inf dB” (無音の状態)から始まり、アタック・レートに移行してピークレベルに達し、そこからディケイ・レートを経過してサステイン・レベルへ移行します。 そして最後は、ノートオフの後にリリース・レートで ”-inf dB” に戻ります。 Operatorのディスプレイでは、エンベロープカーブの概観を実際に確認することができ、ブレークポイントをクリックまたはドラッグしてカーブを調整できます。 ブレークポイントはクリックした後も選択状態を維持して、キーボードの矢印キーを使って選択範囲を調整できます。
エンベロープの形状は、エンベロープ・ディスプレイのコンテキストメニューを使用して、Operator内のあるオシレーターから別のオシレーターへコピー&ペーストできます。
前述のとおり、フィルターエンベロープとピッチエンベロープには、調整可能なスロープを備えています。 ブレークポイントの間のひし形をクリックすると、エンベロープ部分のスロープを調整できます。 正のスロープ値では、エンベロープの最初で速く動作して、その後はゆっくり動作します。 負のスロープ値では、エンベロープはフラットな状態を長く保持した後、最後は動作が速くなります。 スロープの値がゼロだと直線状の動作になり、エンベロープは全体を通して同じ速さで動作します。
FM合成を使えば、荘厳で鮮烈な終わりのないサウンドを作成できます。 ここで鍵となるのは、エンベロープをループさせることです。 [Loop]モードは、ディスプレイ左下で有効にできます。 Operatorのエンベロープを[Loop]モードにして、ノートを押さえている間にサステインレベルに到達すると、エンベロープがリトリガーされます。 この動作の速さは、[Time](ループタイム)パラメーターで設定します。 なお、[Loop]モードのエンベロープはとても速いループが可能なため、通常のエンベロープ・ジェネレーターにはないような効果が得られます。
[Loop]モードはテクスチャーや実験的なサウンドに適していますが、Operatorではリズミカルなサウンド作成が簡単に行える[Beat]や[Sync]モードも選択できます。 [Beat]モードに設定すると、エンベロープは[Repeat]セレクターで選択した拍を経過した後、動作を再スタートします。 [Beat]モードでは、リピートタイムはソングタイムの分割数で設定されますが、ノートはクオンタイズされません。 同期からずれた状態でノートを再生すると、リピートはするものの、同期は外れたままになります。 しかし、[Sync]モードでは、最初のリピートが直近の16分音符にクオンタイズされるため、それ以降のリピートはすべてソングテンポに同期します。 なお、[Sync]モードはソングの再生中のみ動作して、それ以外ではビートモードと同じ動作をします。
イニシャルレベルからリスタートした時のクリック音を防ぐため、ループ・エンベロープは現在のレベルからリスタートして、設定したアタック・レートでピークレベルへと移行します。
パーカッシブなサウンドを扱うのに最適な、[Trigger]と呼ばれるモードもあります。 このモードでは、ノートオフが無視されます。 つまり、鍵盤を押さえる長さはサウンドの長さに影響しません。
Operator内のすべてのエンベロープのレートは、シェル内のグローバルセクションにある[Time]コントロールで一括して調整できます。 なお、[Beat]と[Sync]のモードのビートタイム値は、グローバルセクションの[Time]パラメーターには影響されません。 エンベロープのレートは、グローバルセクションのディスプレイ内にある[Time < Key]パラメーターから、ノートのピッチでさらに調整できます。 また、各エンベロープのレートは、[Time < Vel]パラメーターを使うとベロシティでも変更できます。 これらのモジュレーションをループ機能と組み合わせると、非常に複雑なものを作成できます…
各オシレーターとLFOのピッチエンベロープは、ディスプレイ内の[Dest. A]から[Dest. D]のボタンと[LFO]ボタンでオン/オフを切り替えられます。 これらのターゲットに対するLFOモジュレーションの強度は、 [Dest. A]スライダーで調整でき、エンベロープは、シェルの[ピッチセクション]にあるスイッチでオフに切り替えられます。
LFOと同様、ピッチエンベロープでは、[Dest. B]セレクターで選択した追加のパラメーターを モジュレートできます。 モジュレーションの強度は[ピッチエンベロープ適用量 B] スライダーと[Pitch Env]の値で設定します。
ピッチとフィルターのエンベロープには、それぞれ[End]という追加パラメーターを備えています。 このパラメーターでは、鍵盤から指を離した後にエンベロープが動作する量を設定します。 このエンベロープ部分のレートは、リリースタイムにより決まります。
ヒント:ピッチエンベロープをLFOにのみ適用してループさせると、ピッチエンベロープは2つ目のLFOとなり、1つ目のLFOのレートをモジュレートします。 また、LFO自身のエンベロープもループできるので、これを3つ目のLFOとして使用して、1つ目のLFOの強度をモジュレートします。
30.9.5 Filterセクション

Operatorのフィルターは、オシレーターが作り出したリッチな倍音を変化させる際、とても役立ちます。 また、オシレーターはアナログシンセサイザーの一般的な波形も備えているので、フィルターを使った減算方式のシンセサイザーを簡単に構築できます。
Operatorは、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、特殊な[Morph]フィルターのさまざまなフィルタータイプを備えています。 各フィルターのスロープは 12 dBと 24 dBを切り替え可能で、有名アナログシンセに見られるハードウェアフィルターをエミュレートする、Cytomicと共同開発したアナログモデリング回路の動作にも切り替えられます。
[Clean]回路のオプションは高品位かつCPU効率に優れたデザインで、EQ Eight と同じフィルターを使用しています。 このオプションはすべてのフィルタータイプで使用できます。
[OSR]回路オプションは、ステートバリアブル型フィルターで、独自のハードクリッピング・ダイオードがレゾナンスを制御しています。 イギリスの珍しいモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしていて、すべてのフィルタ-タイプで使用できます。
[MS2]回路のオプションは、サレン・キー型のフィルターで、ソフトクリッピングを使ってレゾナンスを制御しています。 日本の有名なセミモジュラー・モノシンセで使用しているフィルターをモデリングしていて、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[SMP]回路はカスタムデザインで、特定のハードウェアには基づいていません。 [MS2]回路と[PRD]回路の両方の特徴を持ち、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[PRD]回路は、ラダー型の設計を使用しており、明確なレゾナンス制御はしていません。 これは米国の有名なデュアルオシレーター・モノシンセで使用しているフィルターのモデリングで、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
フィルターで最も重要なパラメーターは、[Frequency]と[Resonance]の2つです。 [Frequency]で倍音のスペクトル内のどこにフィルターをかけるか設定し、[Resonance]はその周波数付近の帯域を強調します。
ローパス、ハイパス、バンドパスフィルターを[Clean]以外の回路タイプで使用すると、[Drive]コントロールが追加され、信号がフィルターに入力される前段でゲインやディストーションを加えられます。
[Morph]フィルターには追加の[Morph]コントロールを備え、フィルタータイプをローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、そして再びローパスへとスムーズに変えられます。
[Morph]スライダーのコンテキストメニューのオプションでは、ローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチの設定を簡単に切り替えられます。
フィルターセクションのディスプレイの[Envelope]と[Filter]ボタンでは、ディスプレイの表示を、フィルターエンベロープとエンベロープの周波数特性で切り替えます。 フィルターのカットオフ周波数とレゾナンスは、シェルまたはディスプレイ内のフィルター応答曲線をドラッグして調整できます。 また、フィルター周波数は次のパラメーターでモジュレーションできます。
- ノートベロシティ(フィルターのディスプレイ内の[Freq > Vel])
- ノートピッチ(フィルターのディスプレイ内の[Freq > Key])
- フィルターエンベロープ(フィルターのディスプレイ内の[Envelope])
- LFO (LFOのディスプレイ内で[Dest. A]スイッチをオンにするか、[Dest. B]を[Filter Freq]に設定)
[Frequency]ノブのコンテキストメニューには、[キーで発音]というエントリがあります。 これは、[Freq < Key]を 100% に、カットオフを 466 Hzに設定することで、フィルターを最適なキートラッキングに自動設定します。
フィルターの信号はウェーブシェイパーにルーティングでき、シェイパーのカーブタイプを[Shaper]セレクターで選択できます。 シェイパーのドライブスライダー [Shp.Drive]では、ウェーブシェイパーに送られた信号の音量を増幅/減衰できます。ドライ信号とウェット信号の全体的なバランスは、[Dry/Wet]コントロールで調整します。 これを 0% に設定すると、シェイパーとシェイパードライブのパラメーターは無視されます。
30.9.6 グローバル・コントロール

グローバル・セクションには、Operatorの全体的な動作に影響するパラメーターがあります。 また、グローバル・ディスプレイには、モジュレーションのルーティングの包括的なコントロールを備えています。
Operatorの同時再生可能な最大ボイス(ノート)数は、グローバル・ディスプレイ内の[Voices]パラメーターで調節します。 理想としては、再生中のボイスが途切れない範囲でこの設定を高くしたいのですが、CPU消費を考慮すると、 6 から 12 の間が現実的な設定になるでしょう。 Operatorの同時発音数は最大32ボイスです。
ヒント:サウンドによっては、単音で再生する性質のものもあり、この場合は1ボイスのみ使用します。 フルートなどがこれに当てはまります。 こういった場合には、[Voices]を 1 に設定します。 この設定により、次のような別の効果が生まれます:重なり合うボイスはレガートで再生され、ボイスから別のボイスへ移行してもエンベロープはリトリガーされず、ピッチのみが変化します。
このインストゥルメントの[Volume]コントロールは、シェル内のグローバル・セクションにあり。[Pan]コントロールは、グローバルセクションのディスプレイ内にあります。 [Pan]は、隣にある[Pan < Key]と[Pan < Rnd]コントロールを使って、ノートピッチやランダム係数でモジュレートできます。
グローバルディスプレイの中央では、さまざまな内部MIDIマッピングが行えます。 MIDIコントローラーのベロシティ、キー、アフタータッチ、ピッチベンドとモジュレーション・ホイールを、それぞれ2つのターゲットへマッピングできます。 各モジュレーションの強度は、[Amount]スライダーで個別に設定できます。 [Time < Key]とピッチベンド幅は固定の割り当てですが、モジュレーションソースは両方とも別のターゲットへルーティングできます。 モジュレーションのオプションに関する詳細は、 パラメーターの全リスト をご参照ください。
30.9.7 グライドとスプレッド

Operatorには、ポリフォニック(多声)のグライド機能がついています。 この機能をオンにすると、新しいノートは、直近に再生したノートのピッチで発音を始め、その後徐々にそのノート本来のピッチへスライドします。 グライドはオン/オフを切り替えたり、、ピッチ・ディスプレイ内の[Time](グライドタイム)コントロールで調整できます。
さらに、Operatorはリッチなステレオコーラスを作る[Spread]パラメーターを備えています。 これは、各ノートごとに2つのボイスを使用し、左右にパンニングすることでコーラスにしています。 この2つのボイスはデチューンすることができ、その度合いはシェルのピッチ・セクションにある[Spread]コントロールで調整できます。
スプレッドが特定のノートに適用されるかどうかは、ノートオン時の[Spread]パラメーターの設定によって決まります。 たとえば、ほとんどの時間で[Spread]を 0 に設定して、いくつかのノートのみでスプレッドがオンになるシーケンスを作成すると、面白い効果が得られます。 スプレッドが適用されたノートはステレオで再生され、他のノートはモノラルで再生されます。 なお、スプレッドはCPU負荷の高いパラメーターです。
また、ピッチセクションはグローバルの[Transpose]ノブも備えています。
30.9.8 CPU負荷を軽減させるには
CPUパワーをセーブしたい場合は、使用しない機能をオフにするか、ボイス数を減らします。 特に、サウンドに関わりのないフィルターやLFOはオフにするといいでしょう。
CPUリソースを節約するには、ボイス数を 6 から 12 の間になるよう減らしたり、スプレッド機能の使用を控えめにするといいでしょう。 グローバルディスプレイの補間モードやアンチエイリアス・モードをオフにしても、CPUリソースを節約できます。
なお、オシレーターをオフにしても、CPUパワーの節約にはなりません。
30.9.9 おわりに
Operatorは、FM合成に対する強いこだわりと、Yahama SY77、Yamaha TX81Z、NED Synclavier IIといった、古き良きハードウェアFMシンセサイザーに対する愛と献身から生まれたインストゥルメントです。 FM合成は、コンピューター音楽の先駆者である作曲家、John Chowningにより、1960年代に研究が行われました。 1973年には、スタンフォード大学がヤマハとの提携を開始し、楽器史上で最大のヒット作となるDX7をもたらしました。
John Chowningは、合成概念を基に素晴らしい作品を生み出しました。 LiveのOperatorを使えば、簡単にFM合成が行えるのです。
ぜひ楽しんでください!
30.9.10 パラメーター 一覧
Operatorの各パラメーターの機能については、以下の項をご参照ください。 Live(Operator関連の部分を含む)のコントロールに関する説明は、コントロール部分へマウスオーバーし、インフォビューから読むこともできます。 パラメーターリストは、Operator内に表示されている場所別にそれぞれセクション分けされています。
30.9.10.1 グローバルシェルとディスプレイ
Time:すべてのエンベロープのレートに対するグローバルコントロールです。
Tone:Operatorは高い周波数の音色を作り出すことができますが、結果としてエイリアスノイズを生み出すことがあります。 [Tone]設定は、サウンドの高域周波数をコントロールします。 設定値が高いとブライトになりますが、エイリアスノイズが生じやすくなります。
Volume:このインストゥルメントの全体的なボリュームを設定します。
アルゴリズム:オシレーターが他のオシレーターをモジュレートしたり、他のオシレーターから別のモジュレーターをモジュレートさせることもできまです。 アルゴリズムはオシレーター間の接続を定義するため、作成したサウンドに大きく影響します。
Voices:同時に鳴らすことのできる最大ノート数を設定します。 再生可能なボイス数より多いノートの数が設定された場合、一番古いノートからカットオフされます。
R (Retrigger):オンにすると、使用可能なノートはリトリガーされますが、追加ボイスを生成しません。
Interpolation:オシレーターとLFOの補間アルゴリズムを切り替えます。 オフにすると、粗い音色になるものもあります(特にノイズ波形)。 オフにするとCPU消費を節約できます。
Antialias:Operatorの高品質アンチエイリアスモードを切り替えます。 これにより、髙域の周波数帯域のディストーションを最小限にします。 このモードをオフにすると、CPU負荷が低減します。
Time < Key:全エンベロープのレートはノートピッチでコントロールできます。 グローバルの[Time < Key]パラメーターを高い値に設定すると、高音域のノートを再生した時に、エンベロープの動作スピードが速くなります。
PB Range (Pitch Bend Range):MIDIピッチベンドメッセージへの影響度を指定します。
Pan:各ノートのパノラマを調整するのに使用します。 クリップエンベロープを使ってモジュレートしている際に特に便利です。
Pan < Key:[Pan < Key]の値を高めに設定すると、低音域のノートは比較的左チャンネル側にパンされ、高音域のノートは右チャンネル側にパンします。 これはピアノのようなサウンドで使用されます。
Pan < Random(RND):左右チャンネルの間で、ノートをランダムに配置する範囲を設定します。
30.9.10.2 モジュレーション・ターゲット
モジュレーションのターゲットは、MIDIルーティング対象としてグローバルディスプレイ内で選択できます。 また、LFOとピッチエンベロープのモジュレーション対象としても選択できます。
Off:このコントローラーのモジュレーション・ルーティングをオフにします。
OSC Volume A-D:選択したオシレーターの音量をモジュレートします。
OSC Crossfade A/C:モジュレーションソースの値に基づき、オシレーター A と C の音量をクロスフェードさせます。
OSC Crossfade B/D:モジュレーションソースの値に基づき、オシレーターBとDの音量をクロスフェードさせます。
OSC Feedback:すべてのオシレーターに対して、フィードバック量をモジュレートします。 なお、このフィードバックは、他のオシレーターによって変調されていないオシレーターにのみ適用されます。
OSC Fixed Frequency:固定周波数モードになっているすべてのオシレーターのピッチをモジュレートします。
FM Drive:他のオシレーターを変調しているオシレーターの音量をモジュレートさせることで、音色を変化させます。
Filter Frequency:フィルターのカットオフ周波数をモジュレートします。
Filter Q (Legacy):レガシー・フィルタータイプを使用する際、フィルターのレゾナンスをモジュレートします。
Filter Res:アップデートしたフィルタータイプを使用する際、フィルターのレゾナンスをモジュレートします。
Filter Morph:フィルターのモーフサイクルをモジュレートします([Morph]フィルタータイプでのみ効果を発揮します)。
Filter Drive:[Drive]の量をモジュレートします(Morphフィルターを選択している場合は使用できません)。
Filter Envelope Amount:フィルターのエンベロープの強度をモジュレートします。
Shaper Drive:フィルターのウェーブシェイパーに適用するゲイン量をモジュレートします。
LFO Rate:LFOのレートをモジュレートします。
LFO Amount:LFOの強度をモジュレートします。
Pitch Envelope Amount:ピッチエンベロープの強度をモジュレートします。
Volume:Operatorのグローバル出力の音量をモジュレートします。
Panorama:Operatorの出力のステレオフィールドにおける位置をモジュレートします。
Tone:グローバルの[Tone]パラメーターをモジュレートします。
Time:すべてのエンベロープのレートに対するグローバルコントロールをモジュレートします。
30.9.10.3 ピッチシェルとディスプレイ
Pitch Envelope On:ピッチエンベロープのオン/オフを切り替えます。 オフにするとCPU消費をセーブできます。
Pitch Envelope Amount (Pitch Env): ピッチエンベロープの全体的な強度を設定します。 設定値を 100% にすると、ピッチ変更はピッチエンベロープのレベルにより決まります。 -100% の場合、ピッチエンベロープ・レベルのサインが反転します。
Spread:[Spread]を上げると、シンセサイザーはノートごとにデチューンされたボイスを2つ(左右ステレオチャンネルに1つずつ)使用し、コーラスサウンドを生成します。 スプレッドはCPU消費の高いエフェクトです。
Transpose:インストゥルメント全体のトランスポーズ量を設定します。 このパラメータを変更すると、すでに再生中のノートにも影響します。
Time < Vel (Pitch Envelope Rates < Velocity):このパラメーターは、フィルター、ピッチ、LFO、ボリュームエンベロープに含まれています。 詳細は エンベロープ のセクション内に一覧表示されています。
G (Glide):グライドをオンにすると、直近に再生したノートのピッチから新しいノートのピッチへスライドします。 なお、ノートをレガートで再生している場合、エンベロープはリトリガーされません。
Time (Glide Time):グライドをオンにした時に、直近に再生したピッチから最後のピッチへノートがスライドするのにかかる時間です。 [Glide]が無効の場合、この設定は作用しません。
Pitch Envelope to Osc (Destination A-D):オンにすると、ピッチエンベロープは対応するオシレーターの周波数に作用します。
Pitch Envelope to LFO (Destination LFO):オンにすると、ピッチエンベロープがLFOの周波数に作用します。
Pitch Envelope Amount A:オシレーターとLFOのピッチエンベロープに対するモジュレーションの強度を設定します。
Pitch Envelope Destination B:ピッチエンベロープの第2モジュレーションのターゲットを設定します。
Pitch Envelope Amount B:第2ターゲットのピッチエンベロープに対するモジュレーションの強度を設定します。
30.9.10.4 フィルターシェルとディスプレイ
Filter On:フィルターのオン/オフを切り替えます。 使用しない時はオフにするとCPU消費を節約できます。
Filter Type:このセレクターでは、ローパス・ハイパス・バンドパス・ノッチ・Morphのフィルタータイプから選択できます。
Circuit Type:このセレクターでは、伝統的なアナログシンセサイザーの特性をエミュレートする回路タイプを選択します。
Freq (Filter Frequency):フィルターのセンターまたはカットオフ周波数を設定します。 結果として生じる周波数は、ノートベロシティとフィルタエンベロープを使ってさらにモジュレートすることができます。
Res (Filter Resonance):ローパスとハイパスフィルターのフィルター周波数のレゾナンスと、バンドパスとノッチフィルター幅を設定します。
Envelope / Filter スイッチ:これらのスイッチで、ディスプレイの表示をフィルターのエンベロープとその周波数特性で切り替えます。
Freq < Vel (Filter Frequency < Velocity):この設定に従って、ノートベロシティでフィルター周波数をモジュレートします。
Freq < Key (Filter Frequency < Key):この設定に従って、ノートピッチでフィルター周波数をモジュレートします。 100% の値では、1オクターブごとに周波数が2倍になります。 この機能の中心点はC3です。
Time < Vel (Filter Envelope Rates < Velocity):このパラメーターは、フィルター、ピッチ、LFO、ボリュームエンベロープに含まれています。 詳細はエンベロープのセクション内にリストされています。
Envelope (Filter Frequency < Envelope):この設定に従って、フィルターエンベロープでフィルター周波数をモジュレートします。 100% にすると、エンベロープは最大で約 9 オクターブの周波数をシフトさせます。
Flt. Drive(Filter Drive):信号がフィルターに入力される前段で、追加の入力ゲインを加えます。
Morph:モーフサイクル内でのMorphの位置をコントロールします。
Shaper:このセレクターでは、フィルターのウェーブシェイパーのカーブを選択します。
Shp. Drive(Shaper Drive):ウェーブシェイパーへ送る信号のレベルを増幅または減衰します。
Dry/Wet:ドライ信号と、ウェーブシェイパーが処理した信号間のバランスを調整します。
30.9.10.5 LFOシェルとディスプレイ
LFO On:LFOのオン/オフを切り替えます。 使用しない場合はオフにするとCPU消費を節約できます。
LFO Waveform:一般的なLFO波形から選択します。 [S&H](サンプルアンドホールド)はランダムなステップを生成し、[Noise]はバンドパスフィルターで加工されたノイズを加えます。 すべての波形は不要なクリックノイズを防ぐために帯域を制限しています。
LFO Range:このLFOは非常に広い範囲の周波数をカバーします。 50 セカンドから 30 Hzの範囲には[Low]、8 Hzから 12 kHzの範囲には[Hi]を選択します。 [Sync]では、LFOのレートがご使用のセットのテンポに同期します。 高域においては、LFOは5つ目のオシレーターとしても機能します。
R (Retrigger):オンにすると、LFOはノートがトリガーされるたびに位相上の同じ位置から再びスタートします。 [R]をオフにすると、LFOが自由走行になります。
Rate (LFO Rate):LFOのレートを設定します。 実際の周波数は、[LFOレンジ]とLFOの[Rate < Key]コントロール設定によります。
Amount (LFO Amount):LFOの全体的な強度を設定します。 実際のエフェクト効果はLFOエンベロープによっても左右されます。
LFO to Osc (Destination A-D):オンにすると、LFOは対応するオシレーターの周波数に作用します。
LFO to Filter Cutoff Frequency (Destination FIL):オンの時、LFOは対応するフィルターのカットオフ周波数に作用します。
LFO Amount A:オシレーターとフィルターのLFOのモジュレーションの強度を設定します。
LFO Destination B:LFOの第2モジュレーション・ターゲットを設定します。
LFO Amount B:第2ターゲットのLFOのモジュレーションの強度を設定します。
Time < Vel (LFO Envelope Rates < Velocity):このパラメーターは、フィルター、ピッチ、LFO、ボリュームエンベロープに含まれています。 詳細はエンベロープのセクション内にリストされています。
Rate < Key (LFO Rate < Key):LFOの周波数はノートピッチとしても機能します。 100%に設定した場合、1オクターブごとにLFO周波数が2倍になり、通常のオシレーターと同じように機能します。
Amt < Vel (LFO Amount < Velocity):ノートベロシティによる LFO強度のモジュレート具合を設定します。
30.9.10.6 オシレーターA-Dシェルとディスプレイ
Osc On:オシレーターのオン/オフと切り換えます。
Fine (Osc Fine Frequency):オシレーター周波数とノートピッチの関係は、[Coarse]と[Fine]の2つのパラメーターで決まります。 Coarseで比率を整数で設定し、倍音の関係を作り出します。
Coarse (Osc Coarse Frequency):オシレーター周波数とノートピッチの関係は、[Coarse]と[Fine]の2つのパラメーターで決まります。 Fineで比率を整数で設定し、倍音の関係を作り出します。
Fixed (Osc Fixed Frequency On):[Fixed](固定)モードでは、オシレーターはノートピッチに反応せず、代わりに固定の周波数で発音します。
Freq (Osc Fixed Frequency):オシレーターの周波数をヘルツで表示しています。 ノートピッチに関係なく、この周波数は一定です。
Multi (Osc Fixed Multiplier):固定周波数の範囲を設定します。 実際の周波数をヘルツで算出するには、オシレータの周波数(Freq)ノブを使ってこの数値と掛け合わせます。
Level (Osc Output Level):オシレーターの出力レベルを設定します。 オシレーターが他をモジュレートしている場合、そのレベルは出力される音色に大きく影響します。 レベルが高ければ高いほど、ブライトでノイジーなサウンドが生まれます。
Envelope / Oscillator Switches:これらのスイッチでは、オシレーターのエンベロープとその倍音エディターの間で表示を切り替えます。
16/32/64:ユーザー編集に使用する部分音の数を設定します。
Wave (Osc Waveform):厳選された波形コレクションから選択します。 その後、倍音エディターで波形を編集できます。
Feedback (Osc Feedback):オシレーターは、別のオシレーターに変調されていなければ、このオシレーター自身を変調できます。 モジュレーションは、フィードバックコントロール設定だけでなくオシレータレベルとエンベロープにより決まります。 フィードバック値が高ければ高いほど、複雑な波形が生まれます。
Phase (Osc Phase):オシレーターの初期位相を設定します。 この範囲は1サイクル全体を表しています。
R (Retrigger):オンにすると、オシレーターはノートをトリガーするたびに位相上の同じ位置から再びスタートします。 [R]をオフにすると、オシレーターは自由走行になります。
Repeat:[Repeat]セレクターの設定に従って、描画した部分を徐々にフェードアウトしながら繰り返すことで、高倍音を生成できます。 [Repeat]の値が低いとサウンドが明るくなり、値が高いとハイエンドがロールオフして、基音がより目立ちます。 [Repeat]をオフにすると、16、32、64番目の倍音を上回る部分音は切り捨てられます。
Osc < Vel (Osc Frequency < Velocity):オシレーターの周波数をノートベロシティでモジュレートできます。 正の値ではオシレータのピッチが上がり、負の値ではピッチが下がります。
Q (Osc Freq < Vel Quantized):[Freq < Vel]パラメーターの効果をクオンタイズできます。 オンにすると、ノートごとに[Coarse]パラメーターを手動で変更したのと同じ結果が得られます。
Time < Vel (Volume Envelope Rates < Velocity):このパラメーターは、フィルター、ピッチ、LFO、ボリュームエンベロープに含まれています。 詳細はエンベロープのセクション内にリストされています。
Vel (Osc Output Level < Velocity):オシレーターのレベルがノートベロシティで変化する量を決めます。 変調するオシレーターにこれを適用すると、ベロシティで音色が変化します。
Key (Osc Output Level < Key):オシレーターのレベルがノートのピッチで変化する量を決めます。 この機能の中心点はC3です。
30.9.10.7 エンベロープ表示
Attack (Envelope Attack Time):ノートが初期レベルからピークレベルに達するまでの時間を設定します。 オシレーターエンベロープでは、この部分の形状はリニアです。 フィルターエンベロープとピッチエンベロープでは、この部分の形状を調整することができです。
Decay (Envelope Decay Time):ノートがピークレベルからサステインレベルに達するまでの時間を設定します。 オシレーターエンベロープでは、この部分の形状はエクスポネンシャルです。 フィルターエンベロープとピッチエンベロープでは、この部分の形状を調整することができます。
Release (Envelope Release Time) — ノートオフメッセージを受信した後、ノートがエンドレベルに到達するまでの時間です。 オシレーター・エンベロープに対するこのレベルは常に-inf dBで、この部分の形状はエクスポネンシャルです。 フィルターおよびピッチ・エンベロープに対するエンド・レベルは、[エンドレベル]パラメーターにより決定され、この部分の形状が調整されます。 このエンベロープ部分は、ノートオフメッセージを受信した時のエンベロープ値で開始されます。どのエンベロープ部分で動作をしているかは関係ありません。
Initial (エンベロープイニシャルレベル):エンベロープの初期値を設定します。
Peak (Envelope Peak Level):ノートのアタック終了時のピークレベルです。
Sustain (Envelope Sustain Level):ノートのディケイ終了時のサステインレベルです。 Loop(ループ)、Sync(同期)、Beat(ビート)モードでなければ、エンベロープはノートリリースまでこのレベルをキープします。
End (エンベロープエンドレベル):(LFO、フィルター、ピッチエンベロープのみ)リリース部分終わりに到達するレベルです。
Loop (エンベロープループモード):これを[Loop]に設定すると、エンベロープはディケイ部分を過ぎた時に再びスタートします。 [Beat]や[Sync]に設定すると、設定したビートタイム後にスタートします。 [Sync]モードの場合、この動作はソングタイムにクオンタイズされます。 [Trigger]モードでは、エンベロープはノートオフを無視します。
Repeat (エンベロープビート/同期レート):この項目がオンである間、エンベロープはこのビートタイム経過後にリトリガーします。 リトリガーすると、設定したアタックレートで現在のレベルからピークレベルへ移動します。
Time (エンベロープループタイム):ディケイ/サステイン部分を過ぎてもノートがオンの場合、エンベロープは初期値から再びスタートします。 サステインレベルから初期値へ移行するのにかかる時間はこのパラメーターで設定します。
Time < Vel (エンベロープレート < ベロシティ):エンベロープの各部分はここで設定したノートベロシティでモジュレートされます。 エンベロープがループしている場合に特に便利です。 [Beat]や[Sync]モードの場合、ビートタイムには影響しませんがエンベロープ部分自体に作用します。
フィルターエンベロープとピッチエンベロープには、エンベロープの各部分のスロープを調整するパラメーターもあります。 正のスロープ値では、エンベロープは最初素早く、その後比較的ゆっくり移動します。 負のスロープ値では、エンベロープは比較的長くフラットな状態を継続し、最後に比較的早く移動します。 スロープの値がゼロだと直線状の動作になります。エンベロープは全体を通して同じ速さで動作します。
A.Slope (Attack Slope):エンベロープの[Attack]部分の形状を調整します。
D.Slope (Decay Slope):エンベロープの[Decay]部分の形状を調整します。
R.Slope (Release Slope):エンベロープの[Release]部分の形状を調整します。
30.9.10.8 Operatorのコンテキストメニュー・オプション
Operatorの操作とパラメーターには、コンテキストメニューからのみ使用できるものがあります。 その内容は以下のとおりです。
オシレーターのコピーコマンド:オシレーターのシェルのコンテキストメニューとエンベロープのディスプレイは、オシレーター間でパラメーターをコピーするオプションを備えています。
エンベロープのコマンド:すべてのエンベロープディスプレイのコンテキストメニューでは、エンベロープのレベルを最大、最小、中央値へすぐに設定できるオプションを備えています。
倍音エディターのコマンド:倍音エディターのコンテキストメニューでは、部分音の描画を偶数倍音または奇数倍音に限定し、オシレーターの出力レベルのノーマライズを切り替えることができます。 波形を.amsファイルとしてエクスポートするコマンドも使用できます。
キーで再生:このコマンドは、フィルターの[Freq]コントロールのコンテキストメニューから選択でき、カットオフを 466 Hz に、[Freq Key]を 100% に設定することで、キートラッキングに対してフィルターを最適化できます。
ノートごとのピッチベンドを有効にする:このオプションはデフォルトで有効になっているので、Operatorはノートごとのピッチベンドに反応します。 必要に応じて、デバイスタイトルバーのコンテキスト メニューでこのオプションを解除すると、この動作を無効にできます。
30.10 Sampler

Samplerは、Liveの鋭敏なオーディオエンジンの利点を駆使する、スマートながらも強力なマルチサンプリングインストゥルメントです。 数ギガバイトに及ぶインストゥルメント・ライブラリを簡単に扱い、よく使われるライブラリ形式の多くをインポートできます。 しかし、Samplerで再生することは始まりに過ぎません。内部のモジュレーションの仕組みにより、サウンドのほぼすべての要素を扱うことができ、Liveで音作りするテクニックの可能性がますます大きく広がります。
30.10.1 Samplerを起動する
Samplerを使用するのは、デバイスブラウザーからプリセットを選択するのと同じくらい簡単です。 他のすべてのLiveデバイス同様、Samplerのプリセットは、名称の下にリストされたフォルダーからロケートすることができます。 サードパーティー製のサンプルライブラリからインポートしたプリセットも、Imports フォルダー内にリストされます。
Samplerプリセットをトラックに読み込んだら、そのトラックをアームして録音可能(アームすると演奏したMIDIノートも聞こえます)にしたら、再生を開始します。
30.10.2 マルチサンプリング
先に進む前に、マルチサンプリング の概念について説明します。 この技術は、ダイナミックな音質変化を生み出すインストゥルメントの複雑性を正確に捉えるために使用されます。 1つの録音サンプルをただ単に移調するのはなく、マルチサンプリングすることで複数ポイントから楽器の重要な部分を取り込みます。 つまり、さまざまなピッチや強調のレベル(弱く演奏する、普通に演奏する、強く演奏する、など)における楽器の音を取り込むということです。 この工程で生じる マルチサンプル とは、それぞれ個別に録音したサンプルファイルをひとつにまとめたものです。
たとえば、アコースティックピアノは、通常マルチサンプル・インストゥルメントになっています。 ピアノのピッチとダイナミックレンジは非常に広く、音色が複雑であるため、1つのサンプルを複数のオクターブにトランスポーズすると、楽器のニュアンスを再現できません。 マルチサンプリングはさまざまなサウンドソースに依存するため、3つ以上のサンプルを各鍵に当て(ソフト、ミディアム、ラウド、超ラウドなど)、サンプラーの表現力を最大限に高めることができます。
Samplerは、ユーザーの好みに応じたマルチサンプリングが行えるよう設計されています。マルチサンプルプリセットをロード/再生したり、サードパーティー製の マルチサンプルをインポート できるだけでなく、ゼロから自分でマルチサンプルを作成できます。 また、必ずしもマルチサンプルを使用する必要はありません。 単一のサンプルをSamplerにドロップし、Samplerのモジュレーションシステムを好みの方法で利用することもできます。
30.10.3 タイトルバーのオプション

Samplerのモジュレーション機能について触れる前に、Samplerタイトルバーのコンテキストメニューを見てみましょう。
カット、コピー、名称変更、インフォテキストの編集、削除はすでに馴染みがあると思いますが、他のオプションには少し説明が必要です。
[グループ]:これを選択すると新規Instrument Rack内にSamplerがロードされます。
[格納]:Samplerが格納された表示となり、デバイスタイトルバーだけが表示されます。 デバイスタイトルバーをダブルクリックするだけですぐに展開します。
[プリセット名を表示] — デフォルトでは、Samplerはサンプルレイヤーの一番上のサンプルをタイトルとしてリストします。 [プリセット名を表示]をチェックをオフにすると、表示されるタイトルが「Sampler」になります。
[コントロールサーフェスにロック]:Samplerを、環境設定[Link, Tempo & MIDI]で指定したネイティブ対応のコントロールサーフェスにロックして、現在Liveセット内のどこがフォーカスされているかに関わらず、ハンズオンでデバイスにアクセスできるようにします。 デフォルトでは、トラックの録音アームをオンにすると、Samplerがコントロールサーフェスへ自動的にロックされます。 ロックされたデバイスのタイトルバーには、手の形をしたアイコンが表示され、ロックされた状態を示します。
[デフォルトプリセットとして保存]:Samplerの現在の状態をデフォルトプリセットとして保存します。
[ループに定出力フェードを使用]:デフォルトでは、Samplerはループの継ぎ目に定出力のフェードを使用します。 チェックを外すと、ルーピングポイントのリニアクロスフェードがオンになります。
[Sampler -> Simpler]:Samplerのプリセットを Simpler のプリセットに変換します。 これにより、Samplerが含まれるLiveのエディションを使用していなくても、他のミュージシャンとセットを簡単に共有できます。
30.10.4 Samplerのタブ

Samplerの機能は、カテゴリ別にタブ [Zone][Sample][Pitch/Osc][Filter/Global][Modulation][MIDI]に分類されていて、Samplerのタイトルバーからアクセスできます。 [Zone]以外のタブをクリックすると、その下にプロパティが表示されます。 また、各タブには、その内部にモジュレーション情報があるかどうかを示す1つ以上のLEDも備えています。 それでは、Samplerへの理解を深めるためにも、各タブを詳しく見ていきましょう。
30.10.5 Zoneタブ

[Zone]タブをクリックすると、Samplerのゾーンエディター表示に切り替わります。 ゾーンエディターにはハンズオン・インターフェースがあり、キー、ベロシティ、サンプルセレクトエディターの3種類の範囲にサンプルをマッピングできます。

ゾーン・エディターは、デバイスビューの上部に専用のビューを開きます。 このレイアウトで、Samplerの他のタブと合わせて使用すると、マルチサンプルの作成と編集が簡単に行えます。
ゾーン・エディターの左側には、サンプルレイヤーリストがあり、マルチサンプルが並んでいます。 マルチサンプルに含まれる個々のサンプルは、すべてリスト内に表示されます。 リストでは、サンプルが レイヤー として表示されます。 複雑なマルチサンプルの場合、このリストはかなり長くなることもあります。
サンプルレイヤーリストの上部には、サンプルレイヤーの設定や他のエディターと切り替えるボタンがあります。
[オートセレクト]:MIDIノートがSamplerへ入力されると、各サンプルレイヤーのキー、ベロシティ、サンプルセレクトゾーンでフィルタリングします。 オートセレクトを選択すると、入力されたノートを再生できるすべてのサンプルレイヤーが、ノートの長さ分だけサンプルレイヤーリスト内に選択されます。
[Lin][Pow](ゾーンフェードモード):このボタンでは、すべてのゾーンのフェードモードのスロープをリニアかエクスポネンシャルに切り替えます。
[RR](ラウンドロビン):このボタンで ラウンドロビンでサンプル再生 のオン/オフを切り替えます。
[ソーンエディター表示](Key/Vel/Sel):これらのボタンで、キーゾーン、ベロシティゾーン、サンプルセレクトゾーンの表示を切り替えます。
ビューの残りの部分には、サンプルレイヤーに対応する3つのエディター(キーゾーン・エディター、ベロシティゾーン・エディター、サンプルセレクト・エディター) のいずれかが表示されます。 このエディターは水平方向にズームできます。右クリックしてコンテキストメニューを開いたら、サイズを[スモール][ミディアム][ラージ]から選択します。
30.10.5.1 ラウンドロビンでサンプル再生

ラウンドロビンとは、ノートを再生するたびに異なるサンプルをトリガーする再生方法です。 これにより、指定した順序でサンプルのセットを切り替えることができます。
たとえば、ラウンドロビンを使用すると、同じサウンドのサンプルや、異なるアーティキュレーションを持つノートのサンプルを切り替え、ドラムやノートが繰り返すパターンに微妙なニュアンスを加えられます。 また、まったく異なるサウンドのサンプルと組み合わせて使用することで、パターン全体に予期しないリズムや音色の変化を生み出すこともできます。
ラウンドロビンを使用するには、ゾーン・エディター内の[RR]スイッチをオンにします。

オンにすると、キーゾーンの範囲内のノートを再生したときに、同じ キーゾーン を共有する サンプルレイヤーリスト 内のいずれかのサンプルをトリガーします。
[ラウンドロビン・モード]セレクター内のオプションを選択すると、サンプルのトリガー方法を設定できます。
[Forward]:サンプルレイヤーリストの上から下に向かって、サンプルを順番に切り替えて再生します。 最後のサンプルを再生すると、ふたたび一番上のサンプルから再生します。
[Backward]:サンプルレイヤーリストの下から上に向かって、サンプルを順番に切り替えて再生します。 一番上のサンプルを再生すると、このサイクルが繰り返されます。
[Other]:サンプルをランダムに切り替えて再生します。同じサンプルを2回連続してトリガーすることはありません。
[Random]:サンプルをランダムに切り替えますが、同じサンプルを連続してトリガーすることがあります。

[Reset](ラウンドロビン・リセット間隔)セレクターでは、このサイクルをリセットする間隔を指定します。 この機能は、サンプルのトリガーを予測可能で一貫性を持たせたい場合に役立ちます。 たとえば、ラウンドロビン・モードを[Forward]に設定して、リセット間隔を 1 小節にした場合、各小節の最初のノートで一番上にあるサンプルがトリガーされます。 [Backward]モードでは、このサイクルが一番下のサンプルから再開します。 [Other]や[Random]モードでは、このサイクルが最初に再生したサンプルから再開します。

30.10.5.2 サンプルレイヤーリスト

ロードしたマルチサンプルに含まれているすべてのサンプルは、ここに一覧表示されます。 各サンプルは専用のレイヤーを備えています。 非常に大きいマルチサンプルの場合、この一覧のレイヤー数は数百に上ることもあります。 幸いなことに、レイヤーにはその内容を説明する名前(各レイヤーのルートキーなど)を付けられます。 リスト内のレイヤーやゾーン・エディター内のゾーンの上にマウスを置くと、該当するサンプルに関する情報がステータスバー(画面の一番下)に表示されます。 いずれかのレイヤーを選択すると、そのサンプルがサンプルタブ内にロードされます。
サンプルレイヤー内を右クリックするとコンテキストメニューが開き、レイヤーの整理や表示、鍵盤上にわたるレイヤーの配置、サンプル管理などに関するオプションが表示されます。
[削除]:選択中のサンプルを削除します。
[複製]:選択中のサンプルを複製します。
[名称変更]:選択中のサンプルの名前を変更します。
[レンジを均一に割り当てる]:エディターのMIDIノートレンジ(C-2からG8)にわたってサンプルを均一に割り当てます。
[ルートキー周辺に範囲を分割]:異なるキーを持つレイヤーの場合、このオプションを選択すると、ルートキーに近い範囲でできるだけ重なり合わないように、範囲を均等に割り振ります。 同じルートキーのレイヤーに対しては、範囲が均等に分割されます。
[スモール/ミディアム/ラージ]:ゾーン・エディターのズームレベルを調整します。
[ブラウザーに表示]:ブラウザーが選択したサンプルに移動し、そのサンプルを選択します。
[サンプルを管理]:ファイルマネージャーが開き、そのサンプルを選択します。
[ボリュームをノーマライズ]:選択した各サンプルのピークレベルがヘッドルームの最大値になるように、Samplerのボリュームコントロールを調整します。
[パンをノーマライズ]:Samplerの[Pan]コントロールを調整して、選択した各サンプルがステレオスペクトル全体で均一の音量になるようにします。 なお、これは必ずしもパンしたステレオサンプルがセンターポジションに戻るわけではありません。 均一なステレオの広がりになるよう、Liveがパンの位置をインテリジェントに計算します。
[同一範囲ですべてを選択]:現在選択しているレイヤーと同じゾーン範囲を持つレイヤーすべてを選択します。 どのゾーン・エディター(キー、ベロシティ、サンプルセレクト)がアクティブになっているかよって結果が異なります。
[アルファベット順で並べ替え(昇順/降順)] — サンプルを名前に従ってアルファベット順に並べ替えます。
[キーで並び替え(昇順/降順)]:キーゾーンを昇順または降順で並び替えます。
[ベロシティで並び替え(昇順/降順)]:ベロシティゾーンを昇順または降順で並び替えます。
[セレクタで並び替え(昇順/降順)]:サンプルセレクトゾーンを昇順または降順で並び替えます。
30.10.5.3 キーゾーン

キーゾーンでは、各サンプルを再生するMIDIノートの範囲を指定します。 入力したMIDIノートがこのキーゾーンの範囲内である場合のみ、サンプルがトリガーされます。 各サンプルにはそれぞれキーゾーンを設定可能で、キーは 1 から 127 まで設定できます。
一般的なマルチサンプルの楽器には、数多くの個別サンプルをさまざまなキーゾーンに分散して収録されています。 サンプルは、楽器のボイス範囲内の特定のキー(サンプルのルートキー)でキャプチャーしていますが、数セミトーン上下に移調しても正確なサウンドを保つことができます。 この範囲は、通常サンプルのキーゾーンに対応しています。このゾーンの外にある範囲では、必要に応じて追加のサンプルで表されます。
デフォルトでは、新たにインポートされたサンプルのキーゾーンは、MIDIノート範囲全体をカバーします。 ゾーンは、アレンジメントビューのクリップ同様、左右の端をドラッグしてサイズを変更し、ゾーンをドラッグして位置を移動できます。
ゾーンの左右上端をドラッグすると、複数のセミトーンにわたってゾーンの両端をフェードできます。 これにより、鍵盤の長さを横断して、隣接するサンプル間をスムーズにクロスフェードさせることが簡単にできます。 サンプルレイヤーリスト上の[Lin]と[Pow]のトグルには、ゾーンをリニアとエクスポネンシャルのどちらでフェードするか表示されます。
30.10.5.4 ベロシティゾーン

ベロシティゾーンは、サンプルが反応するMIDIノートオンベロシティの範囲(1-127)を定義します。 多くの楽器の音質は、演奏の強さにより大きく変化します。 そのため、最高品質のマルチサンプルでは、単に個々のノートをキャプチャーするだけでなく、各ノートを異なるベロシティでキャプチャーしています。
ベロシティゾーン・エディターに切り替えると、サンプルレイヤーリストの横に表示されます。 ベロシティは 1 から127 のスケールで測定され、エディター上部にこの数値の範囲が表示されます。 それ以外のベロシティゾーン・エディターの機能は、キーゾーン・エディターの機能と同じです。
30.10.5.5 サンプルセレクトゾーン

それぞれのサンプルはサンプルセレクトゾーンを備えています。これは、特定の種類のMIDI入力には関連付けられていないデータ・フィルターです。 サンプルセレクトゾーンは、ラック内にある チェーンセレクトゾーン とよく似ています。サンプルセレクターの現在値と重なるサンプルセレクト値を持ったサンプルのみがトリガーされます。
サンプルセレクトエディターに切り替えると、サンプルレイヤーリストの横に表示されます。 エディターには、ベロシティゾーン・エディターに似た 0-127 のスケールが付けられています。 値目盛りの上には、ドラッグ可能な[サンプルセレクター]があります。

サンプルセレクターの位置は、どのサンプルがトリガー可能か設定します。 サンプルをトリガーすると、サンプルセレクターの位置を変更しても、再生中に別のサンプルへ切り替わりません。
30.10.6 Sampleタブ

個別のサンプルを再生する時の挙動は、[Sample]タブの内部で設定します。 このタブ内の大部分には、現在選択しているサンプルの波形が表示されます。 ディスプレイの波形上にマウスを置くと、サンプルに関する情報がステータスバー(画面下)に表示されます。 なお、このタブ内の値の多くは、現在選択中のサンプルの状態のみを反映しています。 サンプルセレクターには、現在のサンプルレイヤー名を常時表示していて、セレクターを使用して編集中にレイヤーを切り替えることもできます。
現在のサンプル内をズームするには、 Ctrl (Win) / Cmd (Mac) キーを押しながら、マウスホイールやトラックパッドでスクロールします。
[Reverse]:マルチサンプル全体を逆方向に再生する、モジュレート可能なグローバルコントロールです。 クリップビューの[Reverse]機能とは異なり、新規サンプルファイルを作成しません。 その代わりに、サンプルの再生はサンプル終了位置から始まり、(ループがアクティブである場合は)サステインループを経て、サンプルの開始位置で終わります。
[Snap]:開始位置と終了位置を波形のゼロ交差位置(振幅がゼロの位置)に吸着させ、クリック音を防ぎます。 [Snap]を矩形波のサンプルに使用すると、簡単にこの効果を確認できます。 Simpler同様、この吸着はステレオサンプルの左チャンネルに基づいて行われるため、クリック音を完全に消去するには小さな値で[Crossfade]をかける必要がある場合もあります。 ループブレースを右クリックして[マーカーをスナップ]を選択すると、ループリージョンを個別に吸着させることができます。
[Sample]:現在のサンプルレイヤー名を表示します。 ロードしたマルチサンプルで、他のサンプルレイヤーを簡単に選択することもできます。
[Root] (ルートキー):現在のサンプルのルートキーを指定します。
[Detune]:サンプルのチューニングを +/- 50 セント単位で調整できます。
[Vol](ボリューム):完全な無音から +24 dBのゲインにわたる、広範なボリュームコントロールです。
[Pan]:ステレオパノラマ内の任意の位置に、サンプルを個別にパンできます。
30.10.6.1 サンプル再生
以下のサンプルに対するパラメーターはすべて、([Filter/Globals]タブ内の)グローバルボリュームエンベロープとともに動作し、Samplerの基本的なボイシングを形成します。 これらのエンベロープは、標準のADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)パラメーターなどを使用します。
[Attack](エンベロープアタックタイム):エンベロープがイニシャルレベルからピークレベルに達する時間を設定します。 アタックの形状は、[A Slope](アタックスロープ) パラメーターで調整します。
[Decay](エンベロープディケイタイム):エンベロープがピークレベルからサステインレベルに達する時間を設定します。 ディケイの形状は、[D Slope](ディケイスロープ) パラメーターで調整します。
[Sustain](エンベロープサステインレベル):エンベロープディケイ段の終わりのサステインレベルです。 [Loop][Sync][Beat]モードを除き、エンベロープはノートリリースまでこのレベルをキープします。
[Release](エンベロープリリースタイム):ノートオフメッセージを受信した後、エンベロープがエンド・レベルに到達するまでかかる時間です。 エンベロープのこの段階の形状は、 [R. Slope](リリーススロープ)で設定します。
[Initial](エンベロープイニシャルレベル):エンベロープの初期値を設定します。
[Peak](エンベロープピークレベル):エンベロープアタック段の末尾、ディケイ段の先頭のピークレベルです。
[End](エンベロープエンドレベル):リリース段の終わりに到達するレベルです(LFO、フィルター、ピッチエンベロープのみ)。
[Time < Vel] (エンベロープレート < ベロシティ):ここで設定したノートベロシティで、エンベロープの各部分をモジュレーションします。 この機能はエンベロープがループしている場合に特に便利です。 なお、[Beat]や[Sync]モードの場合、ビートタイムには影響しませんがエンベロープ部分自体に作用します。
[Loop] (エンベロープループモード):[Loop]に設定した場合、エンベロープはディケイ段を過ぎると再スタートします。 [Beat]や[Sync]に設定すると、設定したビートタイム後にスタートします。 [Sync]モードでは、この動作はソングタイムにクオンタイズされます。 [Trigger]モードでは、エンベロープがノートオフを無視します。
[Repeat] (エンベロープ・ビート/同期レート):ノートが続いている間は、このビートタイム経過後にエンベロープをリトリガーします。 リトリガーすると、設定したアタックレートで現在のレベルからピークレベルへ移動します。
[Time] (エンベロープループタイム):ディケイ/サステイン部分を過ぎてもノートが続いている場合、エンベロープは初期値から再スタートします。 サステインレベルから初期値へ移行するのにかかる時間は、このパラメーターで指定します。
先に説明した通り、Samplerのフィルターエンベロープとピッチエンベロープには、エンベロープの各部分のスロープを調整するパラメーターもあります。 正のスロープ値では、エンベロープは最初は早く、その後比較的ゆっくりと移動します。 負のスロープ値では、エンベロープは比較的長くフラットな状態を継続し、最後に比較的早く移動します。 スロープの値がゼロだと直線状の動作になります。エンベロープは全体を通して同じ速さで動作します。
このタブ内に表示される時間に関係する値はすべて、サンプル単位か 分:秒:ミリ秒単位で表示されます。パラメーターボックス上を右クリックするとコンテキストメニューから切り替えられます。 なお、ここでの「サンプル」とは、デジタルオーディオにおいて測定可能な最小単位のことであり、通常「サンプル」と呼んでいるファイルそのものとは異なります。
[Sample Start]:再生を開始するタイムの値です。 ボリュームエンベロープの[Attack]を高めの値に設定している(アタックがゆっくりな)場合、サンプルスタートで選択した値よりも少し遅れて再生が開始するように聴こえます。
[Sample End]:再生を停止するタイムの値です(ループがオンになっていない場合)。ボリュームエンベロープの動作が終わっていなくても停止します。
[Sustain Mode]:オプションの[Sustain]ループでは、ノートがエンベロープのサステイン段にある間、再生を繰り返す範囲を指定します。 サステインループをオンにすると、リリースループもオンになります。 また、上記の動作を行うと、次の再生オプションを選択できるようになります。
サステインループなし:再生は、[Sample End]に到達するまでか、ボリュームエンベロープがリリース段を終了するまで、リニアに続きます。
サステインループ有効:再生は、[Loop End]に到達するまでリニアに続いた後、[Loop Start]へとジャンプしてループを続けます。 [Release Mode]が[OFF]の場合、ボリュームエンベロープのリリースが終了するまで、[Sustain Loop]内でループを繰り返します。
往復サステインループ有効:[Loop End]まで再生した後、[Loop Start]へ到達するまで逆方向に再生し、その後もう一度[Loop End]まで再生します。 [Release Mode]が[OFF]の場合、ボリュームエンベロープのリリースが完了するまで、このパターンを繰り返します。
[Link]:[Link]スイッチをオンにすると、[Sample Start]と[Loop Start]が同じ設定になります。 なお、[Sample Start]パラメーターは元の設定値が変更されるわけではなく、無効になるだけなので、1クリックでまた元の位置に戻すことができます。
[Loop Start]:[Sustain Loop]が開始する位置で、サンプル数単位で測定されます。
[Loop End]:[Sustain Loop]が終了する位置で、サンプル数単位で測定されます。
[Release Mode]:[Sustain Loop]がオンの場合、[Release Mode]もオンになります。
:このボリュームエンベロープのリリース段は有効ですが、[Sustain Loop]の中で発生しても、[Loop End]を越えて再生することはありません。
(リリース有効):ボリュームエンベロープがリリース段に到達すると、[Sample End]までリニアに再生します。
(リリースループ有効):ボリュームエンベロープがリリース段に到達すると、[Sample End]までリニアに再生し、その後[Release Loop]へとジャンプし、ボリュームエンベロープのリリースが完了するまでループ再生を続けます。
(往復リリースループ有効):ボリュームエンベロープがリリース段に到達すると、[Sample End]までリニアに再生し、その後、[Release Loop]に到達するまで逆再生してから、もう一度[Sample End]に向かって再生します。 ボリュームエンベロープのリリースが完了するまで、このパターンが繰り返されます。
[Release Loop]:リリースループのスタート位置を設定します。 [Release Loop]の終了位置が[Sample End]になります。
[Crossfade] (サステインループとリリースループのクロスフェード):ループをクロスフェードさせると、ループのつなぎ目部分に発生するクリック音を取り除くことができます。 デフォルトでは、Samplerはループ境界に定出力のフェードを使用します。 しかし、コンテキストメニューで[ループに定出力フェードを使用]をオフにすると、リニアクロスフェードを有効にできます。
[Detune] (サステインループとリリースループのデチューン):そもそもループは発振と同じなので、サンプルのピッチは、ループの継続時間に相対してループ内で変動します。 ヒント:これは非常に短いループで特に顕著です。 [Detune]を使えば、これらのリージョンのピッチを他のサンプルと一致させることができます。
[Interpol](補間):移調したサンプルの精度を決めるグローバル設定です。 クオリティレベルを[Normal]から[Good]や[Best]に設定すると、CPUに著しく負荷をかけるのでご注意ください。
[RAM](RAMモード):マルチサンプル全体をRAMにロードするグローバルコントロールです。 このモードは、開始と終了の位置をモジュレートする場合にパフォーマンスが向上しますが、サイズの大きなマルチサンプルをRAMにロードすると、他のタスクに対するRAMが不足します。 パフォーマンスに大きく影響しますので、可能な限り容量の大きいRAMをコンピューターに搭載することをお勧めします。
波形の上にマウスを置いて右クリックすると、コンテキストメニューが開き、編集と表示のオプションが表示されます。 サンプルレイヤーリストのコンテキストメニューと同様、[ブラウザーに表示][サンプルを管理][ボリュームをノーマライズ][パンをノーマライズ]を選択できます。 また、選択中のサステインモードやループモードに応じて、リージョンの再生とループを拡大縮小することもできます。
[Sample]タブの右端には、まだいくつかのオプションが残っています。
[垂直ズーム](スライダー):サンプルディスプレイ内の波形の高さを拡大します。 見やすくする目的で行われるため、オーディオへの影響はありません。
[B][M][L][R]の各ボタン:表示したいサンプルのチャンネルを選択します。上から順に、両方、モノ、左、右を表しています。
30.10.7 Pitch/Oscタブ

30.10.7.1 モジュレーションオシレーター(Osc)
Samplerには、1ボイスごとに1つのモジュレーションオシレーターを備えており、マルチサンプルを周波数と振幅でモジュレート(FMまたはAM変調)できます。 このオシレーターは十分な機能を備えており、21 種類の波形([Type]セレクターから選択可能)に加え、ダイナミックなウエイブシェイピングができるループ可能なアンプ・エンベロープを備えています。 このオシレーターはモジュレーションのみを行います。 オシレーターの出力を直接聞くことはできません。 聞くことができるのは、オシレーター出力がマルチサンプルに作用した結果生じる音です。
[FM]:このモードでは、モジュレーションオシレーターはサンプルの周波数をモジュレートし、より複雑で変わったサウンドの波形となります。
[AM]:このモードでは、モジュレーションオシレーターはサンプルの振幅をモジュレートします。 モジュレーター周波数が可聴周波数以下の場合、ボリュームレベルがゆっくりまたは急激にばらつきます。
モジュレーションオシレーターをコントロールするパラメーターは、[Initial][Peak][Sustain][End][Loop][Attack][Time < Vel]です。 この動作の詳細は、「サンプル再生」 の章をご覧ください。 さらに、モジュレーションオシレーターセクションの右側には、次のコントロールがあります。
[Type]:モジュレーションオシレーターの波形をここで選択します。
*[Volume]*モジュレーションオシレーターがサンプルをモジュレーションする強度を設定します。
[Vol < Vel]:入力したMIDIノートのベロシティで、モジュレーションオシレーターの[Volume]パラメーターを変更します。 これでモジュレーションの幅を設定します。
[Fixed]:オンにすると、モジュレーションオシレーターの周波数が[Freq]と[Multi]パラメーターで指定されるレートに固定されます。入力したMIDIノートに応じた変化はしません。
[Freq]:[Fixed]を[On]にすると、このレートを[Multi]パラメーターで乗算して、モジュレーションオシレーターの固定周波数を決定します。
[Multi]:[Fixed]を[On]にすると、[Freq]パラメーターをこのパラメーターで乗算して、モジュレーションオシレーターの固定周波数を決定します。
[Coarse]:モジュレーションオシレーターの周波数を粗調整します(0.125-48)。 このオプションは、[Fixed]が[Off]の場合にのみ選択できます。
[Fine]:モジュレーションオシレーターの周波数を微調整します(0-1000)。 このオプションは、[Fixed]が[Off]の場合にのみ選択できます。
30.10.7.2 ピッチエンベロープ
ピッチエンベロープをオンにすると、サンプルやモジュレーションオシレーターのピッチを時間経過に沿ってモジュレートします。 このエンベロープは、ADSR、Initial、Peak、Endの各レベルを持つマルチステージエンベロープで、「サンプル再生」 のセクションで説明したものと同じです。 エンベロープ・パラメーターの値は、スライダーを使うか、エンベロープディスプレイのブレークポイントをドラッグして調整できます。
ピッチエンベロープセクションの左下には、[Amount]スライダーがあります。 ピッチエンベロープの効果の限界値をセミトーン単位で設定します。 実際の効果の幅は、エンベロープ自体のダイナミクスにより異なります。
このセクションの右側には5つのスライダーと1つのセレクターがあります。 ピッチエンベロープとは無関係ですが、Samplerの出力にグローバルに影響します。
[Spread]:Spreadを使用すると、ノートごとに2つのデチューンされたボイスが生成されます。 これにより、処理に必要なCPUも2倍になります。
[Transp] (トランスポーズ):セミトーン単位で表示される、グローバルトランスポーズアマウントです。
[Detune]:セント単位で表示される、グローバルデチューンアマウントです。
[Zn Shft] (キーゾーンシフト):MIDIノートをキーゾーンエディター内でのみトランスポーズし、異なるサンプルを選択して再生します(サンプルは再生ピッチに従います)。 マルチサンプルからおもしろい効果を生み出すのに適しています。
[Glide]:ピッチ間の移行をスムーズにするのに、[Time]パラメーターとともに使用するグローバルグライドモードです。 [Glide]は一般的なモノフォニックのグライドで、[Portamento]はポリフォニックのグライドです。
[Time]:グライドモードをオンにすると、再生されたノートのピッチ間の移行がスムーズになります。 このパラメーターで移行する長さを指定します。
30.10.8 Filter/Global タブ

30.10.8.1 フィルター
Samplerは、ウェーブシェーパーを内蔵したポリフォニックフィルターを備えています。 フィルターセクションは、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、および特殊なMorphフィルターのさまざまなフィルタータイプを提供します。 各フィルターのスロープは12dBと24dBを切り替え可能で、有名アナログシンセに見られるハードウェアフィルターをエミュレートする、Cytomicと共同開発したアナログモデリング回路の動作にも切り替えられます。
[Clean]回路のオプションは高品位でCPU効率に優れた設計で、EQ Eight と同じフィルターを使用しています。 このオプションはすべてのフィルタータイプで使用できます。
[OSR]回路オプションは、ユニークなハードクリッピングダイオードによるレゾナンス制御の状態可変タイプです。 イギリスの珍しいモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしており、すべてのフィルタ-タイプで使用できます。
[MS2]回路オプションは、サレンキー型のフィルターで、ソフトクリッピング回路を使ってレゾナンスを制御しています。 日本の有名なセミモジュラーモノシンセに使用されているフィルターをモデルにしており、ローパスとハイパスのフィルターが用意されています。
[SMP]回路はカスタムデザインで、特定のハードウェアには基づいていません。 MS2回路とPRD回路の両方の特徴を持ち、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[PRD]回路は、ラダー型の設計を使用しており、明確なレゾナンス制御はしていません。 米国の有名デュアルオシレーターモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしており、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
フィルターで最も重要なパラメーターは、[Frequency]と[Resonance]の2つです。 [Frequency]で倍音のスペクトル内のどこにフィルターをかけるか設定し、[Resonance]はその周波数付近の帯域を強調します。
ローパス、ハイパス、バンドパスフィルターを[Clean]以外の回路タイプで使用すると、[Drive]コントロールが追加され、信号がフィルターに入力される前段でゲインやディストーションを加えられます。
[Morph]フィルターには追加の[Morph]コントロールを備え、フィルタータイプをローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、そして再びローパスへとスムーズに変えられます。
[Morph]スライダーのコンテキストメニューのオプションでは、ローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチの設定を簡単に切り替えられます。
右のフィルターのカットオフ周波数は、専用のフィルターエンベロープでモジュレートできます。 フィルターエンベロープは[Pitch/Osc]タブのエンベロープと同様に機能し、[Initial][Peak][Sustain][End]の各レベル、ADSR、[Loop]モード、スロープポイントがあります。 このエリアは、[F. Env]ボタンでオン/オフを切り替えることができます。 [Amount]スライダーでは、フィルターエンベロープがフィルターカットオフ周波数に与える影響の度合いを設定します。 エンベロープを動作させるには、ゼロ以外の値を設定する必要があります。
フィルターの下はウェーブシェイパーで、[Shaper]ボタンをクリックして切り替えます。 ウェーブシェイパーには、[Type]セレクターから[Soft][Hard][Sine][4bit]の4つの異なるカーブを選択できます。 シェイパーの全体的な強度は、[Amount]スライダーを使ってコントロールできます。 また、ウェーブシェイパー上のボタンを使って、信号フローの方向を調整することができます。 三角形が上を向いている場合、信号はシェイパーからフィルターに向かっています。
30.10.8.2 ボリュームエンベロープとグローバルコントロール
ボリュームエンベロープはデバイス全体にわたり、Samplerのサウンドの発音を標準的なADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)パラメーターで設定します。 これらのパラメーターの詳細は、「サンプル再生」 の章を参照してください。
このエンベロープは、[Loop]セレクターでループさせることもできます。 [Loop]モードを選択した場合、[Time]と[Repeat]のスライダーが重要になります。 [Loop]と[Trigger]モードでは、[Decay]段の終了後もノートが押されている場合、エンベロープが初期値から再スタートします。 [Sustain]レベルから初期値へ移行するのにかかる時間は、[Time]パラメーターで指定します。 [Beat]と[Sync]モードでは、[Repeat]スライダーで設定したアマウント値の終了後もノートが押されている場合、エンベロープが初期値から再スタートします。
[Pan]スライダーはデバイス全体の(すべてのサンプルに作用する)パンコントロールで、[Pan < Rnd]はグローバルパン位置にランダムさを加えます。 [Time](グローバルタイムエンベロープ)は、Sampler内のすべてのエンベロープの長さを比例的に伸張させます。 [Time < Key](グローバルエンベロープタイム < キー)では、Sampler内のすべてのエンベロープの長さを、受信したMIDIノートのピッチに比例して伸張させます。
[Voice]セレクターは、Samplerの各インスタンスに対して、同時に最大 32 のボイス数を提供します。 [Voices]セレクターの右隣にあるリトリガーボタン[R]をオンにすることで、ボイスのリトリガーを状況に応じ有効に切り替えることができます。 オンの場合、すでに再生中のノートはリトリガーされ、追加ボイスを生成しません。 [Retrigger]をオンにするとCPUパワーを節約できます。 特に、リリースタイムの長いノートを連打する場合に便利です。
30.10.9 Modulation タブ

[Modulation]タブでは、ループ可能な追加エンベロープに加え、複数のパラメーターのモジュレートが可能な3つのLFOを使用できます。 各LFOは、セットのテンポに同期したり、Liveセットのテンポと関係なく使用することもできます。 LFOの2と3は、ステレオ変調の効果を生成することもできます。
30.10.9.1 AUXエンベロープ
左のAUXエンベロープは、[Pitch/Osc]タブのエンベロープと同様に機能し、[Initial][Peak][Sustain][End]の各レベル、ADSR、[Loop]モード、スロープポイントがあります。 このエンベロープは、AとBの両方のセレクターで 29 の送信先にルーティングできます。 AUXエンベロープが対象AとBをモジュレートする度合いは、右の2つのスライダーで設定します。
30.10.9.2 LFO 1、2、3
[Modulation]タブの残りのスペースには、3つのLFO(Low Frequency Oscillator、低周波発振器)があります。 名前からも分かる通り、SamplerのLFOは低周波(30Hz未満)をパラメーターに適用しモジュレートすることで機能します。 オンにするには、それぞれ[LFO 1][LFO 2][LFO 3]スイッチを押します。
[Type]:SamplerのLFOでは、 6 つの異なる波形(サイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波(下降)、ノコギリ波(上昇)、サンプル&ホールド)から選択できます。
[Rate]:[Hz]を選択すると、LFOのスピードを右の[Freq]スライダーで設定します。 音符マークを選択すると、LFOはビートタイムに同期し、右の[Beats]スライダーで調整できます。
[Freq]:LFOのレートをヘルツ単位で設定します。 0.01 から 30 Hzの範囲で調整できます。
[Beats]:このオプションでLFOのレートをビートタイム単位で設定します(64分音符から 8 小節まで)。
[Attack] (LFOアタック):LFOが最大強度に達するまでにかかる時間です。 ノートを押さえながら徐々にビブラートを加える場合などに使用します。
[Retrig] (LFOリトリガー):LFOのリトリガーをオンにすると、MIDIノートを受信するたびにLFOをスタート位置にリセットします。 この動作は、LFOが動作周期の途中でリトリガーした場合、ハイブリッドなLFO波形を生成します。
[Offset] (LFOオフセット):LFOのスタート位置を変化させ、サイクル内の別の位置から開始するようにします。 この動作は、LFOが動作周期の途中でリトリガーした場合、ハイブリッドなLFO波形を生成します。
[Key](LFOレート キー):キーボードトラッキングとも呼ばれる機能です。 ゼロ以外の値を設定すると、入力されたMIDIノートのピッチに相対してLFOのレートが上がります。
[LFO 1]には、グローバルパラメーターを簡単にモジュレートする4つのスライダーがあります。
[Vol] (ボリューム):[LFO 1]で全体の音量をモジュレートします。 このスライダーは、モジュレーションの幅を 0-100 の範囲で設定します。
[Pan]:[LFO 1]で全体のパンをモジュレートします。 このスライダーは、モジュレーションの幅を 0-100 の範囲で設定します。
[Filter]:[LFO 1]でフィルターカットオフ周波数([Filter/Global]タブの[Freq])をモジュレートします。 このスライダーは、モジュレーションの幅を 0-24 の範囲で設定します。
[Pitch]:[LFO 1]でサンプルのピッチをモジュレートします。 このスライダーは、モジュレーションの幅を 0-100 の範囲で設定します。
[Stereo](LFOステレオモード):[LFO 2]と[LFO 3]では、Phase(フェーズ) とSpin(スピン) の2種類のステレオモジュレーションが可能です。 フェーズモードでは、右と左のLFOチャンネルが均一なスピードで動作し、[Phase]パラメーターは、左チャンネルから右チャンネルをオフセットするのに使用します。 スピンモードでは、[Spin]パラメーターで、右のLFOチャンネルを左チャンネルにより最大 50% まで速く動作できます。
AUXエンベロープ同様、LFO 2と3にはAとBのセレクターがあり、LFOをさまざまな対象先にルーティングできます。
30.10.10 MIDIタブ

[MIDI]タブのパラメーターは、Samplerをダイナミック・パフォーマンス・インストゥルメントへと変化させます。 MIDIコントローラーのキー、ベロシティ、アフタータッチ、モジュレーション・ホイール、フットコントローラー とピッチベンド は、それぞれ2つの対象先へマッピングすることが可能です。その影響の度合いは、[Amount A]と[Amount B]のスライダーで別々に設定できます。
たとえば、[Velocity]の対象Aが[Loop Length]でアマウント Aが 100 の場合、ベロシティが高いとループ長さが長くなり、ベロシティが低いと短くなります。
一番下には、[Pitch Bend Range]スライダー(0 から 24 ステップ)があります。 ピッチホイール値の 14 ビット範囲がスケールされ、Sampler内で 24 セミトーンのピッチベンドが可能です。
右のSampler画像をクリックすると、Samplerのクレジットが表示されます。 この方々のおかげで、素晴らしいインストゥルメントが生まれました。
30.10.11 サードパーティー製マルチサンプルをインポートする
Samplerでは、次のサードパーティーの サンプル形式 を使用できます。
- REXファイル(Live Standard と Suite のみ対応)
- ACID Loops
- Soundtrack Loops
なお、LiveからACID LoopsとSoundtrack Loopsのタグにはアクセスできません。
サードパーティー製のマルチサンプルをインポートするには、Liveのブラウザーでファイルを選択し、Liveセットにドラッグします。 これでユーザーライブラリにインポートされます。
インポートすると、新規Samplerプリセットが作成されます。 プリセットは、ブラウザーの User Library/Sampler/Imported にあります。
マルチサンプルファイルによっては、オリジナルをより正確にエミュレートするため、複数のSamplerインスタンスを含む Instrument Rack のプリセットに変換されることもあります。
30.11 Simpler

Simplerは、サンプラーの基本要素と標準的なシンセサイザーのパラメーターを統合したインストゥルメントです。 Simplerのボイスは、ユーザー定義可能なサンプルのリージョンを再生して、エンベロープ、フィルター、LFO、ボリューム、ピッチの順で処理されます。 ただし、従来のサンプラーと異なり、SimplerにはLiveのクリップから受け継がれた独自の機能を備えています。 たとえば、SimplerはLiveのワーピングを使用してサンプルを再生できます。 ワープしたサンプルは、再生するノートに関係なく、セットのテンポで再生します。 Simplerでのワーピングは、オーディオクリップでのワーピングとほぼ同様に機能します。また、ワープしたクリップをオーディオトラック、ブラウザー、デスクトップからSimplerに持っていくときも、手動のワープ設定は保持されます。 ワープの詳細については、「オーディオクリップ、テンポ、ワーピング」 の章をご参照ください。
Simplerのインターフェースは、[Sample]と[Control]タブの2つのセクションに分かれています。 さらに見やすく表示するには、Simplerのタイトルバーの
ボタンをクリックすると、デバイスチェーンとLiveのメインウィンドウの間で、[Sample]コントロールを切り替わります。 拡張ビューを使用している場合、[Controls]タブのパラメーターがデバイスビューのSimplerに表示されます。
[Sample]タブにはサンプルの波形が表示されます。 サンプルは、ブラウザーから直接ドラッグしたり、セッションビューやアレンジメントビューからクリップのままSimplerにドラッグできます。 クリップをドラッグした場合、Simplerは、スタート/エンドマーカーかループマーカーで区分されるサンプル部分のみを使用します。 クリップのワープマーカーと他のワーピングのプロパティを調整すると、クリップをSimplerにドラッグする際も保持されます。 サンプルを交換するには、新しいサンプルをドラッグするか、波形ディスプレイ右下隅の[ホットスワップ]ボタンをオンにします。

サンプル波形をズームするには、 Ctrl (Win) / Cmd (Mac) キーを押しながら、マウスホイールやトラックパッドでスクロールします。
30.11.1 再生モード
Simplerがどのようにサンプルを扱うかを決定する最も重要なパラメーターはモードスイッチで、Simplerの3つの再生モードから選択するのに使用します。 このスイッチは、[Sample]タブの左側または拡大サンプルビューの一番下にあります。


- クラシック再生モード :Simpler使用時のデフォルトのモードで、ピッチのあるサンプルを使用して「一般的な」メロディやハーモニー楽器の作成に最適化されています。 完全なADSRエンベロープを備え、ルーピングに対応しており、ノートが押されている間ずっとサンプルをサステインできます。 クラシック再生モードは、デフォルトではポリフォニックです。
- ワンショット再生モード :モノフォニック再生の専用モードで、単発のドラム音や短いフレーズのサンプルを使用するときに最適です。 このモードは簡素化されたエンベロープを備え、ループ再生には対応していません。 デフォルト設定では、ノートをトリガーすると、ノートが押されている長さに関係なくサンプル全体を再生します。
- スライス再生モード :各スライスをクロマチックで再生できるよう、サンプルを非破壊にスライスします。 スライスの作成や移動を手動で行うことができ、Simplerがスライスを自動作成する方法をさまざまなオプションから選択できます。 このモードは、ドラムブレイクなどのリズミカルなサンプルでの使用に最適です。
30.11.1.1 クラシック再生モード

クラシック再生モードでは、さまざまなサンプル位置コントロールにより、再生するサンプルのリージョンが変化します。 これらのコントロールには、[Start]と[Length]パラメーター、および波形ディスプレイに表示される2つの「フラグ」が含まれます。 左のフラグで、再生を開始するサンプル内の絶対位置を設定し、[End]コントロールで再生が終了する位置を設定します。 [Start]と[Length]は、フラグで有効になったサンプルの全体的な長さに対する割合で示します。 たとえば、[Length]値が50%の場合、フラグ間のリージョンのちょうど半分が再生されます。 [Loop]スライダーは、サンプルのループする割合を決定します。 このパラメーターは、[Loop]スイッチがオンの場合にのみ有効です。
グリッチであったりグラニュラーの特性を持つような、非常に短くて持続するループを作成したり、オーディオレートでループさせてピッチ感を持つループを作成できます。 これがまさに望み通りのエフェクトになるかもしれませんが、CPU負荷は非常に高くなり、特に[Complex]や[Complex Pro]のワープモードの場合顕著になります。
多くの場合、最初はサンプルの長いリージョンを使用しても、最終的にはそのうちほんの一部しか使わないことがあります。 Simplerの波形ディスプレイでは、Live の他の部分同様ズームやパンが行えます。 ズームするには垂直方向にドラッグするか、 Ctrl (Win) / Cmd (Mac) を押しながらマウスホイールやトラックバッドをスクロールします。ビュー内でサンプル表示をパンするには水平方向にドラッグします。 ズームは、3つの再生モードで同じ動作をします。
[Loop]オン/オフボタンを押すと、ノートを押えている間サンプルがループするかどうかを指定します。 波形振幅(サンプルの音量など)が原因で、ループサンプルの開始と終了位置の間にノイズや破裂音が発生することがあります。 [Snap]スイッチは、Simplerのループマーカーとリージョンマーカーをサンプルのゼロ交差位置(振幅がゼロになる部分) にスナップさせ、これらの不具合を軽減します。 スナップは、ステレオサンプルの左チャンネルを基にします。 スナップが有効であっても、ステレオサンプルの場合にはノイズが生じることがあります。
[Fade]コントロールを使って、ループエンドとループスタート位置をクロスフェードさせ、ループのつなぎ目をスムーズにできます。 この方法は、特に長いテクスチャーのサンプルを扱う際に役立ちます。
[Gain]スライダーでは、サンプルのレベルをブーストまたはカットできます。 これはSimplerの[Volume]ノブとは別のゲイン段で、インストゥルメント全体の最終的な出力レベル(Simplerのフィルターによる処理後)を設定します。 このパラメーターは、3種類の再生モードで同じように動作します。
[Voices]パラメーターは、Simplerが同時再生できる最大ボイス数を設定します。 [Voices]セレクターで割り当てた数以上のボイスが必要になると、「ボイス・スティーリング」が起こり、新しいボイスを優先して再生し、古いボイスの再生を停止します。 例えば、[Voices]パラメーターが 8 に設定されているところに、10ボイス再生しようとすると、ボイスが古い方から2つ欠落します。 (Simplerは、ボイス・スティーリングをなるべく目立たないように調整します。 )
[Retrig]をオンにすると、すでにサステインしているノートは、同じノートをふたたび再生するとカットされます。 [Retrig]がオフの場合、同じノートを複数コピーして重ねることができます。 [Retrig]は、サンプルのリリースタイムが長く、[Voices]数が2以上に設定されている場合にのみ、その効果が聞こえます。
ワープパラメーター は、3つの再生モードすべてで同じです。以下はその説明です。
30.11.1.2 ワンショット再生モード

[1-Shot]モードでは、[Classic]モードと同じように左と右のフラグで再生リージョンを設定しますが、[Loop]と[Length]のコントロールはありません。 [Voices]コントロールもなく、ワンショットモードはモノフォニック専用となっています。
[Trigger]をオンにすると、サンプルの再生はノートのリリース後も続き、パッドを押している長さには影響されません。
サンプルの音量は、[Fade In]と[Fade Out]コントロールで調整できます。 [Fade In]ではノートを再生してからサンプルが最大音量に達するまでの時間を指定し、[Fade Out]ではサンプルリージョン末尾の前方でフェードアウトが始まる時間を指定します。
[Gate]をオンにすると、サンプルはノートのリリース後にフェードアウトを始めます。 [Fade Out]時間では、リリース後無音になるまでにかかる時間を指定します。
スナップは[Classic]モードとほぼ同じように機能しますが、スタートとエンドのフラグにのみ影響します(ループオプションがないため)。
30.11.1.3 スライス再生モード

[Slice]モードでは(ワンショット再生モードと同じく)、左と右のフラグで再生リージョンを設定します。
スライスを作成する方法は[Slice By]セレクターで指定します。
- [Transient](トランジェント):スライスは、自動的にサンプルのトランジェント上に置かれます。 [Sensitivity]スライダーでは、サンプル内のトランジェントレベルに対するSimplerの感度を指定し、これにより自動作成するスライスの数が決まります。 数値を上げるとスライス数が増えます(最大64スライス)。
- [Beat](拍):音価にあわせてスライスを配置します。 [Division]セレクターでは、Simplerがサンプルのリージョンをスライスする音価を選択します。
- [Region](リージョン):スライスは均等な時間分割で置かれます。 [リージョン]セレクターでは、作成する等間隔のスライス数を選択します。
- [Manual](手動):サンプルリージョン内をダブルクリックすると、スライスを手動で作成します。 [Manual]を選択した場合、スライスは自動で配置されません。
[Playback]セレクターでは、同時にトリガー可能なスライス数を指定します。 [Mono]はモノフォニックで、一度に1つのスライスのみ再生できます。 [Poly]に設定すると、複数のスライスを同時に再生できます。 [Poly]を有効にすると、[Voice]と[Retrig]コントロールが選択可能になり、クラシック再生モードの場合と同じように機能します。 [Thru]に設定すると、再生はモノフォニックになりますが、1スライスをトリガーすると残りのサンプルリージョン内で再生を継続します。
[Trigger/Gate]スイッチは、ワンショット再生モードと同じように機能します。 [Fade In]と[Fade Out]コントロールの動作は、[Playback]セレクターの設定によって多少異なります。 [Mono]または[Poly]を選択した場合、フェードタイムは各スライスの先頭から末尾までとなり、[Thru]を選択した場合、フェードタイムはトリガーしたスライスからリージョンの末尾までとなります。 つまり、フェードタイムは、リージョンのどこでトリガーするかにより異なります。
自動作成されたスライスは、波形ディスプレイ内に青の縦線で表示されます。 スライスをダブルクリックすると削除します。 Simplerの自動スライス配置で満足のいく結果が得られない場合、スライスをドラッグして新しい位置に移動できます。 スライス間の波形をダブルクリックすると、手動のスライスを作成して、白で表示されます。 [Transients]モードでは、 Alt (Win) / Option (Mac) キーを押しながらスライスをクリックすると、スライスを手動と自動で切り替えられます。 [Trantient]モードの手動で作成されたスライスは、[Sensitivity]の量に関係なく保持されます。
30.11.2 ワープコントロール

[Warp]スイッチをオフにすると、Simplerは「一般的な」サンプラーのように動作します。 サンプルを異なるピッチで再生すると、サンプル再生のスピードが変わります。 場合によっては、これが望み通りの効果になることもあります。 ただし、明確なリズムを持つサンプルを扱う場合、[Warp]をオンにするとよいでしょう。 こうすると、Simplerはユーザーが再生するノートに関係なく、現在のソングテンポに同期させてサンプルを再生します。
Simplerのワープモードと設定は、オーディオクリップでのワーピング動作と同じように動作します。 詳細については、「ワープ モード」 のセクションをご参照ください。
[Warp as…] ボタンでは、サンプルのワーピングを調整し、指定の小節数か拍数のみで再生します。 Liveは、サンプルの長さを基に最も妥当だと考えられる値を推測しますが、意図しない音になった場合は、[÷2]や[x2]ボタンで再生速度を2倍か半分にできます。
30.11.3 Filter

Simplerのフィルターセクションは、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、および特殊な[Morph]のさまざまなフィルタータイプを提供します。 各フィルターは、12と24 dBスロープの間、および、有名アナログシンセに見られるハードウェアフィルターをエミュレートする、Cytomicと共同開発したアナログモデル回路動作を切り替えられます。
[Clean]回路のオプションは高品位でCPU効率に優れた設計で、EQ Eight と同じフィルターを使用しています。 これはすべてのフィルタータイプで使用できます。
[OSR]回路オプションは、ステートバリアブル型フィルターで、独自のハードクリッピング・ダイオードがレゾナンスを制御しています。 イギリスの珍しいモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしており、すべてのフィルタ-タイプで使用できます。
[MS2]フィルターはサレンキー型設計で、レゾナンスの制御にソフトクリッピング回路を使用しています。 日本の有名なセミモジュラーモノシンセに使用されているフィルターをモデルにしており、ローパスとハイパスのフィルターが用意されています。
[SMP]回路はカスタムデザインで特定のハードウェアに基づいていません。 MS2回路とPRD回路の両方の特徴を持ち、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[PRD]回路は、ラダー型の設計を使用しており、はっきりとしたレゾナンス制御はありません。 米国の有名デュアルオシレーターモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしており、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
最も重要なフィルターパラメーターは、[Frequency](周波数)と[Resonance](レゾナンス)の2つです。 [Frequency]は、倍音のスペクトル内のどこでフィルターをかけるか設定し、[Resonance]はその周波数付近の帯域を強調します。
ローパス、ハイパス、バンドパスフィルターを[Clean]以外の回路タイプで使用する場合、[Drive]コントロールが追加され、信号がフィルターに入力される前にゲインやディストーションを信号に加えるのに使用できます。
[Morph]フィルターには追加の[Morph]コントロールがあり、フィルタータイプをローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、そして再びローパスへとスムーズに変えられます。
[Morph]ノブのコンテキストメニューのオプションから、ローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチの設定を簡単に切り替えることができます。
フィルターセクションのディスプレイの[Frequency]と[Enelope]ボタンでは、フィルターの周波数特性とエンベロープの間で表示を切り替えます。 フィルターのカットオフ周波数とレゾナンスは、ノブで調整したり、ディスプレイ内のフィルター応答曲線をドラッグして調整できます。 また、フィルター周波数は次のパラメーターでモジュレーションできます。
- ノートベロシティ(フィルターのディスプレイ内の[Vel]コントロール)
- ノートピッチ(フィルターのディスプレイ内の[Key]コントロール)
- フィルターエンベロープ(フィルターのディスプレイ内の[Envelope]コントロール)
- LFO(LFOセクションの[Filter]スライダー)
30.11.4 Envelopes

Simplerでは、多くのシンセサイザーに見られる伝統的なADSRエンベロープを3つ内蔵して、サンプルのダイナミックな反応を形作ります。 アンプ、フィルター周波数、ピッチの各モジュレーションはすべて、エンベロープセクションの各ボタンで切り替えて修正できます。 [Attack]では、ノートを再生した後にエンベロープが最大音量に到達するまでの時間をミリ秒で制御します。 [Decay]では、エンベロープが[Sustain]レベルに到達するまでの時間を制御します。サステインレベルは、ノートをリリースするまで保持されます。 [Release]タイムは、ノート終了後、サンプルの音量が[Sustain]レベルからゼロに戻るまでにかかる時間です。 これらのパラメーターは、専用のコントロールを使用するか、エンベロープ表示内のハンドルをドラッグして調整できます。
エンベロープが、フィルターのカットオフに影響する度合いは、各セクションの右上の[Amount](エンベロープアマウント)コントロールで設定します。

[Amplitude]エンベロープは、[Loop]セレクターでループさせることもできます。 [Loop]と[Trigger]モードでは、ディケイ段の終了後でもノートが続いていると、エンベロープが初期値から再スタートします。 サステインレベルから初期値へ移行するのにかかる時間は[Time]パラメーターで決定します。 [Beat]と[Sync]モードでは、[Rate]スライダーで設定したアマウント値の後にもノートが続いていると、エンベロープが初期値から再スタートします。

30.11.5 LFO

LFO(低周波オシレーター)セクションでは、サイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波(下降)、ノコギリ波(上昇)、ランダムの各波形を選択できます。 LFOは、0.01 から 30 Hzの範囲で自由走行するか、セットのテンポに同期して動作します。 Simplerでは、LFOを各ボイス や再生したノートにそれぞれ適用できます。
LFOが最大強度に達するのに必要な時間は、[Attack]コントロールで設定します。 [R]スイッチはリトリガーを切り替えます。 オンにすると、LFOの位相は各新規ノートに対して[Offset]値にリセットされます。 なお、[Offset]はリトリガーがオフの場合、効果を生じません。
[Key]パラメーターは、入力したノートのピッチに比例して各LFOのレートを調整します。 [Key]設定値が高いと、高いノートに対して、速いLFOレートが設定されます。 [Key]を 0に設定すると、全ボイスのLFOは同じレートとなり、位相のみが異なります。
[Volume][Pitch][Pan][Filter]の各スライダーでは、LFOがボリューム、ピッチ、パン、フィルターをモジュレートする度合いを指定します。
30.11.6 グローバルパラメーター

パノラマは[Pan]コントロールで設定します。左右にランダマイズ([Ran > Pan]スライダー)させたり、LFOでモジュレートすることで、より揺らぎを加えることができます。
Simplerにはさらに、[Spread]パラメーターを備えています。 これは各ノートに2つのボイスを使用し、そのボイスを左右にパンニングすることで豊かなステレオコーラスを作成できます。 2つのボイスはデチューンされ、その度合いは[Spread]コントロールで調整できます。
スプレッドが特定のノートに適用されるかどうかは、ノートオン時の[Spread]パラメーターの設定によって決まります。 例えば、[Spread]をゼロに設定し、スプレッドがいくつかのノートに対してのみオンになるようなシーケンスを作成すると、面白い効果が得られます。 スプレッドが適用されたノートはステレオで再生され、他のノートはモノラルで再生されます。
Simplerの出力ボリュームの調整は、[Volume]コントロールで行います。[Vel > Vol]コントロールにより調整した場合は、ノートベロシティにも依存します。 LFO がボリュームパラメーターをモジュレートできるよう設定すれば、トレモロ効果を得ることができます。
Simplerは、入力MIDIノートがC3の場合、サンプルをオリジナルのピッチで再生しますが、[Transpose]コントロールを使うと、 +/- 48 セミトーンまで移調して再生します。 [Pitch]は、LFOやピッチエンベロープからもモジュレートできます。 ピッチエンベロープは、特にパーカッシブなサウンドの作成に便利です。 Simplerは、MIDIピッチベンドメッセージに +/- 5 セミトーンの範囲で反応します。 クリップエンベロープや外部コントローラーを使用して、[Transpose]パラメーターをモジュレーションできます。 ピッチの微調整には[Detune]コントロールを使用し、+/- 50セント単位で調整できます。
Simplerにはグライド機能がついています。 この機能を有効にすると、新しいノートは前のノートのピッチで再生をスタートし、その後ゆっくり新しいノートのピッチに移り変わります。 グライドモードは、以下の2種類から選択できます。モノフォニックの[Glide](グライド)と、ポリフォニックの[Portamento](ポルタメント)です。 グライド速度は[Time]コントロールで設定します。
30.11.7 Simplerのコンテキストメニュー・オプション
Simplerの機能の一部は、サンプルディスプレイやSimplerのタイトルバーで開くコンテキストメニューからのみアクセスできます。
デフォルトでは、Simplerは定出力のフェードを使用します。 しかし、Simplerのタイトルバーのコンテキストメニューで[ループに定出力フェードを使用]をオフにすると、リニアクロスフェードを有効にできます。 なお、[Fade]パラメーターはワープが有効な場合は選択できません。
Simplerで作成されたプリセットは、Sampler で使えるよう変換することができ、その逆の変換も可能です。 これを行うには、Simplerのタイトルバーを右クリックして、[Simpler -> Sampler]コマンドを選択します。 この方法で、Simplerで作成されたプリセットをSamplerのマルチサンプルに使用できます。 ただし、Simplerのワーピングとスライシング機能はSamplerでは使用できません。これらの機能を使用するプリセットは、Sampler上とはサウンドも動作も大きく異なることにご注意ください。
[サンプルを管理]はロードしているサンプルをLiveの ファイルマネージャー 内に表示して、[ブラウザーに表示]オプションはサンプルをLiveのブラウザー内に表示します。 [Finderに表示][エクスプローラーに表示]は、サンプルをコンピューターのオペレーティングシステム内に表示します。 このコマンドは、オフィシャルのAbleton Packからロードされたサンプルを扱っている場合は使用できません。
[ボリュームをノーマライズ]は、ロードしたサンプルのボリュームを調整して、サンプルのピークがヘッドルームの上限まで使用するようにします。
[サンプルをクロップ]はサンプル部分のスタートとエンド位置の外側を削除して、[サンプルを反転]はサンプル全体を逆再生します。 なお、[Crop]と[Reverse]の両方とも非破壊処理で、サンプルのコピーを作成してそのコピーを処理するため、元のサンプルは変更されません。
スライス再生モードを使用すると、コンテキストメニューに2つのオプションが追加されます。 [Drum Rackにスライス]は、SimplerをDrum Rackで置き換え、現在のスライスはパッド上で分割されます。 [MIDIにスライス]は上記に似ていますが、現在のSimplerを置き換えるのではなく、Drum Rackを含むトラックを追加作成します。 さらに、新規トラックにスライスする際、これらのスライスを順に再生するクリップが作成されます。 スライスの詳細については、このトピックの 専用セクション を参照してください。
30.11.8 CPU負荷を軽減させるには
リアルタイム合成は、かなりの演算能力を必要とします。 しかし、CPUロードを低減する方法はいくつかあります。 Simplerを使う際のCPU消費量を節約するには、以下の操作を行います。
- ワーピングを使用する際、[Complex]と[Complex Pro]モードは他のワープモードに比べてCPU負荷が大幅に上がることに留意してください。
- フィルターが必要でない場合、オフに切り替えます。
- フィルターのCPU消費量は、スロープの傾斜角度に関係します。 24 dBスロープは 12 dBに比べ消費量が増えます。
- LFOをオフにすると、CPUの消費量を若干軽減します。
- ステレオサンプルはモノラルサンプルの2倍の処理が必要なため、CPU消費が2倍になります。
- [Voices]コントロールで、同時に使用可能なボイス数を減らします。
- 必要がない場合は[Spread]を0%にします。
30.12 Tension

Tensionは、弦楽器のエミュレーション専用のシンセサイザーで、Applied Acoustics Systemsとのコラボレーションにより開発されています。 このシンセサイザーは、物理モデリング技術をベースとしており、サンプリングや基本波形を使用しません。 弦楽器の各部分がどのように相互作用するのかを説明する数式を解くことにより、サウンドを生成します。 この精巧なシンセ・エンジンは、受信するコントロール信号にダイナミックに反応し、弦楽器のサウンドのふくらみと敏感さを再現します。
Tensionには、4種類のエキサイター(2種類のハンマー、ピック、弓)、精巧にモデリングされた弦、フレットと指の相関、ダンパーモデル、様々な種類の共鳴板が搭載されています。 このような異なる要素を組み合わせることにより、さまざまな弦楽器のサウンドを再現することができます。 Tensionには、フィルター、LFO、エンベロープパラメーター、MPE対応も搭載されており、弦楽器の再現という枠を超えたサウンド形成の可能性をさらに拡げます。 Tensionには、キーボード・モード、ポルタメント、ビブラート、レガート機能などの幅広いパフォーマンス機能も搭載されています。
30.12.1 アーキテクチャとインターフェース
この楽器が発音するメカニズムを構成するのは、主に弦 の振動です。 弦は、ハンマー、ピック、弓といったエキサイター (加振器)の動作により振動します。 振動数は弦の実質的な長さで決まり、指とフレットの相関、つまり停止動作によって制御されます。 ダンパー は、振動の減衰時間を減らす目的で弦に当てます。 これは、たとえばピアノなどに使用されます。 ピアノでは、キーやサステインペダルを開放することにより弦にフェルトが当てられます。 その後、弦の振動は、サウンドを効果的に共鳴する楽器のボディ へと伝わります。 楽器によっては、弦の振動がブリッジからボディへと直接伝えられるものがあります。 また、エレクトリック・ギターなど、弦の振動をアンプへ送るのに ピックアップ を使用する楽器もあります。 これらの主要セクションに加え、楽器の音響的な可能性を拡げるフィルター セクションが弦とボディの間の部分に加えられています。
Tensionインターフェースは、2つのメインタブに分割されています。 [String] タブには、[Exciter](エキサイター)、[String](弦)、[Damper](ダンパー)、[Termination](ターミネーション)、[Pickup](ピックアップ) に加え、[Body](ボディ) といった、弦が発音するための必須のコンポーネントが備えられています。 [Filter/Global] タブには、フィルターセクションとMPEセクション、および、グローバルパフォーマンスパラメーターのコントロールがあります。 すべてのセクション([String]とグローバルの[Keyboard]セクションを除く)は、それぞれ個別にオンとオフを切り替えることができます。 セクションをオフにするとCPU負荷が低減します。
30.12.2 Stringタブ
[String]タブには、弦自体の物理特性とその演奏方法に関連するパラメーターがあります。
30.12.2.1 エキサイター・セクション

30.12.2.2 エキサイター・タイプ
モデリングされた弦は、色々な種類の楽器と演奏技術を再現できるよう、さまざまなタイプのエキサイターを使って発音します。
[Exciter]セクションは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。 オフにすると、弦はダンパーとの相互作用によってのみ振動します。 エキサイターとダンパーの両セクションがオフの場合、弦を振動させるものはありません。音が出てこない場合、少なくともどちらかのセクションがオンになっているか確認してください。
エキサイター・タイプのセレクターでは、[Bow][Hammer][Hammer (bouncing)][Plectrum]の4種類を選択できます。
[Bow]:このエキサイターは、バイオリン、ビオラ、チェロなどの弓を使用する楽器に関連しています。 弓により、弦の振動が持続します。 弓を弦の上で動かすことにより摩擦が生まれ、弦の状態は弓に付いている場合と弓から離れている場合で変化します。 弓に付いている状態と弓が滑っている状態の間で生じる変化により、基準のピッチが決まります。 [Bow]エキサイター選択時には、[Damping]ノブを使用できません。
[Hammer]:このエキサイターは、柔らかいハンマーやマレットの挙動をシミュレートします。 [Hammer]は、弦の下に配置され、弦を1度だけ叩くハンマーをモデリングしています。 この種類の構造は、ピアノなどに見受けられます。
[Hammer (bouncing)]:このエキサイターは[Hammer]と似ていて、弦の上に配置され、弦の上を複数回跳ねるように叩くハンマーをモデリングしています。 この種類の構造は、打弦楽器であるダルシマーなどに見受けられます。
[Plectrum]:バチや「ピック」は、ギターやハープシコードなどの楽器に関連しています。 弦の下に差し込み弦をはじいて振動させる、角度のついた物体のことを指します。
30.12.2.3 エキサイターのパラメーター
エキサイター・タイプのセレクターの横には、5つのパラメーターノブがあります。 最初の2つのパラメーターは選択されているエキサイター・タイプに応じて異なりますが、最後の3つのパラメーターは共通です。
Bowパラメーター
- [Force]ノブでは、弓が弦に加える圧力を調整します。 この値が高いと、サウンドがより「ざらついた」感じになります。
- [Friction]ノブでは、弓と弦の間の摩擦量を調整します。 値が高いと、アタックがより速くなります。
Hammer / Hammer (bouncing) パラメーター
- [Mass]ノブでは、ハンマーの質量を調整します。
- [Stiffness]ノブでは、ハンマーの表面部分の硬さを調整します。
Plectrum パラメーター
- [Protrusion]ノブでは、バチの表面部分をどれくらい弦の下に差し込むかを設定します。 値が低いと、サウンドが「弱く」小さな音になります。
- [Stiffness]ノブでは、バチの表面部分の硬さを調整します。
エキサイター共通パラメーター
- [Velocity]ノブでは、エキサイターが弦を振動する速度を調整します。
- [Position]ノブでは、エキサイターが接触する弦の位置を指定します。 0% では、弦の終点でエキサイターが弦に触れます。 50% では、弦の中間でエキサイターが弦に触れます。 ただし、 [Fix. Pos]スイッチ(詳細は後述)を有効にすると、位置は弦の長さに影響されません。
- [Damping]ノブでは、エキサイターの衝撃力がエキサイター自体に吸収される度合いを調整します。 なお、[Hammer (bouncing)] は[Stiffness]パラメーターに多少似ていますが、ハンマー表面の硬さを制御するのではなく、ハンマーとその動力源をつなぐ「スプリング」の硬度を調整します。 [Damping]の値を増やすにつれ、ハンマーとスプリングの相互作用が短くなり、一般的に音量が上がり明るいサウンドになります。
[Fix. Pos] スイッチは接触位置を1つの位置に固定し、弦の長さが変更されても変化しません。 この動作は、ギターの動作に似ています。 ギターでは、どのノートを弾くかに関わらず、ピッキング位置は常に同じです。 ピアノのハンマーは、通常弦の7分の1ほどの長さの位置を叩きます。 そのため、最適なモデリングをするには [Fix. Pos]をオフにします。
最後に、[Vel]と[Key]スライダーでは、ノートのベロシティやピッチに基づいたモジュレーションができます。
[Excitator]セクションのパラメーターは密接に相互作用し、楽器の動作全体に影響します。 設定の組み合わせによっては、音が出ないこともあります。
30.12.2.4 Damperセクション

すべての弦楽器は、共振する弦をミュートする何らかの減衰機構を備えています。 ピアノでは、鍵盤から手を離すとフェルトパッドが弦に当たります。 ギターやバイオリンといった楽器では、演奏者が弦に指をあてることにより弦の振動を減衰します。 ダンパーは弦の余韻を調整しますが、ダンパー自体も音を出します。これは、弦楽器の音色の大きな特徴です。 ダンパー・セクションは、セクション名の隣のスイッチを使ってオン/オフを切り替えられます。
ダンパー機能は、どちらかといえば弦をミュートするものですが、ハンマーに似た部分もあり、パラメーターの一部を共有しています。
[Mass]ノブでは、ダンパーの表面を弦に押しつける強さを調整します。 この値を高くすると、弦をミュートするのが速くなります。
ダンパーの素材の硬度は、[Stiffness](スティフネス)コントロールで調整します。 値が低いとフェルトのような柔らかな素材がシミュレートされ、値が高いと金属のダンパーがモデリングされます。
[Mass]と[Stiffness]の値が極端に高いと、弦の実質的長さが変わるほど強く弦を押さえるダンパーがシミュレートされるため、チューニングが変わります。
[Velocity]コントロールでは、キーを開放する際のダンパーが弦に当たる速度と、キーを押す際のダンパーが弦から離れる速度を調整します。 このパラメーターは慎重に調整しましょう。[Velocity]の値が高いと、ダンパーが弦に極端に強く当たり、キーを開放する際に生じる音が非常に大きくなります。 [Gated]スイッチの状態により、[Velocity]コントロールのオン/オフが決まります。 [Gated]スイッチがオンの場合、キーが開放されるとダンパーが弦に当てられます。 [Gated]がオフの場合、ダンパーは弦に当てられたままになるため、[Velocity]コントロールは無効になります。
[Position](ポジション)ノブとその下のコントロールは、エキサイター・セクションのコントロール機能と似ていますが、ここではダンパーが弦に触れる位置を指定できます。 0%では、弦の終点でダンパーが弦に触れます。50%では、弦の中間でダンパーが弦に触れます。 [Fix. Pos]がオンの場合、 挙動が少し変わる場合もありますが、 この場合、接触位置は1つの位置に固定され、弦の長さが変更されても変化しません。
[Mass][Stiffness][Velocity][Position]のパラメーターは、下の[Key]スライダーを使用して、ノートピッチでモジュレーションをかけられます。
ダンパー機構の硬さは[Damping]ノブで調整します。このノブはダンパーが振動を吸収する量に影響します。 値が低いと減衰を減らします(ディケイタイムが長くなる)。 しかし、[Damping]値が 50% を超えると、予測が難しくなります。 値が高いと、機構が硬くなり、弦の上で跳ねるようになります。 その結果、ダンパーが弦に当たっている時間が短くなり、ディケイタイムが長くなります。 このパラメーターの動作に関して感覚をつかむには、ひとつの鍵盤を繰り返し叩きながら、このノブをゆっくり上げます。
Stringセクション

弦楽器の発音のメカニズムを構成するのは、主に弦の振動です。 弦の実質的な長さも、聞こえてくる音のピッチに影響します。
[Decay]スライダーでは、この共振する弦が無音へとフェードアウトするまでにかかる時間を設定します。 値を高くすると、ディケイタイムが長くなります。 [Decay]隣の[< Key]スライダーでは、ノートピッチを使ってディケイタイムをモジュレートできます。
[Ratio]スライダーでは、ノートの開始とリリース中の弦振動のディケイタイムの比率を設定します。 0%に設定すると、[Decay]スライダーで設定した時間によって、ノートの開始とリリース両方のディケイタイムを設定します。 [Ratio]を上げるにつれ、リリースタイムが短くなりますが、開始のディケイタイムは保持します。
共振する弦の理論モデルはハーモニック(整数倍音)です。 つまり、弦の部分音は、基準の周波数に対して正確な倍数となります。 しかし、実際の弦では、程度の差はありますがほぼ不規則倍音になり、弦の幅が広がるにつれてこの度合いは増します。 [Inharm](インハーモニック)スライダーはこの性質をモデリングしていて、値が高くなるにつれて上部の部分音のチューニングが外れるようになります。
[Damping](ダンピング)スライダーでは、弦の振動による髙域周波数成分の量を調整します。 値が高いと、上部の部分音が増加します(ダンピングが低下)。 このパラメーターは、[< Key]スライダーを右に移動して、ノートピッチでモジュレートできます。
Vibratoセクション

[Vibrato]セクションでは、LFOを使用して弦のピッチをモジュレートします。 Tensionのパラメーター同様、このセクションのコントロールは、弦楽器のモデリングのリアリティを高めたり、聞いたことのないようなサウンドを作るために使用します。
[Vibrato]セクションは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。
[Delay]スライダーでは、ノートを開始してからビブラートが始まるまでにかかる時間を設定します。[Attack]では、ビブラートが最大強度([Amount]ノブで設定)に到達するまでにかかる時間を設定します。
このセクションで最も重要なパラメーターは、[Rate]と[Amount]スライダーの2つです。 [Rate]ではピッチ変動の周波数を調整し、[Amount]では変化の強度(振幅)を調整します。
[< Mod]スライダーでは、モジュレーションホイールがビブラートの強度に影響する度合いを調整します。 このコントロールは、[Amount]ノブで設定した値に相対します。
[Error]スライダーでは、[Rate][Amount][Delay][Attack]の各パラメーターに対してランダムな偏差を加えることにより、ビブラートに予測できない要素を加えます。
30.12.2.5 Terminationセクション

[Termination](ターミネーション)セクションでは、フレット、指、弦の相互作用をモデリングしています。 実際の楽器では、この作用で弦の実質的な長さを変更して、演奏するノートのピッチを決めます。
[Termination]セクションでは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。
[Finger Mass]パラメーターは、[Vel]と[Key]スライダーを使ってベロシティやノートピッチによるモジュレーションを追加できます。
指の物理的なパラメーターは、[Fing Mass]と[Fing Stiff]ノブで調整します。 このノブでは、弦を押す指の力と指の硬さを設定します。 フレットの硬さは、[Fret Stiff]パラメーターでモデリングされます。
30.12.2.6 Pickupセクション

[Pickup]セクションは、エレクトリック・ギターやエレクトリック・ピアノに見られる電磁ピックアップをモデリングしています。 このセクションは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。 ここにあるコントロールは[Position]スライダーだけで、エキサイターとダンパーのセクションにあるパラメーターの機能と似ています。 0%では、弦の終点にピックアップが置かれます。 50%では、弦の中間にピックアップが置かれます。 値が低いと明るく細いサウンドになり、値が高いと豊かで深みのあるサウンドになります。
Bodyセクション

弦楽器のボディや共鳴板の役割は、弦の振動エネルギーを放射することです。 ボディは、そのサイズと形に応じて、振動のフィルターにもなります。 ギターなど一部の楽器にはボディに空洞があり、低い周波数をブーストします。
[Body]セクションは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。
[ボディタイプ]セレクターでは、実際の楽器を基にモデリングしたさまざまな種類のボディを選択できます。
[ボディサイズ]セレクターでは、共鳴体の相対的なサイズを特小(XS)から特大(XL)まで設定します。 一般的には、ボディのサイズを大きくすると、共鳴する周波数が低くなります。
ボディの共鳴のディケイタイムは、[Decay]ノブで調整します。 値が高くなるほど余韻は長くなります。
[Str/Body](ストリング/ボディ)ノブでは、[String]セクションの直接出力と、[Body]セクションがフィルタリングした信号の割合を調整します。 一番右まで回すと、[String]セクションからの直接出力がなくなります。 一番左まで回すと、[Body]セクションは事実上バイパスされます。
[Low Cut]と[Hi Cut]のノブを使用すると、ボディの周波数特性をさらに変化させられます。

[Body]セクションの右にある[Volume]ノブは、このインストゥルメントの全体的な出力を設定します。 このノブは、[Filter/Global]タブからもアクセスできます。
30.12.3 Filter/Globalタブ

Tensionの[Filter/Global]タブには、エンベロープ/LFO/MIDIモジュレーションを備えたポリフォニックフィルター、キーボードとポルタメントのオプション、統合された[Unison]オーディオエフェクトが搭載されています。

Tensionの[Filter]セクションには、さまざまな設定が可能なマルチモード・フィルターを搭載しています。 フィルターは、[String]と[Body]セクションの間に配置されています。 さらに、フィルターは、専用のエンベロープ・ジェネレーターや低周波オシレーター(LFO)を使ってモジュレートできます。
なお、[Filter]サブセクションのスイッチで、フィルター・セクション全体のオン/オフを切り替えられます。 [Filter Envelope]と[Filter LFO]のセクションにはそれぞれ個別のスイッチがあります。
フィルターのセレクターでは、フィルタータイプを選択できます。 選択できるのは、2極と4極のローパス、ノッチ、ハイパス、フォルマントフィルターです。
フィルターのレゾナンス周波数は[Freq]スライダーを使って調整し、 レゾナンス量は[Res]コントロールで調整します。 フォルマントフィルターを選択すると、[Res]コントロールでは母音を順に選択できます。 [Freq]と[Res]のコントロールは、ノブの下部にあるスライダーでLFO、ベロシティ、ノートピッチでもモジュレートできます。 なお、[LFO]と[Env]のスライダーは、[Envelope]と[LFO]のサブセクションをオンにしないと効果がありません。
[Filter Envelope]のサブセクションでは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。 これは標準のADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)で、いくつかの特徴があります。
- [Attack]スライダーでアタックタイムを設定して、ノブの下部の[Vel]スライダーからMIDIノートのベロシティでこのアタックタイムをモジュレートします。 [Vel]の値が上がるにつれ、アタックタイムは徐々に短くなります。
- エンベロープがアタック段の後でサステインレベルに到達するまでの時間は、[Decay]ノブで設定します。
- [Sustain]ノブでは、ディケイ段の終わりから鍵盤から手を離すまで、エンベロープを保持するレベルを設定します。 このスライダーを一番左まで動かすと、サステイン段がなくなります。 一番右まで移動すると、ディケイ段がなくなります。 サステインレベルは、ノブの下の[Vel]スライダーを介して、ノートベロシティでもモジュレートできます。 値を高くすると、ベロシティが上がるにつれてサステインレベルも上がります。
- リリースタイムは、[Release]ノブで設定します。 これは、鍵盤から手を離した後にエンベロープがゼロに到達するまでの時間です。
[Filter LFO]サブセクションは、フィルターに対する追加のモジュレーションソースになります。 このセクションは、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。
[LFO波形]セレクターでは、LFOが使用する波形を設定します。 サイン波、三角波、矩形波、2種類のランダム波形から選択できます。 1つ目のランダム波形はランダム値の間を階段状に変化し、2つ目の波形は滑らかな傾斜状に変化します。
LFOの速さは[Rate]スライダーで設定します。 このスライダーの下にあるスイッチでは、[Rate]の速さをヘルツ単位の周波数とテンポ同期した拍分割で切り替えます。
[Attack]スライダーでは、オシレーターが最大振幅に到達するまでにかかる時間を制御して、 [Delay]スライダーでは、ノートの開始からLFOが動作を開始するまでにかかる時間を設定します。

MPEセクションには、MPEのプレッシャーやスライドのデータをマッピングしたり、Tensionのグローバルとノートごとのピッチベンドレンジを設定するオプションがあります。 3つのMPEソースすべては動作状況のLEDを備え、TensionがMPE信号を受信すると点灯します。
[Pressure]と[Slide]の両ソースに対して、MPEデータをルーティングする2つの対象を選択したり、[Amount]スライダーでモジュレーションのレベルを調整できます。
[Pitch Bend]コントロールでは、グローバルピッチベンドの範囲や、MPEのノートごとのピッチベンド(Note PB)をセミトーン単位で調整できます。

キーボード・セクションは、Tensionのポリフォニー、チューニング、MIDIのパラメーターを備えています。
[Octave][Semi][Detune]のコントロールは、粗調整と微調整用チューナーとして機能します。 [Octave]では、インストゥルメント全体をオクターブ単位で移調して、[Semi]ではセミトーン単位で上下に移調します。 [Detune]スライダーは、セント単位で(上下に最大 50 セントまで)調整します。
[Voices]セレクターでは、使用可能なポリフォニー数を設定します。
[Stretch]では、ストレッチ・チューニングと呼ばれる技術をシミュレートします。これは、エレクトリックピアノとアコースティックピアノの両方でよく見られるチューニング方法です。 0% にすると、Tensionは平均律で発音します。1オクターブ離れた2つのノートでは、上のノートの基音が下のノートのちょうど2倍になります。 しかし、実際に弦の振動が共鳴する挙動は、理論モデルとは異なるため、平均律はピアノでは「不正確に」聞こえます。 [Stretch]値を上げると、上のノートのピッチが上がり、下のノートのピッチが下がります。 これにより、サウンドがより明瞭になります。 [Stretch]を負の値にすると、「負の」ストレッチ・チューニングになります。上のノートのピッチはフラットして、下のノートのピッチはシャープします。
[Error]スライダーでは、各ノートに適用するランダムなチューニング・エラーの量を増やします。 値を極端に高くしてみると、中学校のオーケストラでの思い出を追体験することができますよ。
[Priority]では、最大ポリフォニー数を超えた場合にどのノートの発音を止めるか設定します。 [Priority]を[High]に設定すると、現在持続しているノートよりも高い新規ノートが優先され、一番低いピッチのノートが止まります。 [Low]に設定するとその逆になります。 [Last]設定は、直前に再生したノートに優先権を与え、必要に応じて古いノートの発音を止めます。

[Portamento]セクションでは、ノートからノートへ移行するときに、ピッチをすぐに変えるのではなくスライドさせる場合に使用します。 その効果は、セクション名の隣のスイッチでオン/オフを切り替えられます。
[Time]スライダーでは、スライドの全体的な速さを設定します。
[Legato]をオンにすると、スライドが発生するのは、1番目のノートがリリースされる前に2番目のノートを発音した場合のみになります。
[Prop.] (プロポーショナル)をオンにすると、ノート同士の間隔とスライドの時間が比例します。 間隔が広いと、間隔が狭いときよりもスライドが遅くなります。 このスイッチをオフにすると、間隔に関係なくスライドの時間が常に一定になります。

[Unison]セクションでは、再生する各ノートに対して複数のボイスを重ねることができます。 [Unison]スイッチを使用すると、このセクションのオン/オフを切り替えます。
[Voice]スイッチでは、重ねるボイスの数を2重または 4重から選択して、[Detune]では、重なったボイスそれぞれに対してチューニングを変化させる量を調整します。 値が低いと繊細なコーラス効果が生まれ、値が高いとまとまりのないオーケストラのような効果が生まれます。
[Delay]の値を上げると、重ねるそれぞれのボイスがオンになる前のタイムラグが加えられます。

[Volume]ノブは、このインストゥルメントの全体的な出力を設定します。 このノブは、[String]タブからもアクセスできます。
30.12.4 サウンドデザインのヒント
一見すると、Tensionのモジュラー構造は、他のシンセサイザーで慣れた構造とそれほど変わらないように見えるかもしれません。これは、情報が信号経路を流れる過程で修正を行う、機能的な部分構造となっています。 しかし、Tensionの各コンポーネントは互いに孤立しているわけではありません。 あるパラメーターを操作すると、別のパラメーターに大きな影響を与えることもあります。 そのため、まったく音が出ないパラメーターの組み合わせになることもあります。 また、極端に大きな音も出やすいので、レベルの設定は慎重に行ってください。
Tensionを使用する時は、さまざまなセクションが、あたかもひとつの物理的な物体にくっつけられていると考えるとよいでしょう。 たとえば、弓をゆっくりと動かし、ダンパーがない弦を振動させることができます。 しかし、この弦を強力なダンパーで押さえた場合、弓の効果を出すためには弓の速度を上げる必要があります。
このインストゥルメントの可能性について理解するには、プリセットがどのように作成されているかを学ぶと良いでしょう。 Tensionが単なる弦楽器ではないことに気づくと思います。
30.13 Wavetable

Wavetableは、ウェーブテーブル方式のオシレーター2基と、アナログモデリングのフィルター2基に、パワフルでありながら直感的なモジュレーションシステムを組み合わせたシンセサイザーです。 シンセ経験のあまりないミュージシャンやサウンドデザイナー向けに設計されています。 最小限の操作で優れた結果をもたらすシンプルさでありながら、より深い操作をもたらす無限の可能性を提供します。
Wavetableのインターフェースは大きく3つのセクションに分かれています。オシレーター(それぞれ専用のタブを持つ)、2基のフィルター、モジュレーション(3つのタブに分割)のセクションです。 単一のビューでさらに多くのパラメーターを表示させるには、Wavetableのタイトルバーの
ボタンをクリックします。 パラメーターは、画面レイアウトのサイズに応じて、メインのデバイスビューと拡張ビューの間を移動します。
30.13.1 ウェーブテーブル合成
Wavetableのオシレーターは、ウェーブテーブル合成と呼ばれる技術を使用してサウンドを生成します。 ウェーブテーブルとは、任意に集めた短いループサンプルの集まりを並べたものです。 オシレーターをこれらのサンプルのいずれかに固定してノートを再生すると、一定の音色で安定したサウンドが生成されます。 しかし、ウェーブテーブル合成の本当のパワーは、ノートの再生に応じてテーブル内でサンプルを動かすことにより得られます。 これにより、変化する音色が得られます。 ウェーブテーブル合成は、時間の経過と共に変化するダイナミックなサウンドを生成するのにとても適しています。
30.13.2 エンベロープ
Wavetableのオシレーターは最高の音質をもたらすよう最適化されています。 モジュレーションを適用しないかぎり、オシレーターの生の出力は完壁に帯域制限されていて、どのピッチでもエイリアスノイズを出しません。

各オシレーターは、タブのスイッチで個別にオン/オフを切り替えられます。 タブをクリックするとそのオシレーターを選択して、編集できるパラメーターが表示されます。
各オシレーターの全体的な出力レベルは[Gain]スライダーで調整し、ステレオフィールド内の位置は[Pan]コントロールで調整します。 各オシレーターの粗調整と微調整はそれぞれ[Semi]と[Det]コントロールで設定します。 なお、このチューニングはグローバルの[Transpose]スライダーに関連します。
ウェーブテーブルを選択するには、そのセレクターか矢印ボタンを使用します。 1つ目のセレクターではウェーブテーブルのカテゴリを選択し、2つ目のセレクターではそのカテゴリ内から特定のウェーブテーブルを選択します。 矢印ボタンを使用すると、現在のカテゴリの最後に到達したら次のカテゴリに自動的に切り替わるので、矢印キーだけを使用してウェーブテーブルを順に選択できます。
WAVやAIFFのファイルをウェーブテーブルとして読み込ませることで、Wavetableのオシレーターセクションの音響機能を拡張できます。 これを行うには、ブラウザーからサンプルを直接ウェーブテーブルのグラフィック表示にドラッグ&ドロップします。 セレクターと矢印ボタンがインポートされたサンプルを含むフォルダーを参照し、フォルダー内の他のサンプルをすぐに試聴できます。
Wavetableがインポートされたサンプルを自動処理して、不要なアーティファクトを取り除きます。 なお、[Raw]モードスイッチを有効にすると、この処理をバイパスできます。 [Raw]モードは、ウェーブテーブルとして使うために特別に用意されたファイルをロードする際に特に役立ちです。 ただし、予測できないノイジーでグリッチーなサウンドの作成にも使用できます。

オシレーターのウェーブテーブルは、そのオシレータータブの中央にグラフィック表示されます。 このグラフィック表示内をドラッグすると、ウェーブテーブル内のさまざまな位置に移動します。 ウェーブテーブルの位置は[Wave Position]スライダーでも変更できます。
ウェーブテーブルのグラフィック表示方法には2種類あり、表示切り替えスイッチを使用して切り替えます。 どちらのビューでも同じ情報が表示されますが、その表示方法が異なります。 リニア表示では、波形は下から上に並べられ、左から右の時系列で描画されます。 極表示では、波形は内から外へ向かってループとして表示され、時間の流れは時計回りになります。
選択できるウェーブテーブルは膨大にありますが、オシレーターの効果を使用して各ウェーブテーブル自体のサウンドを変形させることも可能です。 セレクターで3つのエフェクトから選択し、右のスライダーでそのパラメーターを調整します。 オシレーターのエフェクトは次のとおりです。
- [FM]:オシレーターに周波数変調を適用します。 [Amt]スライダーでは周波数変調の強度を調整し、[Tune]スライダーではモジュレーション・オシレーターの周波数を設定します。 [Tune]を 50%(または- 50%)に設定すると、モジュレーション・オシレーターはメイン・オシレーターに比べて1オクターブ高く(または低く)なります。 100%(または-100%)に設定すると、モジュレーションオシレーターは2オクターブ高く(または低く)なります。 これらの中間の値では、モジュレーションオシレーターは不協和となり、派手な上音を作成するのに最適です。
- [Classic]:伝統的なアナログシンセサイザーに共通する2種類のモジュレーションを備えています。 [PW]は、波形のパルス幅を調整します なお、ハードウェアシンセサイザーでは、通帳の矩形波のハルス幅のみ調整可能です。 Wavetableでは、すべての波形に対してパルス幅を調整できます。 [Sync]では、可聴域のオシレーターの位相をリセットして音色を変化させる「隠れた」オシレーターを適用します。
- [Modern]:波形の形を変化させるための2つの追加オプションを備えています。 [Warp]はパルス幅に類似し、[Fold]は波形折り畳みディストーションを適用します。
なお、2つのエフェクトパラメーターの値は、エフェクトタイプを変更しても変更されません。 このため、同じ値のままエフェクトを変更すると、処理の違いによって音色にどのような影響があるのか試すことができます。
30.13.3 サブオシレーター

2基のメインオシレーターに加えて、Wavetableにはサブオシレーターも備えています。 [Sub]スイッチでオン/オフを切り替えて、出力レベルは[Gain]ノブで調整します。
[Tone]コントロールではサブオシレーターの音色を変更します。 0%では、このオシレーターは純粋なサイン波を生成します。 [Tone]を上げると、波形内の倍音成分が増加します。
サブのチューニングは、再生したノートとグローバルの[Transpose]値により決まりますが、[Octave]ボタンでサブオシレーターを1〜2オクターブ下げられます。
30.13.4 フィルター
Wavetableのフィルターは、オシレーターとそのエフェクトが生み出す豊かな音色を形成するのに役立ちます。 また、オシレーターはアナログシンセサイザーの一般的な波形も備えているので、フィルターを使った減算方式のシンセサイザーを簡単に構築できます。

Wavetableは、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、特殊な[Morph]といったさまざまなフィルタータイプを提供します。 各フィルターのスロープは 12 dBと 24 dBを切り替え可能で、有名アナログシンセに見られるハードウェアフィルターをエミュレートする、Cytomicと共同開発したアナログモデリング回路の動作にも切り替えられます。
[Clean]回路のオプションは高品位でCPU効率に優れた設計で、EQ Eightと同じフィルターを使用しています。 このオプションはすべてのフィルタータイプで使用できます。
[OSR]回路オプションは、ステートバリアブル型フィルターで、独自のハードクリッピング・ダイオードがレゾナンスを制御しています。 イギリスの珍しいモノシンセで使用されているフィルターをモデリングしていて、すべてのフィルタ-タイプで使用できます。
[MS2]回路のオプションは、サレン・キー型のフィルターで、ソフトクリッピングを使ってレゾナンスを制御しています。 日本の有名なセミモジュラー・モノシンセで使用しているフィルターをモデリングしていて、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[SMP]回路はカスタム設計で、特定のハードウェアには基づいていません。 [MS2]と[PRD]回路の両方の特徴を持ち、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
[PRD]回路は、ラダー型の設計を使用しており、明確なレゾナンス制御はしていません。 これは米国の有名なデュアルオシレーター・モノシンセで使用しているフィルターのモデリングで、ローパスフィルターとハイパスフィルターで使用できます。
フィルターで最も重要なパラメーターは、[Frequency]と[Resonance]の2つです。 [Frequency]で倍音のスペクトル内のどこにフィルターをかけるか設定し、[Resonance]はその周波数付近の帯域を強調します。 なお、フィルターディスプレイ内でいずれかのフィルター点をドラッグすると、[Frequency]と[Resonance]のパラメーターを調整できます。
ローパス、ハイパス、バンドパスフィルターを[Clean]以外の回路タイプで使用すると、[Drive]コントロールが追加され、信号がフィルターに入力される前段でゲインやディストーションを加えられます。
[Morph]フィルターは追加の[Morph]コントロールを備え、フィルタータイプをローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、そして再びローパスへとスムーズに変えられます。
フィルタールーティングでは、フィルターをさまざまな構成で並び替え、まったく異なる音作りの技法を可能にします。 ルーティングは3種類のいずれかを選択できます。
- [Serial]:全てのオシレーターを[フィルター 1]にルーティングして、[フィルター 1]から[フィルター 2]にルーティングします。 [Sub]は両方のフィルターにルーティングされます。
- [Parallel]: 2基のメインオシレーターを[フィルター 1]と[フィルター 2]にルーティングします。 [Sub]は両方のフィルターにルーティングされます。
- [Split]:[オシレーター 1]を[フィルター 1]に、[オシレーター 2]は[フィルター 2]にルーティングします。 [Sub]は半分に分割して両方のフィルターにルーティングされます。 いずれかのフィルターがオフの場合でも、対応するオシレーターの信号は聞こえます。 [Split]は各フィルターを個別に扱うのにも使用でき、レイヤーしたシンセのサウンドを作りたい場合に便利です。 メインオシレーターがオフで、フィルターが両方ともオンの場合、[Split]はサブオシレーターに追加の処理を加えることもできます。
30.13.5 Matrixタブ
モジュレーション・マトリックスでは、エンベロープやLFO(「内部のモジュレーションソース」とも呼ばれる)から、インストゥルメント内のパラメーター(または「モジュレーションターゲット」)へのモジュレーションを割り当てます。

モジュレーションソースは縦に並び、モジュレーションターゲットは横に並んでいます。 グリッド内をドラッグすると、選択したソースが選択したパラメーターに適用するモジュレーション量を変更します。
なお、特定のパラメーターでは加算モジュレーション・ターゲットで、その他は乗算モジュレーション・ターゲットです。
加算モジュレーションは、次の式でパラメーターに適用されます。
- パラメーターのモジュレーションソースの出力は合算される。
- 合算されたモジュレーション値は、現在のパラメーター値に足される。
加算モジュレーションのモジュレーション値は 0 を中心とし、0 が「ニュートラルな」値となります。 加算モジュレーション値には、負または正の値を使用できます。 負の値と正の値を出力するモジュレーションソースは、「両極」のソースです。 正の値のみを出力するモジュレーションソースは、「単極」のソースです。
乗算モジュレーションは、次の式でパラメーターに適用されます。
- パラメーターのモジュレーションソースの出力は乗算される。
- 乗算したモジュレーション値は、現在のパラメーター値で乗算される。
乗算モジュレーションのニュートラルな値は 1 で、最小値は 0 です。 乗算モジュレーションのパラメーターは、Wavetableマニュアル全体にわたって記載されています。
インストゥルメントのパラメーターをクリックすると、そのパラメーターがマトリックス内に一時的に表示されます。 このパラメーターにモジュレーションを適用すると、パラメーターはマトリックス内に残ります。 モジュレーションを適用しない場合、別のパラメーターをクリックすると、パラメーターの表示がマトリックスから消えます。 なお、[Matrix]タブと[MIDI]タブは同じ横列を使用します。
マトリックスの上部にあるモジュレーションソース・ヘッダーのいずれかをクリックすると、[Mod Sources]タブ内の該当するパネルへすぐにジャンプできます。
[Time]スライダーは、全てのモジュレーターの時間をスケールします。 負の値ではエンベロープとLFOが速くなり、正の値では遅くなります。 この値をエンベロープやLFOでモジュレートしても、割り当てられたモジュレーターに影響しませんが、そのモジュレーターは他の対象をスケールします。
[Amount]スライダーでは、モジュレーション・マトリックス内の全てのソースに対するモジュレーションの全体的な量を設定します。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。
30.13.6 Mod Sources タブ
[Mod Sources]タブでは、エンベロープとLFOの設定を調整できます。詳細は後述します。

エンベロープ
Wavetableのエンベロープ([Amp][Env 2][Env 3])は、[Time]と[Slope]のパラメーターで調節します。[Env 2]と[Env 3]は、追加の[Value]コントロールを備えています。 なお、エンベロープディスプレイをドラッグすると、[Time][Slope][Value]のパラメーターを調整できます。
[A](アタック)は、初期値からピーク値まで移行するのにかかる時間を設定します。 エンベロープのこの部分の形状は、[Attack Slope]値で設定します。
[D](ディケイ)は、ピーク値からサステインレベルまで移行するのにかかる時間を設定します。 エンベロープのこの部分の形状は、[Decay Slope]値で設定します。
[S](サステイン)は、ディケイ段の最後で到達するレベルです。 [Loop]モードを[Trigger]または[Loop]に設定していない限り、エンベロープはノートオフが発生するまでこのレベルを保持します。 設定している場合、到達すると[Release]段へ続きます。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。
[R](リリース)では、ノートオフの発生後、[Final]値に移行するのにかかる時間を設定します。 エンベロープのこの部分の形状は、[Release Slope]の値で設定します。
前述のように、Wavetableのエンベロープには、エンベロープの各部分のスロープを調整するパラメーターも備えています。 正のスロープ値では、エンベロープは最初は速く、その後比較的ゆっくりと移動します。 負のスロープ値では、エンベロープはフラットな状態を長く保持した後、最後は動作が速くなります。 スロープの値がゼロだと直線状の動作になり、エンベロープは全体を通して同じ速さで動作します。
[Initial]スライダーでは、エンベロープがトリガーされた時の初期値を設定します。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。 このコントロールは[Amp]エンベロープでは使用できません。
[Peak]スライダーでは、[Attack]段が終了して[Decay]段が開始する地点でのエンベロープの値を設定します。 このコントロールは[Amp]エンベロープでは使用できません。
[Final]スライダーは、エンベロープの[Release]段が終了した時の値を設定します。 このコントロールは[Amp]エンベロープでは使用できません。
[ループモード]のドロップダウンメニューでは、3種類のモードからいずれかを選択できます。
- [None]は、ノートオフまでサステイン位置を保持して、ループしません。
- [Trigger]は、ノートオンを受信すると全てのセグメントを再生します。
- [Loop]は、[Sustain]を保持せず、ボイスの終わりまでエンベロープ全体をループします。
30.13.6.1 LFO
Wavetableは2基のLFOを備えていて、このセクションで説明するパラメーターから、個別に調整できます。

LFO波形のいずれかを選択したら、[Shape]スライダーで選択した波形の形状を変更できます。
- サイン波とノコギリ波:増加または減少するスロープを適用します。
- 三角波:ランプ波からノコギリ波まで上下対称にモーフィングして、中央値では三角波になります。
- 矩形波:パルス幅を変更します。
- ランダム波:極値への分布を変更します。
同期スイッチは、LFOレートをヘルツ単位にするか、ソングテンポに同期させるか設定し、[Rate]スライダーでは、LFOの周波数をヘルツ単位か拍分割単位で設定します。 なお、LFOの周波数は波形ディスプレイ内をドラッグしても調整できます。
[Amount]では、入力信号に適用するLFOモジュレーションの量を設定します。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。
[Offset]スライダーでは、LFOの位相をオフセットさせて、別の値から動作開始するようにします。 なお、[Offset]はモジュレートできません。
[LFOアタック]スライダーを使用すると、ノートオンでLFOをトリガーした時に、LFOがフェードインする時間を調整します。
[LFOリトリガー]スイッチをオンにすると、MIDIノートを受信するたびにLFOをスタート位置にリセットします。 この動作は、LFOが動作周期の途中でリトリガーした場合、ハイブリッドなLFO波形を生成します。
30.13.7 MIDIタブ
MIDIをパラメーターに割り当てると、Wavetableをダイナミックなパフォーマンス・インストゥルメントに変えることができます。 MIDIモジュレーション・マトリックス内部では、MIDIモジュレーションソースをインストゥルメント内の複数のパラメーター(モジュレーションターゲット)に割り当てられます。

ベロシティを割り当てると、Wavetableは入力したMIDIノートのベロシティ値で、そのノートが続いている間、ターゲットのパラメーターをモジュレートします。
ノートを割り当てると、Wavetableは入力したMIDIノートのピッチで、そのノートが続いている間、ターゲットのパラメーターをモジュレートします。 ピッチモジュレーションの範囲は C3 が中心になります。 つまり、モジュレーション量を 100% に設定してフィルター周波数に割り当てると、フィルターは再生するノートを正確にトラッキングします。
ピッチベンド、アフタータッチ、モジュレーションホイール:これらは多くのMIDIコントローラーに搭載されているハードウェアの操作子です。 そのような機器をお持ちでない場合でも、クリップエンベロープ を使って、パラメーターをモジュレートできます。
[Random]を割り当てると、Wavetableはノートをトリガーするたびに計算するランダム値で、ターゲットのパラメーターをモジュレートします。
インストゥルメントのパラメーターをクリックすると、そのパラメーターがマトリックス内に一時的に表示されます。 このパラメーターにモジュレーションを適用すると、そのパラメーターはマトリックス内に残ります。 モジュレーションを適用しない場合、別のパラメーターをクリックすると、パラメーターの表示がマトリックスから消えます。 なお、[Matrix]タブと[MIDI]タブは同じ横列を使用します。
30.13.8 グローバルとユニゾンコントロール
Wavetableのグローバルコントロールは、インストゥルメントの全体的な動作とパフォーマンスに影響します。

[Transpose]では、インストゥルメントの相対ピッチをセミトーン単位で調整します。
[Volume]は、インストゥルメントの全体的な音量を調整します。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。
[Poly/Mono]スイッチは、インストゥルメントをレガートエンベロープを備えた単音のボイス([Mono])と、ポリフォニック・インストゥルメント([Poly])間で切り替えます。
[ポリボイス]ドロップダウンメニューでは、同時に発音できる最大ノート数を設定します。 なお、[ポリボイス]は[Poly/Mono]スイッチを[Poly]に設定した場合にのみ有効です。
[Glide]では、ノートが重なり合った時に、ピッチが次に入力されたノートのピッチまでスライドするのにかかる時間を設定します。 なお、[Glide]は[Poly/Mono]スイッチを[Mono]に設定した場合にのみ有効です。
[Unison]ドロップダウンメニューでは、6種類のユニゾンモード(または[None]]からいずれかを選択します。 [Unison]モードでは、複数のオシレーターで位相、ステレオ位置、ウェーブテーブルの波形位置を変えることで、より豊かなサウンドをもたらします。
- [Classic]:オシレーターを均等間隔でデチューンして、もう片方のステレオチャンネルにパンします。
- [Shimmer]:オシレーターのピッチをランダムな間隔で揺らし、シマーリバーブのような効果をもたらします。 豊かさを強調するため、ウェーブテーブルも少しオフセットされます。
- [Noise]:[Shimmer]ユニゾンモードと同じようにピッチが揺らぎますが、より高速で、うるさい気息音のようなテクスチャを生成します。 豊かさを強調するため、ウェーブテーブルも少しオフセットされます。
- [Phase Sync]:[Classic]のユニゾンモードと同じようにオシレーターをデチューンしますが、ノートが開始すると位相が同期して、フェイザーのような強いスイープするエフェクトになります。
- [Position Spread]:各オシレーターのウェーブテーブル位置が、一定量で均一に分散されます。 幅を広げるため少しデチューンされます。
- [Random Note]:ノートが開始するたびに、各オシレーターのウェーブテーブル位置とデチューン量がランダマイズされます。
[Voices]スライダーでは、ウェーブテーブルオシレーターごとに同時に発音するオシレーターの数を設定します。 ボイス数が増えると厚みのあるサウンドになり、ボイス数が減るとよりクリアなサウンドになります。
[Amount]スライダーではユニゾン効果の強度を調整します。各ユニゾンモードごとに異なる動作をします。 なお、これは乗算モジュレーションの対象です。
30.13.9 ハイクオリティモード

Wavetableのコンテクストメニューから、[ハイクオリティ]モードを有効にできます。
[ハイクオリティ]をオフにすると、Wavetableのモジュレーションは 32 サンプルごとに計算されます。 また、Cytomicフィルターの省力版を使用することで、さらにCPU負荷を軽減します。
[Hi-Quality]モードをオフにしてWavetableを使用すると、オンにした場合と比べてCPUを最大 25% 節約できます。 これは、大規模なセットを扱う場合や低レイテンシーを維持する場合に最適です。
Live 11.1 以降では、Wavetableの新規インスタンスやCore Libraryのプリセットをロードすると[ハイクオリティ]モードがデフォルトでオフになります。 ただし、以前に作成したユーザープリセットやLiveセットでは、以前のLiveバージョンとサウンドの一貫性を保つため、[ハイクオリティ]モードでWavetableがロードされます。
注意:[ハイクオリティ]モードをオンにすると、わずかな音が変わる場合があります。